重職心得箇条~管理職は何をなすべきか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「死ぬ気で考えろ!」と言ってくるオニ上司のありがたさ
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(5)大臣の心得
田口佳史(東洋思想研究家)
『重職心得箇条』第二条では、「大臣の心得」が説かれる。多くの部下を従える人物にとって、最も大切な心がけは何か。多くの経営者や政治家を育ててきた東洋思想研究者・田口佳史氏の解説で、幕末の名著を読み進めてみよう。(全15話中第5話)
時間:8分12秒
収録日:2015年12月22日
追加日:2016年5月2日
≪全文≫

●社員に思いを「尽くさせろ」ということ


 第二条に入ります。

 「大臣の心得は、先づ諸有司の了簡を尽さしめて、是を公平に裁決する所、其の職なるべし。」

 「有司」というのは、国家でいえば役人、企業でいえば部下に当たります。その「了簡(りょうけん)」とは何か。了簡にはさまざまな字が当てはめられていますが、「考え」というふうに読めばいいと思います。

 ですから、それぞれの部下の考え方や思考力を尽くさしめること。ここでは思考を「させろ」とはいわず「尽くさせろ」と言っています。このことが今日的にも重要なところです。

 現代の企業の競争は、独自市場の形成に移っています。もっと言えば、独自価値の提供ができているかどうか、他にない価値を提供しているかどうかです。これらは商品開発やサービス開発に結集されるわけですが、その大根(おおね)は社員それぞれの思いにあります。「何とかこの世にない、もっと斬新な、もっとすごい商品を生み出せないものか」と、社員が四六時中考えている。「尽くせ」と言っているわけですから、そのぐらい思わなければいけません。


●企業経営の根幹をスティーブ・ジョブズにならう


 私は『超訳 孫子の兵法』(三笠書房)でもやはり、「現在、知力の限りを尽くせ、それが企業経営の根幹だ」と言っています。企業経営をなめてかかるなと言っているわけですが、その最大のポイントは、この「了簡を尽くせ」にあります。商品が世に出るその日まで、もっと改善できるところはないのか、もっといい商品にならないのかを追求するということです。

 スティーブ・ジョブズとは私も交流がありましたが、彼がしょっちゅう言っていた言葉があります。「人は、形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいか分からないものだ」というものです。

 だから、顧客に聞いてみても意味がない。プロであれば、「絶対にこれが欲しいはずだ」「欲しかったのは、これですよね」と言って、こちらから出してやるものだということを言っているのです。これこそが、「了簡を尽くさしめて」ということです。こういう精神がまず大事であることが、ここでは存分に強調されています。

 そうやって取締役が、自分の部下たちに「了簡を尽くさしめ」ると、いろいろな人が「こう考えました」「ああ考えました」と、どんどん挙げてくる。そのときには、「是を公平に裁決す...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(3)水戸藩の問題と安政の大獄
安政の大獄は失政!?…井伊直弼は何を見誤ったのか
山内昌之
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
ギリシア悲劇への誘い(7)ギリシア悲劇を論じた歴史
アリストテレス、ニーチェ…哲学者によるギリシア悲劇批評
納富信留
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹