重職心得箇条~管理職は何をなすべきか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
守るべき核があれば、臨機応変に変わってもいける
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(7)守るべきもの・変えるべきもの
田口佳史(東洋思想研究家)
東洋思想研究者・田口佳史氏とともに読む『重職心得箇条』。田口氏が今回取り上げたのは第3条と第4条。守るべきものと変えていくべきものについて、現代社会の置き換えた例も提示しながら、先人の知恵を読み解いていく。(全15話中第7話)
時間:14分00秒
収録日:2016年2月3日
追加日:2016年5月16日
≪全文≫

●伝統は守るもの、習いは変化させるもの


 続いて『重職心得箇条』の第三条です。

 「家々に祖先の法あり。取り失ふべからず。又仕来り仕癖の習いあり。是は時に従って変易あるべし。兎角目の付ケ方間違ふて、家法を古式と心得て除け置き、仕来り仕癖を家法家格などと心得て守株せり。時世に連れて動かすべきを動かさざれば、大勢立たぬものなり。」

 これも、現代によくあることです。その会社が非常に重視してきて、何代も何代も守ってきた企業理念なるものを粗末にして、言ってみれば慣習的なことを「もう、うちの会社はこういうふうにしてやるんだ」と言って、大切にしているようなところがあります。伝統や、その会社のコア、核となるもの、あるいは、精神基盤の中の基盤と言ってもいいものをしっかりしていかなきゃいかん、ということを、ここで言ってくれているのですね。

 「家々に祖先の法」。これは「伝統」ということでしょう。特に、中国古典の方では、「創業垂統」と申します。垂統というのは、「伝統を垂れる」と書きます。企業を始める、組織を始めるということは、何のためにするかというと、伝統を垂れるため。要するに、現すため、蓄積するため。そういうことのために、まず創業があるのです。そういう点では、この祖先の法、伝統がまずある。それを取り失ってはいけない。「取り間違ってはいけない」ではなくて、「取り失ってはいけない」「失うということがあってはいけない」と言っているのです。

 そして、その法に対して、「仕来り仕癖の習いあり」、これは「慣習がある」と言っているのです。「こういうものはこうやって処理するんだ、こうやってやるんだ」という、そういう習いがある。「是れは時に従って変易」、これは「変化がなければいけない」ということです。そのときそのときの時世に従うということです。もっと言えば、今はもうインターネットの時代ですから、そうなっているにもかかわらず、人力でコンピュータが得意な数を一生懸命やっているような会社がありますが、数などというものはコンピュータに任せたらいいのです。要するに、人間はもっと頭脳の勝負というところをやらなければいけない。コンピュータがやるべき仕事を人間がやっているようなことになってしまうのなら、それは変えた方がいいよ、と言っているのです。


●健全な着眼点で「守る」「変える」を見極める

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ