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「世界遺産第1号」最初に登録された12か所とは
世界に価値を認められている、世界遺産。1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づいて決められたもので、現在では1000件以上が登録されています。今回はその世界遺産の制度ができて最初に登録された12か所について紹介したいと思います。
各国からの推薦をもとに、21か国の委員国で構成される世界遺産委員会が選定。2021年8月時点では文化遺産897件、自然遺産218件、複合遺産39件の合計1154件が世界遺産として認められています。世界遺産条約が発効されたのは1975年のことで、1978年に下記の12件が世界初の世界遺産として登録されました。
ガラパゴス諸島は南米のエクアドル本土から西に1000km、赤道直下にある大小さまざまな島や岩礁によって構成されています。他の島と陸続きになったことがないため、ガラパゴスゾウガメやガラパゴスペンギンなど、この地でしか見られない生物が多く生息しています。一時は危機遺産に登録されましたがすでに解除され、現在では貴重な自然を守るためのさまざまな対策が講じられています。
・キト市街(エクアドル)
かつて南米大陸におけるキリスト教布教の中心地の役割を担っていた、エクアドルの首都キト。南米最古の歴史を誇るサン・フランシスコ聖堂・修道院や、エクアドル最高のバロック建築と称されるラ・コンパニーア聖堂など、多くの建物が現在も良好な状態で保存されています。こうした旧市街の歴史的意義から世界遺産第1号のひとつに選ばれました。
・アーヘン大聖堂(ドイツ)
ドイツ西部にあるアーヘン大聖堂は、北部ヨーロッパ最古の大聖堂です。カール大帝が埋葬されていることや、かつては神聖ローマ帝国の皇帝の戴冠式が行われたことから「皇帝の大聖堂」とも呼ばれています。古典主義やビザンティン様式、ドイツ・ロマネスク様式など、さまざまな建築様式が融合した荘厳な雰囲気を持つ、歴史的、文化的に貴重な遺産です。
・ランス・オ・メドー国定史跡(カナダ)
カナダ東部に位置するグレートノーザン半島の先端には、バイキングが新大陸に入植したことを物語る考古遺跡、ランス・オ・メドー国定史跡があります。コロンブスの新大陸発見はこの遺跡の発見によって覆されたことでも知られていると同時に、1000年頃のバイキングがこの地でどんな生活をしていたかをうかがうこともできる貴重な遺跡となっています。
・シミエン国立公園(エチオピア)
アフリカ大陸のエチオピア北部に位置する国立公園で、4000m級の険しい山々や深い峡谷が数多く存在する過酷な環境が特徴とされています。内戦や農地拡大、密猟の影響で生態系が破壊されて危機遺跡に登録されましたが、現在では解除され、独自の進化を遂げた霊長類のゲラダヒヒ、高地ヤギのワリアアイベックスなど、多くの固有種が生息しています。
・ラリベラの岩窟教会群(エチオピア)
エチオピアの北部、標高3000mの場所にある11の教会群は、アフリカ大陸の中では早く、4世紀頃にキリスト教が伝わった、エチオピアの歴史を物語る遺跡です。中でも岩盤を掘り下げて作られたギオルギス教会は、高さは12m、縦横12mの十字架の形に三重の十字架が刻まれた一枚岩で作られており、教会群の中でも傑作と評されています。
・ナハニ国立公園(カナダ)
カナダの秘境ともいわれるノースウエスト準州にあるナハニ国立公園には、標高3000m級のマッキンジー山や、ナイアガラの滝の約2倍もの高さでカナダ国内でも最大の90mの落差がある壮大な滝バージニアの滝など、雄大な自然が広がっています。ヘリコプターで上空からその大自然を楽しむこともでき、運が良ければオーロラを見られることもあります。
・ゴレ島(セネガル)
セネガルの首都ダカールから沖合3kmにある孤島で、ゴレ島は15~19世紀もの間、奴隷貿易の拠点として栄えました。現在では美しいリゾート地として人気を集めていますが、奴隷の収容施設として使用された「奴隷の家」も現存しています。人類が持つ負の歴史を忘れないためにも重要な遺跡のひとつといえるでしょう。
・メサ・ヴェルデ国立公園 (アメリカ)
アメリカのコロラド州南西部に位置するメサ・ヴェルデ国立公園には、断崖絶壁の巨大な岩をくりぬき、その窪みにつくられた岩窟住宅の跡地が残っています。ここはプエブロインディアンのアナサジ族が使用していたと見られ、ほぼ手付かずの状態で発見されたために当時の生活ぶりを見ることができる、貴重な遺構とされています。
・イエローストーン国立公園(アメリカ)
アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州の3州にまたがる国立公園で、1872年に世界最古の国立公園として設立されました。火山地帯にあり、世界でも3番目、全米でも最大の熱水泉であるグランド・プリズマティック・スプリングをはじめ、200の間欠泉や1万以上の温泉が湧いています。アメリカでも有数の人気スポットとして多くの観光客を魅了し続けています。
・クラクフ歴史地区(ポーランド)
かつてポーランド王国の首都として栄えたクラクフは第二次世界大戦の戦禍を免れ、その貴重で美しい旧市街の姿が残っています。13世紀にゴシック様式で建てられた聖母マリア聖堂や、11世紀以降の歴代ポーランド王が居城としたヴァヴェル城や、その王たちが眠るクラクフ大聖堂など、歴史的な建造物を現在もなお見ることができます。
・ヴィエリチカ・ボフニア王立岩塩坑(ポーランド)
ポーランドのマウォポルスカ県にある地底岩塩採掘坑は、13世紀頃から採掘が始まり、14世紀にはポーランド王国の最盛期を財源面で支えたとされています。坑道は深さ300m以上、総延長300km以上にも達しており、その深さは9層にも及ぶほど。1996年には商業採掘は終了し、現在では観光地として利用されています。
数多くある世界遺産は、人類が生きてきた中でかけがえのない財産です。もし足を運ぶ機会があればぜひその歴史や自然の雄大さを味わってみてください。
・世界遺産|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/world/
・全部巡ってみたい!世界で最初の世界遺産12箇所 - Tripa(トリパ)|旅のプロがお届けする旅行に役立つ情報
https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/OUdRA
・世界遺産とは - 世界遺産検定
https://www.sekaken.jp/whinfo/means/
・世界遺産特集 |阪急交通社
https://www.hankyu-travel.com/heritage/
・世界遺産オンラインガイド
https://worldheritagesite.xyz/
世界遺産の概要
上述の通り、世界遺産は1972年に採択された世界遺産条約に基づき、人類が保護・保存していくべきだと認定されたものが記載され、その種類は文化遺産、自然遺産、複合遺産の3つのカテゴリに分類されています。各国からの推薦をもとに、21か国の委員国で構成される世界遺産委員会が選定。2021年8月時点では文化遺産897件、自然遺産218件、複合遺産39件の合計1154件が世界遺産として認められています。世界遺産条約が発効されたのは1975年のことで、1978年に下記の12件が世界初の世界遺産として登録されました。
世界遺産第1号の12か所
・ガラパゴス諸島(エクアドル)ガラパゴス諸島は南米のエクアドル本土から西に1000km、赤道直下にある大小さまざまな島や岩礁によって構成されています。他の島と陸続きになったことがないため、ガラパゴスゾウガメやガラパゴスペンギンなど、この地でしか見られない生物が多く生息しています。一時は危機遺産に登録されましたがすでに解除され、現在では貴重な自然を守るためのさまざまな対策が講じられています。
・キト市街(エクアドル)
かつて南米大陸におけるキリスト教布教の中心地の役割を担っていた、エクアドルの首都キト。南米最古の歴史を誇るサン・フランシスコ聖堂・修道院や、エクアドル最高のバロック建築と称されるラ・コンパニーア聖堂など、多くの建物が現在も良好な状態で保存されています。こうした旧市街の歴史的意義から世界遺産第1号のひとつに選ばれました。
・アーヘン大聖堂(ドイツ)
ドイツ西部にあるアーヘン大聖堂は、北部ヨーロッパ最古の大聖堂です。カール大帝が埋葬されていることや、かつては神聖ローマ帝国の皇帝の戴冠式が行われたことから「皇帝の大聖堂」とも呼ばれています。古典主義やビザンティン様式、ドイツ・ロマネスク様式など、さまざまな建築様式が融合した荘厳な雰囲気を持つ、歴史的、文化的に貴重な遺産です。
・ランス・オ・メドー国定史跡(カナダ)
カナダ東部に位置するグレートノーザン半島の先端には、バイキングが新大陸に入植したことを物語る考古遺跡、ランス・オ・メドー国定史跡があります。コロンブスの新大陸発見はこの遺跡の発見によって覆されたことでも知られていると同時に、1000年頃のバイキングがこの地でどんな生活をしていたかをうかがうこともできる貴重な遺跡となっています。
・シミエン国立公園(エチオピア)
アフリカ大陸のエチオピア北部に位置する国立公園で、4000m級の険しい山々や深い峡谷が数多く存在する過酷な環境が特徴とされています。内戦や農地拡大、密猟の影響で生態系が破壊されて危機遺跡に登録されましたが、現在では解除され、独自の進化を遂げた霊長類のゲラダヒヒ、高地ヤギのワリアアイベックスなど、多くの固有種が生息しています。
・ラリベラの岩窟教会群(エチオピア)
エチオピアの北部、標高3000mの場所にある11の教会群は、アフリカ大陸の中では早く、4世紀頃にキリスト教が伝わった、エチオピアの歴史を物語る遺跡です。中でも岩盤を掘り下げて作られたギオルギス教会は、高さは12m、縦横12mの十字架の形に三重の十字架が刻まれた一枚岩で作られており、教会群の中でも傑作と評されています。
・ナハニ国立公園(カナダ)
カナダの秘境ともいわれるノースウエスト準州にあるナハニ国立公園には、標高3000m級のマッキンジー山や、ナイアガラの滝の約2倍もの高さでカナダ国内でも最大の90mの落差がある壮大な滝バージニアの滝など、雄大な自然が広がっています。ヘリコプターで上空からその大自然を楽しむこともでき、運が良ければオーロラを見られることもあります。
・ゴレ島(セネガル)
セネガルの首都ダカールから沖合3kmにある孤島で、ゴレ島は15~19世紀もの間、奴隷貿易の拠点として栄えました。現在では美しいリゾート地として人気を集めていますが、奴隷の収容施設として使用された「奴隷の家」も現存しています。人類が持つ負の歴史を忘れないためにも重要な遺跡のひとつといえるでしょう。
・メサ・ヴェルデ国立公園 (アメリカ)
アメリカのコロラド州南西部に位置するメサ・ヴェルデ国立公園には、断崖絶壁の巨大な岩をくりぬき、その窪みにつくられた岩窟住宅の跡地が残っています。ここはプエブロインディアンのアナサジ族が使用していたと見られ、ほぼ手付かずの状態で発見されたために当時の生活ぶりを見ることができる、貴重な遺構とされています。
・イエローストーン国立公園(アメリカ)
アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州の3州にまたがる国立公園で、1872年に世界最古の国立公園として設立されました。火山地帯にあり、世界でも3番目、全米でも最大の熱水泉であるグランド・プリズマティック・スプリングをはじめ、200の間欠泉や1万以上の温泉が湧いています。アメリカでも有数の人気スポットとして多くの観光客を魅了し続けています。
・クラクフ歴史地区(ポーランド)
かつてポーランド王国の首都として栄えたクラクフは第二次世界大戦の戦禍を免れ、その貴重で美しい旧市街の姿が残っています。13世紀にゴシック様式で建てられた聖母マリア聖堂や、11世紀以降の歴代ポーランド王が居城としたヴァヴェル城や、その王たちが眠るクラクフ大聖堂など、歴史的な建造物を現在もなお見ることができます。
・ヴィエリチカ・ボフニア王立岩塩坑(ポーランド)
ポーランドのマウォポルスカ県にある地底岩塩採掘坑は、13世紀頃から採掘が始まり、14世紀にはポーランド王国の最盛期を財源面で支えたとされています。坑道は深さ300m以上、総延長300km以上にも達しており、その深さは9層にも及ぶほど。1996年には商業採掘は終了し、現在では観光地として利用されています。
日本の世界遺産
なお、日本が世界遺産条約に批准したのは1992年のこと。初めて登録されたのは1993年のことで、奈良県の法隆寺地域の仏教建造物(文化遺産)、兵庫県の姫路城(文化遺産)、鹿児島県の屋久島(自然遺産)、青森県・秋田県の白神山地(自然遺産)の4件でした。2023年3月時点では文化遺産20件、自然遺産5件の25件が登録されており、2021年に奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(自然遺産)と北海道・北東北の縄文遺跡群(文化遺産)が登録されたことが記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。数多くある世界遺産は、人類が生きてきた中でかけがえのない財産です。もし足を運ぶ機会があればぜひその歴史や自然の雄大さを味わってみてください。
・世界遺産|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/world/
・全部巡ってみたい!世界で最初の世界遺産12箇所 - Tripa(トリパ)|旅のプロがお届けする旅行に役立つ情報
https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/OUdRA
・世界遺産とは - 世界遺産検定
https://www.sekaken.jp/whinfo/means/
・世界遺産特集 |阪急交通社
https://www.hankyu-travel.com/heritage/
・世界遺産オンラインガイド
https://worldheritagesite.xyz/
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