社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
外国人旅行者を取り込む「民泊」~法律に先行するAirbnbとビジネスチャンス
「ホテルの予約が取れない」。出張先の宿泊先を探すサラリーマンや、旅行をするファミリーが悲鳴を上げている。訪日外国人旅行客が急増しているうえ、日本人の国内宿泊数も右肩上がり。東京五輪が行われる2020年には宿泊施設の供給が逼迫することが確実視されている中、救世主として期待されているのが「民泊」だ。
民泊とはホテルや旅館ではなく、一般の住宅に宿泊すること。観光庁がこのほど発表した宿泊旅行統計調査によると、2015年7月の東京のビジネスホテルの稼働率は93.2%。大阪のビジネスホテルは90.5%、リゾートホテルは95.3%にまで達している。「ホテルの予約が取れない」という悲鳴も納得の数字だ。かといって宿泊施設を次から次へと建設できるわけでもなく、“宿泊難民”の新たな受け入れ先として民泊が注目を浴びている。
特に盛り上がりを見せているのがインターネットを介しての民泊で、アメリカ発のサイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」と「couchsurfing」が大手。前者は宿泊料が発生し、後者は発生しない、というのが最大の違いだ。どちらも欧米を中心とした訪日外国人旅行者に広く知られている。
日本では民泊がまだ一般的でないため、「え、見ず知らずの人の家に泊まるの?(or見ず知らずの人を家に泊めるの?)」と抵抗があるかもしれないが、両サイトともに評価システムを導入している。泊めた、あるいは泊まった際に各ユーザーが評価し合うため、ヤフオクのように実績を積み重ねることで信頼を醸成することになる。
特にAirbnbは宿泊代金が発生するため、コミュニケーションが問題なく取れたか、部屋のアクセスは良かったか、部屋は清潔だったか、などチェック項目が細かく用意されており、過去の評価を見ることで信頼のおけるホストかどうか判断することができる。また、Airbnbは宿泊者が宿泊先に損傷を与えた際、サイトが損害を補償するというサービスもある。
ホストの立場から見ると自宅の余ったスペースで副業をできるうえ、外国人旅行者とコミュニケーションを取れるという楽しみがある。宿泊客からすると日本の一般的な家に泊まることで、ホテル泊まりでは体験することができない日常を味わえるということが最大の魅力だという。
また、自宅の余ったスペースを提供するだけでなく、最近では宿泊客用に物件を用意し、個人のビジネスとしてサイトを利用しているユーザーもいる。一般的にホテルよりも安い価格帯が多いため宿泊代を節約したい旅行者に支持されており、その一方でホストはうまく運用すれば家賃を大きく上回る収入を稼ぎ出すこともできる。両者にとってウィンウィンなサービスとも言える。
だが、法律の観点ではグレーだ。宿泊料を取り、宿泊させる営業として見るとAirbnbは旅館業法に引っかかる可能性がある。もしこれに該当するならば、都道府県知事に許可を取らなければいけないのだが、現状は見逃されている。
こうしたグレーな状況を改善するため、東京都、神奈川県、千葉県成田市でつくる「東京圏」など一定の地域で民泊を認める方針が政府によって固められた。羽田空港のおひざ元である東京都大田区では年内に民泊を認める条例制定を目指すなど、限定的ではあるものの認可されていく流れができている。
認可が進めば、副業として人気を集めることは必至。賃貸の場合大家の許可を取る必要はあるものの、宿泊施設の需要が増していくことは間違いないのでおいしい分野だ。不動産業者にとっても、民泊用の物件の人気が高まることで新たな需要が生まれるだろう。
大きなビジネスチャンスが生まれる民泊、今のうちにチェックしておいても損はないはずだ。
民泊とはホテルや旅館ではなく、一般の住宅に宿泊すること。観光庁がこのほど発表した宿泊旅行統計調査によると、2015年7月の東京のビジネスホテルの稼働率は93.2%。大阪のビジネスホテルは90.5%、リゾートホテルは95.3%にまで達している。「ホテルの予約が取れない」という悲鳴も納得の数字だ。かといって宿泊施設を次から次へと建設できるわけでもなく、“宿泊難民”の新たな受け入れ先として民泊が注目を浴びている。
特に盛り上がりを見せているのがインターネットを介しての民泊で、アメリカ発のサイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」と「couchsurfing」が大手。前者は宿泊料が発生し、後者は発生しない、というのが最大の違いだ。どちらも欧米を中心とした訪日外国人旅行者に広く知られている。
日本では民泊がまだ一般的でないため、「え、見ず知らずの人の家に泊まるの?(or見ず知らずの人を家に泊めるの?)」と抵抗があるかもしれないが、両サイトともに評価システムを導入している。泊めた、あるいは泊まった際に各ユーザーが評価し合うため、ヤフオクのように実績を積み重ねることで信頼を醸成することになる。
特にAirbnbは宿泊代金が発生するため、コミュニケーションが問題なく取れたか、部屋のアクセスは良かったか、部屋は清潔だったか、などチェック項目が細かく用意されており、過去の評価を見ることで信頼のおけるホストかどうか判断することができる。また、Airbnbは宿泊者が宿泊先に損傷を与えた際、サイトが損害を補償するというサービスもある。
ホストの立場から見ると自宅の余ったスペースで副業をできるうえ、外国人旅行者とコミュニケーションを取れるという楽しみがある。宿泊客からすると日本の一般的な家に泊まることで、ホテル泊まりでは体験することができない日常を味わえるということが最大の魅力だという。
また、自宅の余ったスペースを提供するだけでなく、最近では宿泊客用に物件を用意し、個人のビジネスとしてサイトを利用しているユーザーもいる。一般的にホテルよりも安い価格帯が多いため宿泊代を節約したい旅行者に支持されており、その一方でホストはうまく運用すれば家賃を大きく上回る収入を稼ぎ出すこともできる。両者にとってウィンウィンなサービスとも言える。
だが、法律の観点ではグレーだ。宿泊料を取り、宿泊させる営業として見るとAirbnbは旅館業法に引っかかる可能性がある。もしこれに該当するならば、都道府県知事に許可を取らなければいけないのだが、現状は見逃されている。
こうしたグレーな状況を改善するため、東京都、神奈川県、千葉県成田市でつくる「東京圏」など一定の地域で民泊を認める方針が政府によって固められた。羽田空港のおひざ元である東京都大田区では年内に民泊を認める条例制定を目指すなど、限定的ではあるものの認可されていく流れができている。
認可が進めば、副業として人気を集めることは必至。賃貸の場合大家の許可を取る必要はあるものの、宿泊施設の需要が増していくことは間違いないのでおいしい分野だ。不動産業者にとっても、民泊用の物件の人気が高まることで新たな需要が生まれるだろう。
大きなビジネスチャンスが生まれる民泊、今のうちにチェックしておいても損はないはずだ。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
胆のう結石、胆のうポリープ…胆のうの仕組みと治療の実際
胆のうの病気~続・がんと治療の基礎知識(1)胆のうの役割と胆石治療
消化にとって重要な臓器「胆のう」。この胆のうにはどのような仕組みがあり、どのような病気になる可能性があるのだろうか。その機能、役割についてあまり知る機会のない胆のう。「サイレントストーン」とも呼ばれる、見つけづ...
収録日:2024/07/19
追加日:2025/07/14
青春期は脳のお試し期間!?社会的ニッチェと信頼の形成へ
今どきの若者たちのからだ、心、社会(2)思春期の成長、青春の脳
思春期にからだが急激に成長することを「思春期のスパート」と呼ぶ。先行して大きくなった脳にからだを追いつかせるための戦略である。脳はそれ以上大きくならないが、脳内の配線が変化する。そうした青春期の脳の実態を知るた...
収録日:2024/11/27
追加日:2025/07/12
イエスも法華経のアバター?「全世界救済」の具体像を示す
おもしろき『法華経』の世界(7)真の救済に向かう
『法華経』の原題は「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」といい「白蓮の正しい教え」を表す。想像を超えた長い年月、無数のアバターを通して『法華経』が目指すのは真の救済である。それゆえキリスト教のイエスも「久遠実成...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/07/13
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
日本の財政をくまなく検査し、その収入と支出を把握する会計検査院。日本のメディア報道などでは、予算の決定や補助金などの政策決定については詳しく報じられるが、それがどのように実際に使われたかは、ほとんど言及がない。...
収録日:2025/04/14
追加日:2025/07/11
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
日本経済が低迷する原因は何か。大きなポイントとして「お金が回っておらず、死蔵されてしまっていること」が挙げられる。そもそも、お金が市中にどのように流通し、どのような役割を果たしていくのかを理解しなければ、経済を...
収録日:2024/12/04
追加日:2025/02/22