テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.08.03

出会い系サイトのプロフィールはどれだけ本当?

最近の主流はSNS出会い系

 「出会い系サイト」と聞くとあまり良い印象をもたないかもしれません。実際に出会い系サイトから事件に発展するケースもありますし、悪質サイトや迷惑メールを連想する方も少なくないと思います。

 その一方で、恋人を探すために出会い系サイトを利用する人は一向に絶えません。事前に顔写真やプロフィールを知ることができることから、合コンや友人の紹介よりも自分の好みの人を探しやすく、婚活として利用する人もたくさんいます。

 出会い系サイトは、インターネット上で最も成功している会員制ビジネスのひとつでもあります。最近では、Facebookアカウントを使って登録する「pairs(ペアーズ)」などSNS出会い系が若い世代を中心に支持を集めています。

出会い系サイトの登録プロフィールはどのくらい正確なのか

 仮に利用するとしたら、気になるのは「出会い系サイトの登録プロフィールがどのくらい正確なのか」、あるいは「どのくらい嘘があるのか」という点でしょう。

 こうした疑問に答えるべく学術的に探求したレポートが存在します。アメリカの経済学者のアリ・ホルタッチュとギュンター・J・ヒッチ、心理学者のダン・アライエリーの3人のレポートです。170万部のベストセラーとなった話題の書『ヤバい経済学』(東洋経済新報社)でも取り上げられています。

 主な出会い系サイトの1つを取り上げ、ボストンとサンディエゴの利用者約2万3000人のデータを分析しました。利用者の57パーセントは男性で、全利用者の中央値は26歳から35歳でした。

ルックスが「人並み」と答えた人は30%、「人並み以下」は1%

 「出会い系サイトの登録プロフィールはどのくらい正確なのか」ー結論からいうと、プロフィールにはかなりデタラメが多いということでした。
 たとえば、高給取りだと自称する人たちの4人に3人はサバを読んでいることが分かりました。また、典型的な利用者の身長の平均値を算出したところ、全国平均より3センチも高かったのです。

 さらに印象的なのは、女性の70パーセントがルックスは「人並み以上」、そのうちの24パーセントの人がルックスは「とてもいい」と主張していることです。男性もほぼ同様の結果が出ているそうで、「人並み」と答えた人は30パーセント、「人並み以下」は1パーセントでした。

知っている情報と公表している情報のズレ

 レポートでは、以上のような出会い系サイトのプロフィールのデタラメさを証明するエビデンスがその他いくつも紹介されています。

 ちなみに出会い系サイトに登録した男性のうち57パーセント、女性の23パーセントはひとつもレスがなかったということです。この点については、現在ではもっと出会える精度が高まっているように思えます。なお、こちらの出会い系に関するレポートは2004年に発表されたものなので、10年以上経過した現在の状況にどれほど当てはまるかは分かりません。それでも、私たち人間がとても見栄っ張りで、知っている情報と公表している情報とのあいだには大きなズレがあるという点はいつの時代も変わらないのではないでしょうか。

<参考文献>
『ヤバい経済学』(スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー著、東洋経済新報社)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは

“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは

空海と詩(4)詩で読む『秘蔵宝鑰』

“悠々たり悠々たり”にはじまる空海『秘蔵宝鑰』序文の詩文。まことにリズミカルな連呼で、たたみかけていく文章である。このリフレインで彼岸へ連れ去られそうな魂は、選べる道の多様さと迷える世界での認識の誤りに出会い、“死...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/23
鎌田東二
京都大学名誉教授
2

国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験

国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験

独立と在野を支える中間団体(6)慶應義塾大学「三田会」の起源

中間集団として象徴的な存在である慶應義塾大学「三田会」について考える今回。三田会は単に同窓会組織として存在しているわけではなく、「公」に頼れない場合に重要な役割を果たすものだった。その三田会の起源について解説す...
収録日:2024/06/08
追加日:2024/11/22
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授
3

日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化

日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化

日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化

大転換期の真っ只中にいるわれわれにとって、日本の特性を強みとして生かしていくために忘れてはいけないことが二つある。一つは日本が森林山岳海洋島国国家であるというその地理的特性。もう一つは、日本文化の根源としての縄...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/16
田口佳史
東洋思想研究家
4

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担

人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
森田朗
一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事
5

謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像

謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像

日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学

日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14