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DATE/ 2016.03.10

市場規模は2兆円超!空前の猫ブームが招いた「ネコノミクス」

 一般社団法人ペットフード協会の犬と猫の全国の推計飼育数調査によると、2014年の調査では、犬は1,035万匹、猫は996万匹。同じ2014年で見ると、15歳未満の子どもの数が1,632万人(総務省統計局)なので、一概に比較はできないが、犬と猫を合わせた飼育頭数のほうが子どもの数を上回っていることになる。

 ペットを飼ったきっかけは「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」が犬では33.1%、猫では33.5%と約1/3の人がペットに「癒し」を求めているようだ。犬と猫で比べてみると、過去5年で犬は12.8%減少する一方、猫は3.6%増えており、このままいけば猫の飼育頭数が犬を上回ることになるだろう。

今や空前の猫ブーム。

 猫が人気の理由は、まず飼いやすさがひとつある。犬は散歩の必要があるため単身者には飼いにくく、またしつけの手間などもかかるため、家族で飼う場合も協力が必要になるだろう。それに比べて猫は散歩の必要がないため、単身者や高齢者でも飼いやすいのだ。

 それゆえか、今は空前の猫ブーム。関西大学の宮本勝浩名誉教授は、猫ブームがもたらした経済効果「ネコノミクス」は2015年1年間で年間およそ2兆3162億円に上るとする試算が発表している。

 2月22日は「ニャンニャン」で猫の日とされており、全国各地で猫に関するイベントが開かれた。2011年から「飼い主のいない猫の殺処分ゼロ」を4年連続で実現した東京都千代田区では、2月20日、21日に「ちよだ猫まつり」が開かれ、猫グッズを販売したり、保護猫の飼い主を探すコーナーが設けられ、2日間の来場者は1万5000人と大盛況だった。

 ブームの勢いはメディアの世界でも顕著で、猫の写真とその写真のキャッチコピー、さらには人生の役に立つ偉人の格言などをまとめた文響社刊行の『人生はニャンとかなる 明日に幸福をまねく68の方法』(水野敬也・長沼直樹著、2013年10月)は49万部を売り上げる大ベストセラーとなった。

 またNHKのBSプレミアムの番組『岩合光昭の世界ネコ歩き』は動物写真家の岩合光昭氏が世界の街角にいる猫を猫の目線で切り取って撮影するドキュメンタリー番組で、2013年からはレギュラー放送されている。

責任を持って愛情をかけ、ペットとの生活を楽しむ

 猫ブームもネコノミクスもいいだろう。だが、忘れてはいけないことがある。猫も犬も当然ながら動物であり、生き物。ペットとして飼いやすいとはいえ、「癒し」「かわいさ」だけではすまされない。食事を与え、健康を管理し、病気になれば病院へ連れて行かなければいけない。生涯を全うするまで寄り添う覚悟が必要なのだ。その場の感情で安易にペットショップなどで買うのはやめるべきだろう。ブームの裏では97,922匹もの猫が施設へ持ち込まれ、79,745匹もの数の猫が殺処分されている。そのうち飼い主からの持ち込みが12,197匹もいるという悲惨な現実もあるのだ (環境省・平成26年度の統計)。

 猫に限らず、ペットを飼いたいと考えている人には、そういった保護された動物を選ぶ、命を救うという手段も選択肢にぜひ入れて欲しい。そして迎え入れた動物は、そのペットが生涯を終えるまで責任を持って愛情をかけ、慈しみながら、ペットとの生活を楽しんでいただきたいものだ。

<参考サイト>
・環境省:「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
・関西大学:「ネコノミクスの経済効果」
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2015/No44.pdf
・総務省:我が国のこどもの数(平成27年)
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi891.htm#aI-1
・平成26年 全国犬猫飼育実態調査 http://www.petfood.or.jp/data/chart2014/
(10MTV編集部)