社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
なぜ「松竹梅」でランクが違うのか?
よく日本料理のコースで選択することになる「松竹梅」はみなさん、ご存じだと思います。やっぱり豪華なものは松、梅はひかえめという印象がありますよね。しかし、実はこの三種にはもともと序列がありませんでした。
ではどうして料理でランクが違うのか、何をもって「松竹梅」と付けられたのか、ちょっと調べていきましょうか。
「歳寒」のルーツは孔子の『論語』にあります。極寒の中で松が緑のつややかさを保つさまに目を向けられています。厳しい環境のなかで変わらぬ志をもつ、清廉潔白であることの象徴である「松竹梅」は、中国の文人(学を修めた士大夫)の理想を表現するのにふさわしいものだったかもしれません。画題として描かれていたこれらの植物は長らく愛され、陶器や建築の文様に組み込まれていったといいます。おめでたいものというよりも、人間の生き方を表すような意味合いがあったのですね。
「歳寒三友」が伝わってしばらくはこのような序列がなかったそうですが、江戸時代に蕎麦屋、寿司屋などが「特上」「上」「並」という呼び方を美しくしようと「松竹梅」をあてはめたのが順番の由来となった、といわれています。縁起物として扱われるのは日本独自なのですね。
神事では、松は神様をお迎えし、邪気を払う力をもつとされるそうです。「門松」の風習もありますね。松・竹・梅、どれもめでたく縁起のよいものですが、古来からの日本の考え方と組み合わせたとき、「松竹梅」の中では特に重要視されるものだったのかもしれません。
ではどうして料理でランクが違うのか、何をもって「松竹梅」と付けられたのか、ちょっと調べていきましょうか。
松・竹・梅の意味―「歳寒三友」とは
「松竹梅」の起源は中国にあるといいます。「歳寒三友」と呼ばれるものです。宋の時代に始まった文人画の画題の一つで、冬の寒さのなか、松は緑色を保ち、竹はすくすくと伸び、梅は花を開くということから好んで描かれたのだといいます。「歳寒」のルーツは孔子の『論語』にあります。極寒の中で松が緑のつややかさを保つさまに目を向けられています。厳しい環境のなかで変わらぬ志をもつ、清廉潔白であることの象徴である「松竹梅」は、中国の文人(学を修めた士大夫)の理想を表現するのにふさわしいものだったかもしれません。画題として描かれていたこれらの植物は長らく愛され、陶器や建築の文様に組み込まれていったといいます。おめでたいものというよりも、人間の生き方を表すような意味合いがあったのですね。
日本における「松竹梅」
さて、「歳寒三友」がいつ中国から伝わったのかについては定かではありません。しかし「松竹梅」は、中国とはまた違った意味合いで大事にされる植物でした。松は神が宿る樹木とされ、「節操」「不老不死」の象徴、竹は次へ次へと新芽が出、まっすぐ伸びていくようすから「子孫繁栄」の象徴、梅は寒くても花咲く「気高さ」と「長寿」の象徴とされています。「歳寒三友」が伝わってしばらくはこのような序列がなかったそうですが、江戸時代に蕎麦屋、寿司屋などが「特上」「上」「並」という呼び方を美しくしようと「松竹梅」をあてはめたのが順番の由来となった、といわれています。縁起物として扱われるのは日本独自なのですね。
日本において松が特別とされる理由
お店によっては梅が一番上とされる場所もあるそうですが、一般的には松が一番上等です。日本で、松という植物は、特別な意味を持っています。神事では、松は神様をお迎えし、邪気を払う力をもつとされるそうです。「門松」の風習もありますね。松・竹・梅、どれもめでたく縁起のよいものですが、古来からの日本の考え方と組み合わせたとき、「松竹梅」の中では特に重要視されるものだったのかもしれません。
どれも大切にしたい
ということで、中国から伝わり、しだいにその意味が変化していった「松竹梅」ですが、日本ではどれも深い意味を持つ、吉祥の植物とされているのです。こうして、もともとの意味を知ると、縁起物として見るときもより心から愛することができるのではないでしょうか。「松竹梅」どれも大切にして、日本の古き良き伝統をつないでいきたいですね。~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的
第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想
「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/17
大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本
デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性
アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?
編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税
会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。
第2次トランプ...
第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城
世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?
トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざす...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24