敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大戦果を挙げた真珠湾攻撃と「逆ABCDライン」の形成
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(3)緒戦の大進撃と逆ABCDライン
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏による日本の敗戦、占領、経済復興を考えるシリーズ講話。今回は、真珠湾攻撃に始まり、アジア南方侵攻で勝利し続けた日本軍が、開戦5カ月にして「逆ABCDライン」を形成するに至った経緯を詳細にたどる。(2016年7月8日開催島田塾第137回勉強会島田晴雄会長特別講演「敗戦、占領、経済発展:日本は異民族支配からいかに再生したか?」より、全13話中第3話)
時間:10分44秒
収録日:2016年7月8日
追加日:2017年7月17日
≪全文≫

●大戦果を挙げた真珠湾攻撃


 日本時間1941年12月8日午前1時、ハワイ時間では12月7日午前5時30分、黎明(れいめい)のことです。直前の偵察のため、巡洋艦「利根」と「筑摩」のカタパルト(航空機を射出するための機械)から零式水上偵察機が勢いよく発出されました。午前6時、南雲忠一中将率いる軌道艦隊の主力をなす航空母艦「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」「瑞鶴」「翔鶴」6隻の航空母艦は、艦首を風上に立てて全速で進みます。甲板上に並んだ戦闘機、爆撃機の発進を始めました。オアフ島北方230マイルのことです。15分後、戦闘機43機、爆撃機51機、攻撃機(魚雷)89機、計183機、上空で編隊集合、一路南へ飛び去っていきました。当時の日本軍にはこういう力があったのですね。

 1時間15分後、第二次攻撃隊が発艦します。攻撃機など合わせて167機で、乗組員は九州の佐伯湾で連日、猛訓練をしていた人たちです。午前7時をまわり、「トラトラトラ」という暗号(意味は「我、奇襲に成功す」)を打電。ハワイでは、戦艦「アリゾナ」は炎上炸裂、「ウェストバージニア」は沈没、「オクラホマ」は転覆、「カリフォルニア」は3日後に沈没、他4隻は大破・中破、巡洋艦、駆逐艦、工作艦12隻は沈没、大破・中破となりました。航空母艦はとうとう捕捉できませんでしたが、日本軍の大戦果です。


●南方作戦の発令へ-まずマレー半島上陸作戦


 もう一つ、知らなければいけないのは、南方作戦です。前回「ABCDライン(包囲網)」の話をしましたが、私が「逆ABCDライン」と呼ぶものが、実はあったのです。

 1941年10月17日、開戦よりも随分前のことです。参謀本部は対英米蘭戦争における作戦見通しを起案します。攻撃の範囲と順序はまずフィリピン、マレーに対する先制攻撃を行う。作戦初頭、グアム、香港、英領ボルネオの要地を占領し、タイ国、インドシナを安定確保する。次いで、速やかに英領ボルネオ、セレベスの要地を占領。さらに進んで、ジャワ、スマトラの要地を攻略し、ビスマルク諸島、モルッカ諸島、ティモール島の要地を占領する。すごい案ですが、これが予定より少し遅れて発令されました。

 まずマレー半島上陸作戦です。この時は、マレー半島に上陸して陸海軍の部隊がシンガポールまで南下したのですが、そのスタートとして41年12月7日深夜、第一次上陸部隊約5,500名を乗せた高速輸送船団3隻が、マレー半島の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治