テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.12.14

一番幸せな都道府県はここ! 意外な幸福度ランキング

 47都道府県比較のなかで「幸福度」というユニークな指標があります。「あなたの県はあまり幸せじゃありませんね」、突然そんなことを言われたら面食らってしまいそうです。幸せかどうかは極めて主観的な要素ですが、都道府県ごとの「幸福度ランキング」とは、いったい何を尺度にして順位を算出しているのでしょうか。

幸福度ランキングとは

 47都道府県の幸福度については、法政大学大学院政策創造研究科の坂本教授研究室が2011年に発表した「47都道府県の幸福度に関する研究成果」、日本総合研究所が2012年より2年おきに発表している「全47都道府県幸福度ランキング」が有名です。どちらも主観的に幸せかどうかをアンケート調査したわけではなく、社会経済統計のデータを利用した順位づけになっています。

 具体的には、健康、文化、仕事、生活、教育を指標に、未婚率や持ち家率、離職率、労働時間、出火件数、病床数、人口増加率、一人あたり県民所得、選挙投票率、食料自給率といった客観的なデータ集計から総合した序列が「幸福度ランキング」となっています。

47都道府県総合力としての幸福度

 「全47都道府県幸福度ランキング」を監修した寺島実郎氏はこのように述べています。

 「そもそも幸福とは、相対的かつ主観的な価値であり、心の持ち方ひとつで様々に移ろいゆくものである。しかし、我々は、『地域の幸福』を考えるうえで基盤となる要素が存在するであろうとの信念を持ち、シンクタンクとして分析を行ってきた」

 指標の内容を見るに、「幸福度」というキャッチーな名称に惑わされますが、「47都道府県総合力」というべき、厚生基盤の充実度といったほうが実態に近いようです。こうしたランキングが公表されることのメリットは、どこの都道府県民が幸福か競うというより、各指標の順位が実際に見えることで各自治体の強みや課題が明瞭になるところでしょう。

2018年度幸福度ランキング

 2018年度のベスト5は以下の通りです。

1位:福井県
2位:東京都
3位:長野県
4位:石川県
5位:富山県

 福井県は2014年より3回連続の首位となり、上位の都道府県は安定したランクインを続け、北陸地方の評価の高さが目をひく結果となっています。東洋経済オンライン編集部によると、上昇傾向として、山梨県(14位→6位)、山形県(22位→10位)、茨城県(26位→11位)、三重県(23位→13位)を取りあげ、そのポイントを「健康」と「文化」の伸びにあることを指摘しています。

 総合ランキングは、上位の都道府県民にとってみれば地元に誇りを感じられるものとなりますが、全都道府県民にとって意味のあるのは、個々の指標ポイントの推移を分析することになりそうです。それぞれの自治体の強みと弱みを知り、治政に役立てることこそ肝要でしょう。

 北陸に住むことが幸せになることと錯覚してしまいがちなランキングですが、それぞれのポジションに一喜一憂するのではなく、それぞれの指標が「幸福度」に見合うものであるかという裁定を含めて、厚生水準の実態を冷静に見極めるリテラシーを持ちたいものです。

<参考サイト>
・東洋経済オンライン:最新通信簿!47都道府県「幸福度」ランキング
https://toyokeizai.net/articles/-/221831
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授