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DATE/ 2022.10.30

日本で最も「おいしい水」はどこの水?

 日本は海に囲まれて河川も多くあるため、水に恵まれた国だといえます。そんなこの国には「名水百選」というものがあるのをご存じでしょうか?この名水とはおいしいという意味ではなく、状態がよく保全活動がされているという意味ですが、全国各地の数多くの湧水や河川、地下水の中から環境省が選定したものになります。昭和60年に名水百選が選定されたあと、平成20年には新たな平成名水百選を選定し、現在ではその数は200にもなっています。

 今回はその名水百選選定から30周年を迎えたことを記念して行われた、名水百選選抜総選挙のうち、「おいしさが素晴らしい名水部門」に選ばれた水について紹介していきます。

第1位 おいしい秦野の水~丹沢の雫~(神奈川県秦野市)

 東京からも1時間ほどでいける、神奈川県秦野市の「おいしい秦野の水~丹沢の雫~」が見事1位に輝きました。丹沢の山々に囲まれた秦野は神奈川県唯一の盆地で、その地下には山から長い時間かけて染み込んだ水が豊富に蓄えられています。さながら天然の水がめともされ、市内のあちこちで湧水を見ることができるほど水が豊かな地域になっています。硬度89度の水はやわらかすぎない軟水で、非常に味のバランスがよくとれていて、単体の水としても非常に美味しいと評価されています。

第2位 わかさ瓜割の水(福井県若狭町)

 第2位には、名水百選のひとつ、瓜割の滝の原水を使用した「わかさ瓜割の水」がランクインしました。天徳寺の境内にある瓜割の滝には、一定した水温ときれいな水質の場所でしか生育しない珍しい紅藻が繁殖していてその水の綺麗さを証明しています。純度の高いミネラル成分が溶け込んでいて、そのままでももちろん、お茶やコーヒーなどに使ってもおいしくいただけます。

第3位 大雪旭岳源水(北海道東川町)

 北海道にある旭岳の雪解け水が大地に染み込み、長い時間をかけて湧き出したミネラル豊富な神秘の水とされる「大雪旭岳源水」が第3位に選ばれました。水の美味しさを損なわないためにUF膜ろ過方式というやり方でおいしい水に欠かせないミネラルは残しながら、不要な成分を除去。それ以外では物理的・科学的処理を行わないやり方で自然な味わいにこだわっているといいます。

第4位 月山自然水(山形県西川町)

 出羽三山のひとつ月山は万年雪に覆われた霊峰。その雪解け水が時間をかけて月山に湧き出た水を非加熱処理したのが「月山自然水」です。Ph値はほぼ中性で、ミネラルを適度に含んだ軟水は、飲用のみならず料理にも適した水だとされています。

第5位 清流 長良川の雫(岐阜県岐阜市)

 岐阜県は良好な水質資源を持つことでも知られていて、岐阜市の水道水源から水を汲み上げて製品化したのが、第5位にランクインした「清流 長良川の雫」になります。加熱処理を行わず、ろ過処理のみ行った上で製品化したまろやかで飲みやすい軟水に仕上がっています。

 その他にもこの部門には秋田県美郷町の仁手古サイダー、福島県喜多方市の喜多方の水、埼玉県小鹿野町の毘沙門水、和歌山県串本町のなんたん水、鹿児島県指宿市の指宿温泉サイダーがエントリーしました。全国に分布していることから、雪解け水や湧水など、自然が作り出したおいしい水は日本の各地で楽しめることが分かります。コンビニでミネラルウォーターも気軽に買うことができますが、時にはご当地のおいしい水を試してみるのも良いのではないでしょうか。

<参考サイト>
おいしさが素晴らしい名水部門│環境省
https://www.env.go.jp/water/meisui/H27senkyo/nice/index.html
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岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授