社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.12.13

進む二極化!「貯金ができる人」と「できない人」の違い

 将来に備えてコツコツ貯金していますか?今日本では、貯金できる人、できない人の二極化が進んでいます。その差は、どんなところにあるのでしょうか?

単身世帯の貯金額「真ん中」は20万円!

 まずは貯金に関するデータから見てみましょう。金融広報中央委員会がこのほど発表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、二人以上世帯の金融資産の平均は1078万円。単身世帯は822万円。その数字だけ聞くと「え?平均がそんなに高いのか!?」と驚いてしまうかもしれませんが、平均=普通、中流とは限らないので注意しましょう。

 中央値(小さい順に並べた時にちょうど真ん中に位置する値)で見てみると、二人以上世帯は400万円、単身世帯は何と20万円です。この平均と中央値の大きな乖離はなぜ起きるかというと、金融資産ゼロという単身世帯の回答が48.1%にも上ったからです。2007年は約30%だったのに、この10年で急増しています。

 一方、金融資産を持っている単身世帯だけを数字を見てみると、年によって多少の上下はあるものの、2007年の平均が1035万円だったのに対し、2016年は1590万円まで跳ね上がっています。貯金をできる人はどんどん貯める一方で、貯金をできない人の数は増えているというのが現実です。

金が貯まらない人の典型~ここが把握できていない!~

 収入が増えて支出が減れば自然と貯金は増えますが、言うは易し、行うは難し。そもそも貯金ができない人の典型例は、自分の収入と支出を把握できていないというケース。今は様々な家計簿アプリがあり、銀行口座と連携してくれるものだってあります。収支を見直すためには食費、交際費、通信費など分類した方が望ましいですが、少なくとも毎月の収入と支出、そして総資産は常に把握しておきたいものです。

 クレジットカードの支払額を把握していないのもNGです。カードは払うタイミングと引き落としにズレがあるため、思ってもいなかったような高額請求に驚くことも。一カ月ごとのかたまりとしてクレジットカードの請求額を捉えるのではなく、一回一回の支払いをきちんと認識しておきましょう。車を始めとした高額商品の場合は分割払いをするのも致し方ありませんが、一括でも払えるのに目先の痛みを避けるために分割払いにするのも厳禁です(金利が発生しないならどちらでも良いですが)。

 また、お金の引き出しに銀行のATMばかり使う人がいます。そのとき、注意したいのは手数料。ネット系を中心にコンビニATMで手数料を無料にできる銀行は数多くありますし、都銀のATMも一定の時間を避ければ無料です。「飲み会でお金足りなくなった!下ろさなきゃ!」ということで、手数料を払ってまでATMで使うのは極力避けたいですね。

 意識しなくても貯金できる人ならいざ知らず、なかなか貯金できない人は目標金額を決めていないことも多いでしょう。人間は弱いもの。ダイエットだってそうです、マラソンだってそうです、目標がなければなかなか頑張れない。「20年後に3000万円!」など大きすぎる目標を立ててしまうと挫折しかねないので、半年後、一年後などさほど長くないスパンで具体的な金額を決めると良いでしょう。

 貯金できている人から見ればどれも当たり前のことばかりですが、当たり前のことが案外難しいものです。まずは自分の収支を把握するところから始めてみましょう!

<参考サイト>
・知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査
http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/yoron_index/
※「平成28年(2016年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2016/pdf/yoronf16.pdf
※「平成28年(2016年) 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2016/pdf/yoront16.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる

「逆境とは何に逆らうことなのか」「人はそもそも逆境でしか思考しないのではないか」――哲学者鼎談のテーマは「逆境に対峙する哲学」だったが、冒頭からまさに根源的な問いが続いていく。ヨーロッパ近世、ヨーロッパ現代、日本...
収録日:2025/07/24
追加日:2025/12/19
2

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割

豊臣と羽柴…二つの名前で語られる秀吉と秀長だが、その違いは何なのか。また、これまで秀長には秀吉の「補佐役」というイメージがあったが、史実ではどうなのか。実はこれまで伝えられてきた羽柴(豊臣)兄弟のエピソードにはか...
収録日:2025/10/20
追加日:2025/12/18
黒田基樹
駿河台大学法学部教授 日本史学博士
3

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会

渡部昇一氏には、若き頃に留学したドイツでの体験を記した『ドイツ留学記(上・下)』(講談社現代新書)という名著がある。1955年(昭和30年)から3年間、ドイツに留学した渡部昇一氏が、その留学で身近に接したヨーロッパ文明...
収録日:2021/08/06
追加日:2021/10/23
渡部玄一
チェロ奏者
4

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
5

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会

アメリカが日本の運命を左右する国であることは、安全保障を考えても、経済を考えても、否定する人は少ないだろう。だが、そのような国であるにもかかわらず、日本人は、本当に「アメリカ」のことを理解できているだろうか。日...
収録日:2022/11/04
追加日:2023/01/06
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授