テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.09.14

写真投稿で住所がバレる?スマホマナーと危険性

 街中で、スマホを見ながら歩いていたり、電車の中でずっとスマホを見ている人が多くなりました。特にポケモンGOが日本にスタートしてからは、歩きスマホの人を非常によく見かけるようになりました。

 しかし、ゲームやSNSに熱中しすぎて、周りが見えなくなっていませんか。スマホを見ているだけで人に迷惑をかけたり、大きな事故につながることもあるのです。

みんなやりがち歩きスマホ

 歩きスマホについては、CMやポスターなどで注意喚起があるものの、ついやってしまいがちです。スマホを見ているときは、普通に前を見ているときに比べて視界が20分の1に落ちるといいます。これは怖いことです。混んでいる場所を歩くだけでも人とぶつかる可能性が高いのに、多くの人が視界を奪われたまま歩いたらどうなるか、想像できますね。スマホを見ながら歩いている間、私たちは無防備な状態になります。車や自転車が近づいてきても、とっさによけることができず、たいへんな事故につながることもあるのです。

 そのため、通信業界では歩きスマホ問題を重く受け止め、ホームページだけでなく、公共機関などと組んで注意喚起を行っているところもあります。もはや社会問題となってしまっています。

 ちなみに、自転車に乗りながらのスマホに関しては、平成21年7月1日から一部改正され施行された東京都道路交通規則第8条で「自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。」として禁止されており、違反すると5万円以下の罰金となっています。このような罰則はまだ、歩きスマホにはありませんが、事故や被害が広がっていけば、罰則化の動きが進んでいくのもそう遠くないはずです。

TPOをわきまえる

 時と場所と場合、これを考えるのがスマホを手にする人の最低限のマナーです。電車の中で気を付けたいのが、イヤフォンの音量。聞こえているのは自分だけ、と思いきや、意外ともれていたりします。自分には心地よい音楽でも、他人にとっては騒音でしかないときもあります。一度外してみて、大きすぎないかを確かめたほうがいいでしょう。

 また映画館や劇場、美術館などでは電源を切らなくてはいけません。誰もがわかっていることですが、うるさく言われないと守れないという人もいます。病院など精密機器の不具合を起こしかねないために使用を禁止されている場所も同じ。スマホを取り出す前に、いま使ってもいいかどうか、一度考えてみることが必要です。
 

写真を撮ることの気軽さと危うさ

 今のスマホには優れた写真機能が搭載されています。まるでカメラを持ち歩くように、スマホですぐ写真が撮れる時代です。しかしその手軽さから、いつでもどこでも写真を撮るのはどうなのか、という問題があります。芸能人も一般人も、街中を歩く人たちはスマホの画面におさまるためにいるのではありません。ちょっと変わったことがあったからといってなんでもかんでもスマホで写真を撮ると、それがいつの間にか盗撮行為だと誤解されてしまうこともあるので注意が必要です。

 さらに、撮った写真をすぐにSNSへ投稿すると、そこで問題が発生するケースも。『SNS時代の写真ルールとマナー』(日本写真家協会編、朝日新書)では、スマホの位置情報について触れ、スマホには「GPS(全地球測位システム)や電波を使って、自分がいる場所を判断する機能」があり、それは「撮影した場所を調べられる便利な機能なのですが、その写真をインターネットで公開すると、他人でも撮影場所を調べることができてしまう」とあります。例えば、「自宅で撮った写真をそのままアップロードすると、住所までインターネットに公表することになってしまう」そうです。つまり、写真を撮る行為が自分に危険を及ぼすこともあるということです。これを防ぐためにはスマホの位置情報をオフにすることが必要となるということで、スマホでの写真撮影の知識として覚えておきましょう。

意識の低さが規制を生む

 マナー、ルール、とうるさく思う人もいるかもしれません。しかし、自分が何気なくしていることが他人に迷惑をかけているとすれば、どうでしょう。自覚するだけで、おのずと行動が変わってくるはずです。

<参考文献>
『SNS時代の写真ルールとマナー』(日本写真家協会編、朝日新書)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識

ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識

ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム

「ヒトは共同保育の動物だ」――核家族化が進み、子育ては両親あるいは母親が行うものだという認識が広がった現代社会で長谷川氏が提言するのは、ヒトという動物本来の子育て方法である「共同保育」について生物学的見地から見直...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/08/31
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長 元総合研究大学院大学長
2

日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道

日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道

未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発

日本は第二次大戦後に軍事飛行等の技術開発が止められていたため、宇宙開発において米ソとは全く違う道を歩むことになる。日本の宇宙開発はどのように技術を培い、発展していったのか。その独自の宇宙開拓の過程を解説する。(...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/02
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士
3

天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制

天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制

「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉

現代流にいうと地政学的な危機感が日本を中央集権国家にしたわけだが、疫学的な危機によって、それは早い終焉を迎えた。一説によると、天平期の天然痘大流行で3割もの人口が減少したことも影響している。防人も班田収授も成り行...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/01
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
4

世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係

世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係

数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家

数学も音楽も生きていることそのもの。そこに正解はなく、だれもがみんな数学者で音楽家である。これが中島さち子氏の持論だが、この考え方には古代ギリシア以来、西洋で発達したリベラルアーツが投影されている。この信念に基...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/08/28
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
5

発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る

発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る

睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題

社会的時差ボケの発生には、働き方も大きな影響をもっている。特にシフトワークによって不規則な生活リズムを強いられる業種ではその回避が難しい。今回は、発がんリスク、メンタルヘルスの不調など、シフトワークが抱える睡眠...
収録日:2025/01/17
追加日:2025/08/30
西多昌規
早稲田大学スポーツ科学学術院教授 早稲田大学睡眠研究所所長