社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
婚活相手に求める「普通」の条件…ハードル高すぎ?
婚活で時折聞く「普通の人でいいのに」というフレーズ。男性が女性に対して求める条件と、女性が男性に求める条件、それぞれの「普通」は異なるでしょうが、女性→男性で言うと、例えば年収400万円以上で、正社員で、大卒で、身長は175センチ以上で、など。高望みではないように聞こえるかもしれませんが、実際に統計を見てみると「普通の人」=すぐ見つかるのか、そうでないのかがわかるかもしれません。
では400万円~500万円未満という希望は高望みなのかどうか。総務省が行った就業構造基本調査を見てみましょう。初婚年齢の平均前後にあたる25~29歳と30~34歳の男性で見てみると、所得が400万円以上なのは、25~29歳で4%、30~34歳では8%となかなかレアな層になります。しかもこれは既婚者も含めた数字となるため、独身者に限定するとそれぞれ3%、6%に減ります。この時点で400万円以上という希望は「普通の人」とは言えなくなってきそうですね。
一方で男性が女性に求めていた「200万~300万円未満」という条件ですが、200万円以上という絞り込みをしてみると、25~29歳は26%、30~34歳は23%でした。こちらも独身者のみに絞ると、25~29歳は31%、30~34歳は35%で、男性とは異なり独身者の方が既婚者よりも高収入という傾向が見られました。共働きが増えているとは言え、結婚を機に退職したり、育休や時短勤務によってフルタイム勤務時より所得が抑えられているというケースがあることも影響していそうです。
続いて正社員の割合を見てみましょう。労働政策研究・研修機構の調査によると、25~34歳の男性で正規の職員としてカウントされているのは86%。一方女性は66%。男女で差はあるものの、正社員を「普通の人」とするのは差支えなさそうです。
最後に身長です。学校保健統計調査という統計で身長ごとの分布がわかるのですが、17歳までの数字しかこちらの統計には含まれていません。2000年以降は平均身長がほぼ横ばいということで、便宜的に25~34歳の男性も17歳時点の身長分布と同じと過程して割合を見てみると、170センチ以上は58%なので過半数ですね。これを175センチ以上までハードルを上げると、25%にまで減ります。4人に1人となると、すごく珍しいというわけではないですが「普通の人」とは言えないかもしれないですね。偏差値で言うと57くらいですので、そこそこ上位ですよね。
以上のように、年収400万円以上で、正社員で、大卒で、身長は175センチ以上を25~34歳の男性でレア度順に並べると、年収400万以上>身長は175センチ以上>大卒>正社員となりました(左の方がより珍しい)。独身で年収400万円以上となるとその条件だけで25~29歳の3%、30~34歳の6%ですので、それだけで相当なハードルです。さらに正社員、大卒、身長175センチ以上となるともっと限られてくるので、とてもとても「普通の人」とは言えない、というのが結論になってきそうです。
年収400万円以上はかなり高いハードル
内閣府が2019年に発表した「少子化社会対策に関する意識調査」によると、「結婚生活を送るに当たって相手に求める年収(税込)は、どのくらいですか」という質問に対して、400万円~500万円未満が女性の回答としては一番大きな割合を占めました(19.5%)。一方で男性の回答では「収入は関係ない」(24.9%)が最も多く、次いで200万~300万円未満(17.9%)となりました。男女で相手に求める年収は異なってきそうです。では400万円~500万円未満という希望は高望みなのかどうか。総務省が行った就業構造基本調査を見てみましょう。初婚年齢の平均前後にあたる25~29歳と30~34歳の男性で見てみると、所得が400万円以上なのは、25~29歳で4%、30~34歳では8%となかなかレアな層になります。しかもこれは既婚者も含めた数字となるため、独身者に限定するとそれぞれ3%、6%に減ります。この時点で400万円以上という希望は「普通の人」とは言えなくなってきそうですね。
一方で男性が女性に求めていた「200万~300万円未満」という条件ですが、200万円以上という絞り込みをしてみると、25~29歳は26%、30~34歳は23%でした。こちらも独身者のみに絞ると、25~29歳は31%、30~34歳は35%で、男性とは異なり独身者の方が既婚者よりも高収入という傾向が見られました。共働きが増えているとは言え、結婚を機に退職したり、育休や時短勤務によってフルタイム勤務時より所得が抑えられているというケースがあることも影響していそうです。
続いて正社員の割合を見てみましょう。労働政策研究・研修機構の調査によると、25~34歳の男性で正規の職員としてカウントされているのは86%。一方女性は66%。男女で差はあるものの、正社員を「普通の人」とするのは差支えなさそうです。
大卒はざっくり半分 175センチ以上は…
大卒という条件だとどうでしょうか。文部省の学校基本調査によると、25~34歳(2007~2016年に大学入学)の大学進学率は53.7%~56.8%。多少の差はあるものの男女ともに同程度の割合になっています。大学4年間の中退率は約6~7%とも言われますが、それを差し引いてもだいたい半数の人は大卒と言えそうです。大卒が多数派というわけではないにせよ、「普通の人」と呼んでも違和感はないですね。ただし、一定以上のブランド(国立大卒じゃなきゃダメ、私立ならMARCH以上、など)を「普通」として求めようとすると、急にレア度が上がってしまうのでご注意を、というところですね。最後に身長です。学校保健統計調査という統計で身長ごとの分布がわかるのですが、17歳までの数字しかこちらの統計には含まれていません。2000年以降は平均身長がほぼ横ばいということで、便宜的に25~34歳の男性も17歳時点の身長分布と同じと過程して割合を見てみると、170センチ以上は58%なので過半数ですね。これを175センチ以上までハードルを上げると、25%にまで減ります。4人に1人となると、すごく珍しいというわけではないですが「普通の人」とは言えないかもしれないですね。偏差値で言うと57くらいですので、そこそこ上位ですよね。
以上のように、年収400万円以上で、正社員で、大卒で、身長は175センチ以上を25~34歳の男性でレア度順に並べると、年収400万以上>身長は175センチ以上>大卒>正社員となりました(左の方がより珍しい)。独身で年収400万円以上となるとその条件だけで25~29歳の3%、30~34歳の6%ですので、それだけで相当なハードルです。さらに正社員、大卒、身長175センチ以上となるともっと限られてくるので、とてもとても「普通の人」とは言えない、というのが結論になってきそうです。
<参考サイト>
・少子化社会対策に関する意識調査 【全体版】(PDF版): 子ども・子育て本部 - 内閣府
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h30/zentai-pdf/index.html
・就業構造基本調査 平成29年就業構造基本調査 結果の要約・概要・主要統計表 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200532&tstat=000001107875&tclass1=000001116995
・図9 各年齢階級の正規、非正規別雇用者数|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0209.html
・学校基本調査:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
・学校保健統計調査:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm
・少子化社会対策に関する意識調査 【全体版】(PDF版): 子ども・子育て本部 - 内閣府
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h30/zentai-pdf/index.html
・就業構造基本調査 平成29年就業構造基本調査 結果の要約・概要・主要統計表 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200532&tstat=000001107875&tclass1=000001116995
・図9 各年齢階級の正規、非正規別雇用者数|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0209.html
・学校基本調査:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
・学校保健統計調査:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
ますます進む高齢化社会において医療を根本的に転換する必要があると言う長谷川氏。高齢者を支援する医療はもちろん、悪い箇所を見つけて除去・修理する近代医学から統合医療への転換が求められる中、今後世界の医学をリードす...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/19
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生氏によれば、AIが不得手なのは、暗黙知・常識に基づく高度な判断である。人間の役割はこうした暗黙知を捨てず、個々の状況での判断力を磨いていくことだ。暗黙知を支...
収録日:2017/07/24
追加日:2017/10/30
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13


