重職心得箇条~管理職は何をなすべきか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トップの顔色と会社の雰囲気は、社風を測るバロメーター
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(14)社風と秘密
田口佳史(東洋思想研究家)
どんな会社にも「社風」はあるが、2000社強の会社を指導してきた東洋思想研究者・田口佳史氏の目に映った社風は全て違っていたという。企業と古典思想を結び付ける、類いまれな眼力を借りて、『重職心得箇条』第15条と16条を読んでいく。(全15話中第14話)
時間:13分30秒
収録日:2016年2月3日
追加日:2016年7月5日
≪全文≫

●一つとして同じもののない社風は上から始まる


 今回は、まず第15条です。

 「風儀は上より起るもの也。人を猜疑し陰事を発き、たとへば誰に表向ケ様に申せ共、内心はケ様なりなどと、掘出す習いは甚あしゝ。上に此風あらば、下必其習となりて、人心に癖を持つ。上下とも表裡両般之心ありて治めにくし。何分共此六かしみを去り、其事の顕れたるまゝに公平の計ひにし、其風へ挽回したきもの也。」

 これも重要なことです。私はこれまで2000社あまりの会社をご指導申し上げてきましたが、一つとして同じような風土、社風の会社はありません。社風とは不思議なもので、皆違います。

 では、その社風は誰がつくるのでしょうか。ここにあるように、「風儀は上より起るもの也」。要するに、社風というものは良きにしき悪しきにつけ、上からずっと下りてくるものだということを忘れてはいけません。


●最も悪いのは「猜疑し、陰事をあばく」社風


 中でも、一番いけない悪い社風とは何かというと、「人を猜疑し、陰事を発き」とあるように猜疑心の塊のような組織です。

 隠しておきたいことは、本来誰にでもあるものですが、それを全部暴いて、「お前、本当はこうだろう」とずかずか言挙げするようなことが、第一に挙げられています。

 もう一ついけないことが次の段の「表向ケ様に申せ共、内心はケ様なり」です。例えば部下のA君に「表向きはこうなっているけど、本当のところはこうなんだ」と言ってしまう。これは「表と裏がある」と教育しているようなものです。これらを「掘出す習は甚だあしゝ」で、ひどく悪い。「掘出す」とは、本来隠れていなければならず、掘り出すべきではないものを掘り出してくるような悪い慣習を指しているのです。

 「猜疑し、陰事を発き」で、全てを疑ってかかり、誰もが皆「本当だろうか」と人を信用しないような社風。そして、さらに隠しておきたいことをどんどん暴いていくような社風。それから、次に裏表がある人間のことを言っています。表向きはこうだけれど裏はこうなっているというようなことばかりを言い、「君にだけは本当のことを教える」などと言って派閥をつくろうとするタイプ。言われた相手は「じゃあ、ウソのことだったんですか」ということになります。

 そういうことを都度都度やるような風習があれば、「上に此風あらば」で、下はいつしかそうい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
中国共産党と人権問題(5)そもそも人権思想と憲法とは?
中華人民共和国憲法は人権型ではない
橋爪大三郎