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DATE/ 2016.04.30

「かゆみ」は体の異常を知らせる警告だった?

 かゆみには、虫刺されやじんましんなどの「皮膚の異常によるもの」のほかに、「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」といって「皮膚に目立った異常がないのにかゆいもの」があることを、みなさん知っていますか。

 たとえば、秋から冬にかけての乾燥した季節にかゆみが出て、梅雨の時期に自然に止まるかゆみは、「乾皮症」という乾燥が原因の症状で、皮膚掻痒症のひとつです。ただし、ひとくちに乾燥のかゆみといっても、内臓疾患から起こるものもあるので、皮膚に目立った異常がないのにかゆみがあるときは、注意が必要です。

かゆみは体の異常を知らせる警告

 かゆみについて、順天堂大学の名誉教授で同大学院医学研究科皮膚科学特任教授の髙森建二先生はこう説明しています。

 “痛みは、体のどこかに炎症があり、それが拡大しないように体の方からわれわれに早く治療するよう警告するために存在すると考えられています。痛みの刺激があると、私たちはそれから逃れようと、逃避反応を引き起こします。これに対して、かゆみがなぜ存在するのかということは、まだ分かっていません。しかし、私はかゆみもやはり痛みと同じように、体の異常を知らせるマーカー(警告反応)であると考えています”

 「なぜ、かゆみが存在するのか」について、いまだ解明されていないという事実には驚きますが、かゆみが体の中からの何かしらのサインであることは、だれもが自分の体を通して理解できることではないでしょうか。

 髙森建二先生によると、じつは先に挙げた「皮膚掻痒症」は内臓の異常によっても起こるとのこと。たとえば、腎臓や肝臓に疾患がある人などです。腎不全で透析をおこなっている患者さんの中で80~90パーセントの人がかゆみを伴い、その中の10~20パーセントの人は夜も眠れないような激しいかゆみを経験しているそうです。

 同じようなかゆみは肝疾患でも出ており、肝硬変の人にはいろいろな病気の中で一番強いかゆみが起こるといわれています。

 現在、かゆみがある場合に飲むのは抗ヒスタミン薬で、大部分のかゆみを抑えてくれますが、こういった内臓の異常から起こるかゆみには効かないとのこと。ちなみに、がんやHIV感染症を患っている場合にも、かゆみが出るそうです。

「たかが、かゆみ」と軽く見ず、原因を突き止める

 薬といえば、皮膚掻痒症の原因には他の薬が関係していることがあるという点にも注目したいところです。髙森建二氏はこう言っています。

 “高齢者になってくると、いろいろな薬を飲んでいて、10種類ぐらい服用する方はざらにいます。そうすると、そのいずれかがかゆみを起こす場合もあります。湿疹反応がないのにかゆみがある場合には、現在内服している薬についても調べる必要があるということです。飲み薬をひとつずつ減らしていって、かゆみが止まるかどうかを調べてみる必要があります”

 さらに、食物の中にもかゆみを起こす物質があり、そういったものを食べすぎて、かゆみが起こることもあるそうです。

 かゆみの原因はこのように多岐にわたり、原因を突き止めるのは簡単ではありません。しかし、かゆみは体の中の異常を警告するサイン。心当たりのある人は「たかが、かゆみ」と見過ごさず、皮膚科や内科で一度検査してみてはいかがでしょう。

(10MTV編集部)