敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
戦後日本の政党政治に影響を及ぼしたニューディーラーたち
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(11)占領後の日本の戦後復興(中)
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
占領後の日本の戦後復興のなかで、次に取り上げるのは占領軍と政党政治の関係、朝鮮戦争の影響、日米安保条約の締結、戦後改革と民主化の底流、人口ボーナスなどだ。これらを通して、占領政策の評価と日本に蓄積していた技術・経済・人材を比較すれば、答えは見えてくる。公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が主宰する島田塾の特別講演で、「戦後」の意味を考え直したい。(2016年7月8日開催島田塾第137回勉強会島田晴雄会長講演「敗戦、占領、そして発展:日本は異民族支配からいかにして再生したか?」より、全13話中第12話)
時間:11分29秒
収録日:2016年7月8日
追加日:2017年8月7日
≪全文≫

●5.占領軍と政党政治の関係 公職追放令


 それから、もう一つ、「占領軍と政党政治の関係」があります。

 1946年1月4日、幣原喜重郎が病気だった間に大変なことが起きています。突然、「公職追放令」というものが行われたのです。戦争に関わった軍人、政治家、警察、行政関係者など4,000人を全部一掃する。このリストを誰がつくったかというと、GHQの命令によって日本政府が行いました。これによって旧政党指導者は、ほとんどいなくなります。そして3カ月後、それを象徴するような出来事が起きています。

 1946年4月10日、占領下にあるとはいえ戦後初めての本格的な総選挙が行われました。鳩山一郎率いる日本自由党が圧勝したので、鳩山首相を天皇陛下に推奏することになります。そして5月4日、大命降下がなるという当日に、鳩山の手元に追放令が届いたのです。彼はそれから5年間、涙を飲んで政界から姿を消し、その間に吉田茂が存在感を誇示するわけです。


●日本の戦後を動かそうとしたニューディーラーたち


 公職追放が行われた理由は、民政局が「ニューディーラー」だったからです。コートニー・ホイットニーやチャールズ・ルイス・ケーディスをはじめとした人たちは、「旧日本の保守政治は、日本を戦争に導き、いろいろな差別を生み、構造問題をつくった原因である」と考えていました。戦後、自由党や改進党が発足しましたが、それを構成する人たちは皆、戦前から活躍した人たちばかりです。そのために、民政局は労働組合を始め、ソ連に逃げていた社会党、民主党、共産党などに期待をかけたわけです。

 それで、吉田内閣がスキャンダルで退陣した後は、片山哲の社会党内閣が成立します。彼は東大卒の弁護士であり、大正デモクラシーの民主化運動でも大活躍した人です。西尾末広のバックアップもありました。片山内閣が失脚した後は、芦田政権になります。首相は、クリスチャンで外交官の芦田均。憲法草案にも一度手を入れた経歴があり、非常にリベラルな人物ですが、社会党寄りの人でした。

 民政局は、こういう人々を自分たちの意図を実現するために一生懸命押していったわけです。お偉いマッカーサーは日本のことなど知らず、「I am Douglas MacArthur」と言えたらそれでいい人ですが、彼らは多少は勉強していました。先のヘレン・ミアーズなどから言わせると「あんたたちは、浅知恵で何をやるのよ」...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治