重職心得箇条~管理職は何をなすべきか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「17条の経営憲法」を実践し、重職の責務を全うせよ!
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(15)現代の経営管理にも通じる教え
田口佳史(東洋思想研究家)
東洋思想研究者・田口佳史氏による『重職心得箇条』の解説は、いよいよ最終章に差し掛かった。第17条は、トップ交代を春にたとえた含蓄あるくだりだ。新しく幕閣を形成する若手幹部に対して佐藤一斎が注いだ教訓と慈愛は、時代を越えて温かく冷静である。(全15話中最終話)
時間:9分41秒
収録日:2016年2月3日
追加日:2016年7月12日
≪全文≫

●トップの交代は、社内に「春が来た」の風情で


 さあ、最後の第17条です。ここもいいところですが、これは冒頭に申し上げたように、岩村藩が歳若い藩主に交代する時に、新しく幕閣を形成する若い幹部の心得として佐藤一斎が残したものです。ですから、最後の条になって「現在の岩村藩は何をどう考えるべきか」が単刀直入に述べられています。しかし、これも非常に普遍的なこととして受け取っていただいた方がいいと思います。読んでいきましょう。

 「人君の初政は、年に春のある如きものなり。先づ人心を一新して、発揚歓欣の所を持たしむべし。刑賞に至ても明白なるべし。財帑窮追の処より、徒に剥落厳沍之令のみにては、始終行立ぬ事となるべし。此手心にて取扱あり度ものなり。」

 「人君の初政」、つまり今、藩主が代わった。ですから、皆さんのお立場で言えば、トップの社長が代わる場面です。それは、「年に春があるようなこと」である。春になれば、芽が吹き、花が咲き、非常に華やかで晴れやかになります。つまり、「気分一新」ということです。気分一新の時であるから、「先づ人心を一新」しなければ駄目だし、そうするのに良いタイミングだと言うのです。


●節目を利用して、人心も社内状況も一新させる


 物事には節度すなわち節というものがあります。だらだら長く続くのはたまらないので、節目が必要になる。トップが代わる時などは、人心を一新していくには非常にいい節目なのです。

 そういう時には、例えばモットーや信条を変える。あるいは制度を、何か若干新しく変える。そのようなことをしていただくといいと思います。そういうものを変えて人心を一新すると、「さあ、やるぞ」「さあ、いくぞ」と「発揚歓欣の所を持たしむ」ことになる。そのためにトップの交代はあるのだと言ってくれているのです。

 もう一つは、「刑賞に至ても明白なるべし」。「刑賞」は刑罰と褒賞です。そういうものもしっかり明白にして、うやむやにしない。そのためには刑賞の制度も明確にして、基準をしっかりすることが非常に重要だということです。明快・明白な風土にしろ、社内状況にしろということを、ここでは言っているわけです。

 「財帑窮追の処」とあるように、今この岩村藩では財政が非常に窮迫して、あまりうまくいっていない。つまり、非常に金に余裕がない状況だということですね。

 そう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
億万長者への道(1)お米屋さんから不動産業界へ
「背広を着てビジネスがしたい」との思いから宅建取得
高橋誠一
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政