敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
南進論、東條内閣、ハルノート…日米開戦の経緯とは?
第2話へ進む
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏による島田塾特別講演を収録したシリーズレクチャー。教科書では語りきれない歴史に埋め込まれた敗戦と占領の事実を取り上げて、なぜ日本は奇跡の再生を成し得たのか、日本は今後どうあるべきかを考える。第1回目は、終戦後日本の武装解除から「間接占領」を可能にした史実とその背景を探る。(2016年7月8日開催島田塾第137回勉強会島田晴雄会長特別講演「敗戦、占領、経済発展:日本は異民族支配からいかに再生したか?」より、全13話中第1話)
時間:9分01秒
収録日:2016年7月8日
追加日:2017年7月12日
≪全文≫

●敗戦と占領の事実から日本の今を考える


 敗戦、占領、戦後復興ということで、「日本は異民族支配からいかに再生したか?」ということについてお話しします。

 日本は、2500年の文明史の中で一度だけ異民族に支配されたことがあるのですが、それは、いうまでもなく太平洋戦争の敗戦に次ぐ占領期間の6年間のことです。しかし、それから程なく、世界が瞠目する経済発展を遂げています。これは「世界史の奇跡」といわれています。敗戦の結果、日本は世界の全ての利権を喪失しました。日本中の都市は、爆撃でほとんど焼け野原。また、世界で初めて原爆で被爆しています。戦争による直接の犠牲者だけでも310万人は亡くなっているのです。

 しかし、およそ25年後には、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になりました。これを奇跡と言わなくて何と言おうか、ということです。なぜ、そんなことができたのか。なぜ敗戦が日本を変えたのか。もっと言うと、戦争、占領は日本に何をもたらしたのか。それとも、別の要因があったのか。こういう問題に、少し答えてみたいと思います。そして、この敗戦と占領の事実を学ぶことで、私たちは今日の日本のあり方とその意味をよりよく理解することができるのではないか。私たち中年世代が、次の世代のためにも、今そのことを学び皆で考える意義があるのではないか。ということで、今日は自由論題なので、このテーマでやってみようと思っています。


●マッカーサーが放った政治的メッセージ


 さて、最初は「厚木飛行場に降り立った占領者」というテーマです。1945年8月30日午後2時、アメリカの誇る巨大爆撃機B29の特別機「バターン号」が厚木飛行場に着陸。機体からダグラス・マッカーサー連合国最高司令官が、サングラスを掛け、コーンパイプを片手に悠然と姿を現しました。彼は、立ち止まって日本の大地をしばし見渡し、それからゆっくりとタラップを降りました。この姿は日本中に、そして全世界に報道されました。イギリスのウィンストン・チャーチル首相は、「第二次大戦における軍人の最も立派な行為だ」ということで賞賛したと言われています。危険極まる敵地に丸腰で降り立つ勇気をたたえたわけですけれども、実際は沖縄の読谷飛行場で完璧な情報活動によって受け入れ準備があるのを確認してから厚木に飛んだことが、後で分かりました。安全を見極めた上でのパフォーマンスではあり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥