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DATE/ 2022.07.02

日本は「スパイ天国」?身近なスパイの手口

 スパイと聞くと映画や物語などの影響からか、どこか遠い話のように感じるかもしれません。しかし、実際はもう少し身近な存在だといえます。イメージとしては国家機密を盗み出すといった印象はありますが、実際に目を付けているのはもっと多様な情報です。特に昨今注目されているのは産業機密情報。日本は技術大国です。産業上の機密情報を盗まれてしまえば、長い時間と多額の費用や情熱を費やした研究が水の泡になることも考えられます。スパイはあらゆる手段で接近し、情報を盗んでいきます。ではスパイの手口とはどのようなものなのでしょうか。

警視庁が企業へのオンラインセミナーで啓発する手口

 警視庁公安部のスパイ対策プロジェクト「経済安全保障戦略会議」は、海外のスパイが狙う企業に直接その手口を伝えています。これによると、伝統的な方法としては、ターゲットに近付いて親密になった上で、情報を取る手口です。たとえばターゲットとなった仕事帰りの通信会社部長に「この辺においしいお店ありませんか?」と声をかけることから始まった事例があります。相手は日本語が流暢で日本文化についても勉強熱心だったとのこと。つい相手に心を許してしまったとのこと。

 また、あなたの論文は素晴らしい、というメッセージをSNSなどで送ってくることで関係が始まったものもあります。そこから詳しく話していくうちに親密になり、しだいに重要な情報を要求してくるといった事例もあります。また、共同研究が規制されている国の研究者が、大学の研究室に高額な謝礼を支払う代わりに共同研究の場に立ち会わせてもらったりするといったこともあるようです。

 さらにこうした直接関係を作る手口以外でも、最近ではインターネットも駆使しています。例えば転職希望の社員にスパイが就職先を紹介するメッセージを送って、社員が会社のパソコンでそのURLを開くと会社の情報が流出するといった手口です。また日本で活動するシステムエンジニアのスパイが、留学生らを利用してソフトウェアの脆弱性を突き、企業に攻撃を仕掛けたりするということもあるようです。

スパイ自体は逮捕できない

 このようにスパイはごく身近なところで暗躍しています。ささいなことでも相談するように警視庁は声をかけています。相手は隙をついてきます。自分は狙われないと思うのは間違い。最近では企業上層部や国家公務員に限らず、部長クラスが狙われることも増えているようです。また、公安部はもちろん目を光らせています。どういった人物がスパイ行為を行っているかはおおよそ検討がついているようですが、基本的にスパイは逮捕できません。

 なぜかと言えばスパイは基本的に外交官だからです。ウィーン条約に加盟している国では、外交官は特権を持っていて逮捕できないルールです。スパイ行為をした外交官は国外退去するほかありません。ただしこういった処分を下せば、報復として日本の外交官が国外追放されかねません。こうした外交関係の網の目の中で、スパイは暗躍します。日本にもスパイ防止法を導入して、厳しい姿勢で臨むべきという声もあるようです。しかし、これは国民の基本的自由を守る観点から反対する声も強いようです。

SNSの情報からでも籠絡される

 こういった実情があるからには、私たちはどういったレベルのものであれ情報の発信や管理について強い意志をもっておく必要があります。スパイはもちろんネット上の情報やSNSなども見ています。家族構成や経歴、趣味などから、その人の興味関心を探ります。そうして共通の話題で近づいたり、弱みを握ったりします。

 関係上優位に立たれれば、スパイの思うつぼです。はじめは簡単な情報に対して数千円の金券を渡してくるそうです。こうして関係を作りながら高級レストランで食事をごちそうしたり、プレゼントを渡したりしてきます。より大きな機密情報になると10万円や20万円といった現金を渡してきます。こうしてズブズブの関係になってしまえば、もう逃れようがありません。ちょっとした個人情報でも、スパイがターゲットを籠絡するには十分なきっかけとなります。

<参考サイト>
海外のスパイから機密情報守れ 警視庁“手口”伝授|テレ朝ニュース
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000236978.html
意外と身近にいる!?スパイの手口公開~偶然装い…、ヘッドハンティングも|テレ朝ニュース
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000248627.html
機密情報が盗み放題?“スパイ天国”日本の実態…国際ジャーナリスト&元公安警察に聞く|ABEMA TImes
https://times.abema.tv/articles/-/7061787
「国家機密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」に反対する決議|日本弁護士連合会
https://www.nichibenren.or.jp/document/civil_liberties/year/1985/1985_2.html
元CIAが明かす、スパイが極秘情報を得るために使う「意外な手口」|現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74990
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