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東洋的指導法と西洋的指導法にはどんな違いがあるのか

キャリア転換で人生を成功させる方法(4)成果を短期で見るか、長期で見るか

対談 | 為末大柳川範之
概要・テキスト
スポーツ界に存在する東洋的指導法と西洋的指導法。どちらも一長一短あるに違いないが、短期的な成果が求められる今、東洋的指導法は限界を迎えている。では、西洋的指導法に転換しさえすればいいのかといえば、そう簡単な話でもないから厄介だ。これからの指導者、管理職が意識すべきポイントについて、スポーツ、ビジネスの両面から迫る。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13:26
収録日:2020/09/14
追加日:2020/12/08
キーワード:
≪全文≫

●日本のスポーツ界の流動性が低い理由


―― 為末さんにお訊きしたいのが、先ほどおっしゃったコーチを選ぶやり方は、アメリカとかイギリスなどのヨーロッパの話で、日本とは違うという点についてです。日本は企業スポーツの伝統もあるからだと思うのですが、例えば陸上でもいくつか陸上が得意そうな企業名があって、そこに入社して、そこのコーチに付いてということになりますよね。日本で移動が難しいのは、なぜなのでしょうか。例えば、A社のコーチに付いたけれど、どうもB社のコーチのほうが自分の特性には合っていそうだと、後で分かったとき、アスリートの方はどういう判断をされるのですか。

為末 2つの観点があると思います。1つは、そもそも構造上の話として、企業スポーツというものがあります。コーチも、選手も企業に雇われているため、所属を替えるためには、会社を辞めなければいけないという形になっています。

 一方、ヨーロッパだと学校や企業とは別に地域クラブというものがあって、そのクラブにコーチがいることが多い。そうすると、「生活はこちらでやりながら、スポーツはこのコーチ」というように選ぶことができる。だから、コーチを替えることはもちろん、陸上からサッカーというようにスポーツごと替えることも可能なのです。アメリカの場合は、プロコーチが単独で存在していますので、自由にプロの世界でやっていくという形ですね。

 日本の場合は、スポーツと自分が所属している企業や学校みたいなものが全部一致しているため、流動化しにくいという構造の問題が1つあります。

―― やはり動くのは難しいのですか。

為末 ほんの数年前までは、実業団に所属している選手が、別の企業に所属するときには、以前所属していた企業から、「円満に退職しました」という証明書が出ない限り、次の企業に所属できないというルールがあったのです。

―― 証明書が必要だったのですね。

為末 はい。「移籍制限」といって、昔の日本型の終身雇用システムにおいては、引き抜きというのは滅多になかったのですが、それを制限する仕組みが存在していました。今の選手たちは転職をするのは当たり前という頭でいるので、制限されることが大変なストレスになるという問題があったりして、今はもうルールは変わりましたが、システム上そうなっていたというのが大きかったですね。

 もう1つの観点は、世...
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