社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.11.30

まるで宝塚?「キラキラネーム」人気ランキング

 自分で決めたわけでもないのに、固有名詞として自身に一生つきまとうもの。それが名前です。自分の名前を気に入っている人も、不満のある人もいるでしょうが、多くの人が自分の名前と折り合いをつけ受け入れて、生活していることだと思います。

 しかし、自分の名前がいわゆる「キラキラネーム」だったらどうでしょうか。今回は、近年急増する「キラキラネーム」、その傾向を探ってみました。

2016年上半期のキラキラネームランキングとは?

 「赤ちゃん名付け」というアプリ/サイトを運営するリクルーティングスタジオがこの8月に発表したキラキラネームアクセスランキングは、以下のような結果に。(2016年上半期ランキング)

1位「碧空」(あとむ、みらん、など)
2位「星凛」(きらり、あかり、など)
3位「奏夢」(りずむ、かなむ、など)
4位「輝星」(べが、だいや、など)
5位「妃」(ひな、きらり、など)

 続く6位以下も、美音、希星、陽空、心人、夢姫など、夢のある漢字で読めない字面の名前が続きます。文字だけ見ると、まるで宝塚歌劇団の芸名のような現実離れした名前ばかり。

 今回の特徴として、漢字では「星」や「空」を使ったものが多く、読みでもやはり星の輝きを表現するような「きらり」などの名前に人気が集まりました。

通常の名付け人気ランキングはどうなっているの?

 では、キラキラネームではない、通常の2016年上半期の人気の名付けランキングはどうなのか、そちらも気になりますよね。同アプリ/サイトから、1位から5位まで以下のように発表されています。

1位「心桜」(ここあ、こころ、など)
2位「陽翔」(はると、ひなた、など)
3位「颯」(かける、そよ、など)
4位「葵」(あおい、そら、など)
5位「心陽」(ここや、こはる、など)

 こちらは、前出のキラキラネームと比べると多少おとなしめなものの、キラキラネームの範疇に入りそうな名前が多く見られます。やはり何と読むのか分かりにくいものが大半です。

 上半期ということで、春や初夏といった季節を感じさせる漢字が選ばれている傾向がありますが、それをのぞいたら、キラキラネームとどこが違うのか、と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。

とにかく読めない! 読み方のバリエーションが多彩に

 そしてキラキラネームもそうでないものも、同じ漢字でありながら、その読み方の違う名前がたくさんあるのが近年のひとつの特徴かもしれません。

 例えば、キラキラネーム1位の「碧空」は、みらん・あとむのほか、「あおぞら」「そら」「そらと」「りく」「あおい」「みく」など様々な読み方が。

 通常の人気ランキング1位の「心桜」にいたっては、ここあ・こころのほか、「こはる」「ここな」「ここみ」「さくら」「しおり」「しおん」「みくら」「みさ」「みさき」「みゆ」「みら」「りお」「みお」と、無限とも思われる読みがあるのです。

「オンリーワン」願望がキラキラネームを生む?

 このようなキラキラネームが増加した背景には、親世代の趣味趣向の変化や、アニメやタレントなどに影響を受けやすい要因があるとの見方もされますが、もうひとつ、人名漢字が増えていることも大きな理由のようです。

 たとえば「葵」(あおい)という漢字は1976年に人名漢字として追加されたのですが、それ以降圧倒的な勢いで人気となり、今ではランキング入りに定着した感さえあります。また本来なら人名としてはあり得ないと思われていた「苺」(いちご)という漢字も、近年人名漢字に追加されてからすぐに使った親が多く、キラキラネームとして話題になるように。

 先ほどの、読みの多様性と合わせて考えてみると、「ほかの子とはひとあじ違う名前にしたい」「個性を出したい」「新しい名前にしたい」といった、親の心情が見えてきました。

 昔は、良家の子女に「子」のつく名前が多かったため、その憧れから女の子の名前に「○子」と「子」を付けるのが流行し、定着したといいます。しかし今は、ただ流行にのるだけではなく、その中でも自分の子どもをもう一歩目立たせたい、そんなオンリーワンな名付けが求められ、その結果キラキラネームが次々と誕生しているのかもしれませんね。

<参考サイト>
・赤ちゃん名付け
https://namae-yurai.net/main.htm
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造

宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授
2

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?

「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13
3

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
4

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム

初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
津崎良典
筑波大学人文社会系 教授
5

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質

「ワット・ビット連携」の概念がある。これは神経と血管の関係にも似ており、両者が密接に関係するところから、それをもとに人間の本質について考察していくことになる。また、中村天風の思想から着想を得て、人間の心には霊性...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/13