敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
1942年に始まった戦後対策と「対日占領政策」
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(5)「対日占領政策」の検討開始
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
太平洋戦争勃発から間もない頃から、アメリカは「対日占領政策」を検討していた。第一次世界大戦からわずか20年で世界大戦を引き起こした原因が、ドイツに対して過酷だった講和のせいではないかという反省からである。1942年から44年に至る「戦後対策」の進展について、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が主宰する島田塾の特別講演から伺っていく。(2016年7月8日開催島田塾第137回勉強会島田晴雄会長特別講演「敗戦、占領、経済発展:日本は異民族支配からいかに再生したか?」より、全13話中第5話)
時間:10分24秒
収録日:2016年7月8日
追加日:2017年7月22日
≪全文≫

●1942年に始まった戦後対策と「対日占領政策」


 (ミッドウェー海戦大勝利)の勢いで、アメリカは「戦える」という感触を得ますが、それ以前から「対日占領政策」の検討を開始していたというから驚きます。

 それは、第一次世界大戦からわずか20年で世界大戦を招いた原因が、戦後計画の不十分な講和にあったのではないかとの考えがあったからです。第一次大戦ではドイツに対して非常に高額な賠償金が要求され、その結果ドイツが反目したことが分かっています。それゆえ、「二度と戦争のない世界を構築したい」とアメリカは考えていたのです。

 1942年2月、ハル国務長官を長として「戦後対策に関する諮問委員会(advisory committee on post-war foreign policy)」が開設されます。それまでの組織を統合し、民間から大量の専門家を糾合した組織でした。日本が戦勝気分で浮かれ返っていた頃です。

 同年夏には、「極東班(far eastern group」」という専門家グループができます。そこに、日本語はできないもののアジア問題の大専門家であったジョージ・ブレイクスリーと、日本史の専門家のヒュー・ボートンの二人を専門家として招き、対日占領政策の立案を推進しようということになりました。


●「ハード・ピースか、ソフト・ピースか」の問題


 当時、アメリカの世論で圧倒的だったのは「日本はけしからんから、粉々にして無条件降伏をさせろ。徹底的に破壊して、アメリカの手でつくり変えろ」という声で、実はフランクリン・ルーズベルト大統領自身が、そのように考えていたのです。

 極東班が作業を開始した頃は、「ハード・ピースか、ソフト・ピースか」の二つの考え方がありました。ハード・ピースの考え方は処罰的平和で、「枢軸国をたたきつぶして、無条件に降伏させろ」というものです。ソフト・ピースの方は、その前に書かれた大西洋憲章に基づいて「もっと普遍的な人類的見地が必要だろう」とするもので、これが知日家たちの立場でした。いろいろな議論がある中、知日家の人たちは「アメリカにとって好ましい日本を再建する上では、天皇制が実は非常に貴重な財産だ」と指摘し、「戦後には、日本人自身が民主化改革できる」とも主張しました。

 特に日本に詳しかったボートンは22ページのリポートを書きますが、その中には、ロンドン軍縮以来の穏健派の政治家は誰がいるか、彼らにはどんな役割が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
明智光秀の真実(1)謎につつまれた前半生
明智光秀は「主殺しの悪人」か?…諸説入り乱れる人物像の謎
小和田哲男
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史