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DATE/ 2022.08.30

タイヤの寿命は何年?交換時期の見極め方

 自動車を利用するときに意外に見落としがちで最も重要なパーツにタイヤがあります。エンジンが回らなければ自動車は動かないだけですが、路面と接するタイヤのコンディションによっては、重大な事故につながることも。安全な運転と自動車と長く付き合えるように、今回取りあげるテーマは、適正なタイヤ交換の時期についてです。

タイヤの交換時期の目安

 ディーラーからの自動車を購入であれば、適正なタイヤ交換までをカバーする点検セットなどでサポートしてもらえますが、車を譲り受けたり、オークションなどで中古車を落札したら、タイヤの状態チェックから交換は自分で行うことになります。

 適正なタイヤ交換の判断指標の一つに「タイヤの溝」があります。新品時の溝はだいたい8mmありますが、4mm以下がタイヤの寿命と考えてください。道路運送車両法の保安基準において、タイヤの溝は「いずれの部分においても1.6mm以上」と定められています。どこか一部でも1.6mm未満になったものは整備不良として扱われ、車検も通りません。違反の対象になります。1.6mm未満になったタイヤを装着すると整備不良車両になり、制動装置等の整備不良として交通違反で2点の加点と6,000円~12,000円の反則金が科せられます。

 また、タイヤの摩耗の程度は「スリップサイン」を確認することによって知ることができます。タイヤの側面に描かれた三角マーク(△)の延長線上にある溝の奥に、ゴムが盛り上がった部分があります。これが「スリップサイン」でタイヤの全周に複数設置されています。タイヤの摩耗が進行することで、やがてタイヤが地面と接触する「トレッド面」と「スリップサイン」とが同じ高さになります。

 タイヤが路面と直接接する部分であるトレッド部にある溝や切れ込みは、総称して“トレッドパタン”と呼ばれ、1.タイヤと路面の間から水を除去する、2.タイヤの駆動力/制動力の確保、3.クルマの操縦安定性、4.タイヤの放熱性の向上といった効果があります。トレッド部分の溝が浅くなると、上述した効果が低下します。

 特に、雨の日の高速走行時には排水性能が低下して、溝を通して十分に水を吐き出すことができず、タイヤが路面を滑りブレーキやハンドルがきかなくなるハイドロプレーニング現象を引き起こします。

 制動距離が急激に大きくなる残り溝4mmが、タイヤ交換の目安になります。

タイヤの性能と交換時期

 タイヤの溝やスリップサインといった状態に加えて、性能から交換した方がよいタイミングもあります。

 使用環境などによっても摩耗の具合は変わってきますが、一般的なタイヤは4万キロメートルの走行距離に耐えうると考えられています。目安として5,000kmの走行で1mmほどタイヤが摩耗することから、新品のタイヤの溝(約8mm)から逆算すると、32,000kmほどの走行でタイヤの溝は1.6mmになり、交換のタイミングとすることができます。

 タイヤの素材であるゴムの消費期限も交換のタイミングになります。溝が十分かつひび割れが無かったとしても、さまざまな要因によって目に見えないゴムの劣化が進行していることが考えられます。タイヤの寿命は最長でも製造から10年程度が目安ですが、タイヤメーカーは使用開始後4~5年での交換を推奨とのこと。ちなみにタイヤの製造年週はスリップサインとおなじく、タイヤの側面で確認できます。(「DAJ5020」と表示されていたら、数字に注目→ 50=50週=12月、20=製造年の下二桁ということで、2020年12月製造)

 タイヤのひび割れの状態も交換の目安になります。走行状況や時間の経過とともにタイヤが傷つき、ひび割れていく経過にはいくつかの段階があります。基本的に、クラック(ひび割れ)がタイヤ内部のカーカスと呼ばれる骨格部分にまで達すると危険な状況なので、急いで交換しましょう。

タイヤを長く使うために

 タイヤは消費期限がある消耗品であることを前提に、長持ちさせるために必要なことは、スペアタイヤも含め、すべてのタイヤの定期的な点検です。

・タイヤの空気圧チェック
 タイヤの空気圧バランスが悪い場合、偏摩耗の原因となり、タイヤの劣化を早める

・タイヤローテーション
 タイヤの順列入れ替えを定期的に行い、摩耗のくせを均一化する

・車庫と保管チェック
 できるかぎり紫外線を避けて劣化を防ぐ

 今回は通常のタイヤ交換目安についてでしたが、冬用のスタッドレスタイヤはまた違った指標があります。基本的にタイヤを長く使うには、急ブレーキや急ハンドル、ハンドルの据え切りは、タイヤを摩耗させる原因になることから、余裕のあるブレーキやハンドル操作、つまり安全運転をこころがけることでタイヤを長く使うことができます。
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