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一番幸せな都道府県はここ! 意外な幸福度ランキング
47都道府県比較のなかで「幸福度」というユニークな指標があります。「あなたの県はあまり幸せじゃありませんね」、突然そんなことを言われたら面食らってしまいそうです。幸せかどうかは極めて主観的な要素ですが、都道府県ごとの「幸福度ランキング」とは、いったい何を尺度にして順位を算出しているのでしょうか。
具体的には、健康、文化、仕事、生活、教育を指標に、未婚率や持ち家率、離職率、労働時間、出火件数、病床数、人口増加率、一人あたり県民所得、選挙投票率、食料自給率といった客観的なデータ集計から総合した序列が「幸福度ランキング」となっています。
「そもそも幸福とは、相対的かつ主観的な価値であり、心の持ち方ひとつで様々に移ろいゆくものである。しかし、我々は、『地域の幸福』を考えるうえで基盤となる要素が存在するであろうとの信念を持ち、シンクタンクとして分析を行ってきた」
指標の内容を見るに、「幸福度」というキャッチーな名称に惑わされますが、「47都道府県総合力」というべき、厚生基盤の充実度といったほうが実態に近いようです。こうしたランキングが公表されることのメリットは、どこの都道府県民が幸福か競うというより、各指標の順位が実際に見えることで各自治体の強みや課題が明瞭になるところでしょう。
1位:福井県
2位:東京都
3位:長野県
4位:石川県
5位:富山県
福井県は2014年より3回連続の首位となり、上位の都道府県は安定したランクインを続け、北陸地方の評価の高さが目をひく結果となっています。東洋経済オンライン編集部によると、上昇傾向として、山梨県(14位→6位)、山形県(22位→10位)、茨城県(26位→11位)、三重県(23位→13位)を取りあげ、そのポイントを「健康」と「文化」の伸びにあることを指摘しています。
総合ランキングは、上位の都道府県民にとってみれば地元に誇りを感じられるものとなりますが、全都道府県民にとって意味のあるのは、個々の指標ポイントの推移を分析することになりそうです。それぞれの自治体の強みと弱みを知り、治政に役立てることこそ肝要でしょう。
北陸に住むことが幸せになることと錯覚してしまいがちなランキングですが、それぞれのポジションに一喜一憂するのではなく、それぞれの指標が「幸福度」に見合うものであるかという裁定を含めて、厚生水準の実態を冷静に見極めるリテラシーを持ちたいものです。
幸福度ランキングとは
47都道府県の幸福度については、法政大学大学院政策創造研究科の坂本教授研究室が2011年に発表した「47都道府県の幸福度に関する研究成果」、日本総合研究所が2012年より2年おきに発表している「全47都道府県幸福度ランキング」が有名です。どちらも主観的に幸せかどうかをアンケート調査したわけではなく、社会経済統計のデータを利用した順位づけになっています。具体的には、健康、文化、仕事、生活、教育を指標に、未婚率や持ち家率、離職率、労働時間、出火件数、病床数、人口増加率、一人あたり県民所得、選挙投票率、食料自給率といった客観的なデータ集計から総合した序列が「幸福度ランキング」となっています。
47都道府県総合力としての幸福度
「全47都道府県幸福度ランキング」を監修した寺島実郎氏はこのように述べています。「そもそも幸福とは、相対的かつ主観的な価値であり、心の持ち方ひとつで様々に移ろいゆくものである。しかし、我々は、『地域の幸福』を考えるうえで基盤となる要素が存在するであろうとの信念を持ち、シンクタンクとして分析を行ってきた」
指標の内容を見るに、「幸福度」というキャッチーな名称に惑わされますが、「47都道府県総合力」というべき、厚生基盤の充実度といったほうが実態に近いようです。こうしたランキングが公表されることのメリットは、どこの都道府県民が幸福か競うというより、各指標の順位が実際に見えることで各自治体の強みや課題が明瞭になるところでしょう。
2018年度幸福度ランキング
2018年度のベスト5は以下の通りです。1位:福井県
2位:東京都
3位:長野県
4位:石川県
5位:富山県
福井県は2014年より3回連続の首位となり、上位の都道府県は安定したランクインを続け、北陸地方の評価の高さが目をひく結果となっています。東洋経済オンライン編集部によると、上昇傾向として、山梨県(14位→6位)、山形県(22位→10位)、茨城県(26位→11位)、三重県(23位→13位)を取りあげ、そのポイントを「健康」と「文化」の伸びにあることを指摘しています。
総合ランキングは、上位の都道府県民にとってみれば地元に誇りを感じられるものとなりますが、全都道府県民にとって意味のあるのは、個々の指標ポイントの推移を分析することになりそうです。それぞれの自治体の強みと弱みを知り、治政に役立てることこそ肝要でしょう。
北陸に住むことが幸せになることと錯覚してしまいがちなランキングですが、それぞれのポジションに一喜一憂するのではなく、それぞれの指標が「幸福度」に見合うものであるかという裁定を含めて、厚生水準の実態を冷静に見極めるリテラシーを持ちたいものです。
<参考サイト>
・東洋経済オンライン:最新通信簿!47都道府県「幸福度」ランキング
https://toyokeizai.net/articles/-/221831
・東洋経済オンライン:最新通信簿!47都道府県「幸福度」ランキング
https://toyokeizai.net/articles/-/221831
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