テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2015.12.06

山奥でひたすら座禅!?京都から広まった「ヴィパッサナー瞑想法」とは?

注目を集める瞑想

 近年のネットのインフラ整備によって、現代人は自分が欲しようとしなくてもあらゆる情報が向こうからやってくる。例えば多くのユーザーを持つFacebookなどは、出会い系のマッチングアプリや転職サイトなどの広告がいたるところに盛り込まれている。そういった広告を何度も見ているうちに、気が付けばそれを上手に使いこなすヘビーユーザーになっている、などという経験は誰にでも一度や二度はあることだ。

 そのような例から鑑みると、現代とは気づかれないように意図された道筋を歩まされているような気がする。しかし、それは最初から自分の歩むべき道が分からず、迷走していただけに過ぎないのかもしれない。現代とは、あらゆるところに人を惑わす迷路が潜んでいるということだろう。

 そういった迷える現代社会において、昨今注目を集めているのが「瞑想」である。例えば、瞑想という単語をキーワードにググってみるだけで、驚くほどの種類の瞑想講座の案内であふれている。ただ、講座の中には首をかしげたくなるものや、かなり高額なものも少なくない。それらに大枚をはたいて参加する人がいるとすれば、それだけ瞑想が求められているということだろう。

 瞑想は、大まかに分けると二つほどある。

1:黙して座禅するもの
2:マントラ(呪文やお経)を唱えるもの

 黙して座禅するものは静寂へと自分を導いてゆくが、マントラを唱えるものはで意識を高揚させる働きがあるだろうか。前者の最たる例でいえば曹洞宗の座禅にあたり、後者は法華経などを唱える日蓮宗などが有名であろう。

 また、意外に感じられるかもしれないが、ヨガも瞑想のひとつである。ヨガは身体的な運動に加えて、オーム(お経)を唱え、最後はあぐらを組むなり、あるいはシャバーサナ(屍のポーズ)といって仰向けになって寝てリラックスする。

京都で大人気の瞑想法

 もうひとつ紹介しておこう。

 「ものごとをありのまま見る」という意味を持つ、ヴィパッサナー瞑想法というものがある。こちらの瞑想法は10日間ほど山奥にある宿舎でひたすら座禅を組んで瞑想するものである。修業期間中は日常生活から離れ、参加者とは一切喋ってはならず、煙草やお酒も禁止され、文字を目にすることも、何かを書くことも許されない。つまり日用品のほとんどを預けることが義務付けられている。食事に関しては、朝食と昼食のみで、全てオーガニックの玄米菜食を基本にしている。起床は朝の4時半、就寝は夜の九時。起きている間は、徹底的に、座禅を組んで瞑想するストイックな生活となる。

 このヴィパッサナー瞑想法は2500年以上も前から、インドで、人間全てに共通する病のための普遍的な治療法として指導され、現在では世界中にその合宿所が運営されている。日本では、京都と千葉にあり、殊に京都の方ではコースがすぐに埋まってしまうほどの人気だという。この瞑想コースは無償であり、参加者の任意の寄付によって成り立っている。

 他にも、早朝の時間帯を利用した座禅会を無償で催しているところもある。早朝となれば、仕事の前に行くことが出来るだろう。

 ということで、今回はお金がかからないものに限定させてもらった。いろいろな瞑想法があるのだが、大事なのは、自分にあった瞑想法を見つけることではないだろうか。あわただしい日々の迷走から抜け出すためにも、一度試してみてはいかが。

<参考サイト>
・「日本ヴィパッサナー協会」
http://www.jp.dhamma.org/940.html?&L=12
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

マネへの強烈なライバル意識…セザンヌ作品にみる現代性

マネへの強烈なライバル意識…セザンヌ作品にみる現代性

作風と評論からみた印象派の画期性と発展(1)セザンヌの個性と現代性

印象派の最長老として多くの画家に影響を与えたピサロ。その影響を多分に受けてきた画家の中でも最大の1人がセザンヌだが、その才覚は第1回の印象派展から発揮されていた。画面構成や現代性による解釈から、セザンヌ作品の特徴...
収録日:2023/12/28
追加日:2025/07/10
安井裕雄
三菱一号館美術館 上席学芸員
2

AI時代の「真のリアル」は文芸評論の練達の手法にあり!

AI時代の「真のリアル」は文芸評論の練達の手法にあり!

編集部ラジオ2025(14)なぜAI時代に文芸評論が甦るのか

どんどんと進む社会のAI化。この大激流のなかで、人間の仕事や暮らしの姿もどんどん変わっていっています。では、AI時代に「人間がやるべきこと」とはいったい、何なのでしょうか? さらにAIが、驚くほど便利に何でも教えてく...
収録日:2025/05/28
追加日:2025/07/10
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
3

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期

なぜ思春期に注目するのか。この十年来、10歳だった子どもたちのその後を10年追跡する「コホート研究」を行っている長谷川氏。離乳後の子どもが性成熟しておとなになるための準備期間にあたるこの時期が、ヒトという生物のライ...
収録日:2024/11/27
追加日:2025/07/05
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長
4

正岡子規と高浜虚子の論争、その軍配と江藤淳暦年のテーマ

正岡子規と高浜虚子の論争、その軍配と江藤淳暦年のテーマ

AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(3)正岡子規と高浜虚子の「リアリズム」

正岡子規の死後、高浜虚子が回想で述べた師・子規との論争。そこに「リアリズムとは何か」のヒントが隠されていると江藤淳氏は言う。子規と虚子、それぞれの「リアル」とは何か、そしてどちらが本当の「リアル」なのか。近代小...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/09
與那覇潤
評論家
5

グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味

グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味

地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海

北極圏に位置する世界最大の島グリーンランド。ここはデンマークの領土なのだが、アメリカの軍事拠点でもあり、アメリカ、カナダとヨーロッパ、ロシアの間という地政学的にも重要な位置にある。また、気候変動によってその軍事...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/07/07
小原雅博
東京大学名誉教授