●AIによる運用自動化で人手不足の問題を解決させる
それから3番目のトピックとしては、ローカル5Gに機械学習やAI機能のインテグレーションをしていくことが考えられます。ローカル5Gはこれまで機器の話だけをしてきましたが、運用の問題もあります。運用するためには非常に多くの知見を必要としますが、これらが機械学習やAIによって実際に人の手を借りなくても運用を自動化することができれば、結果的にコストを削減することができます。あるいは現在、ネットワーク業界では運用の人手不足の問題がありますが、自動的に最適な通信の提供ができれば、こうした人手不足の問題も解決すると思われます。
ローカル5Gをはじめとする民主化された自営モバイル網は、こうした最新技術を実装可能な環境として期待をされており、われわれはAIとML(マシンラーニング)のインテグレーションについて議論をしています。もし興味があれば、(スライドにある)ITUの記事になりますが、私が書いたものがありますので、ぜひ読んでもらえればと思います。
●通信領域でのAI活用研究としてコンテストを実施
実際にこのようなAIとマシンラーニングの技術を5Gで使っていく、あるいはローカル5Gで使っていくためにはいろいろな努力をしなくてはなりません。総務省「5GMF」の後援のもと、ITの1つの取り組みとして、われわれの「RISING」という学会がさまざまな組織と協力をして、また支援を受けながら、スライドにあるようなコンテストを実施しています。
実際にKDDI、NECから5GのインフラにAIやマシンラーニングを入れていった際にどのような障害予測、障害検知ができたりするかといった面白い問題を作ってもらい、世界中の人が参加してコンテストの形式でその能力を競うといった取り組みをしてみました。
スライドでお伝えしているコンテストはTTCから賞金と賞状、KDDI、NECからも賞金が準備され、また日本のコンテストを勝ち進んで最終的にITUで上位入賞しますと、ITUからも賞金が出るといった試みとなります。主に学術機関を対象として、学生が主体となってローカル5G、あるいは5Gのインフラに機械学習を適用していくといった問題に取り組んでいます。
2021年が初めての取り組みですが、10カ国で同じような取り組みが行われています。ITUが主催する通信領域のAI活用研究ということでは、最終的にその10カ国から上位入賞者が国際大会に進出して、12月15日から17日にグローバルな競争の大会が開かれる形になっています。
実際KDDIとNECからは、ネットワーク障害の比較分析、それから映像配信データによるネットワークの状態推定といったトピックで出題がされました。これに対して4人1チームで16件の応募があり、それに対してわれわれの学会(RISING)が審査を行いまして、国際大会への参加者決定がなされました。
国内では計6グループの受賞研究を発表してもらいましたが、国際大会ではこのグループが各国からの代表と競い、わが国からも上位入賞者が2チーム選定されて、表彰されました。賞金については、ここでいうのは不適切かもしれませんので述べませんが、詳細はスライドにあるようにウェブベース等で確認ができるかと思います。
●省電力化とAI主導の運用技術の研究
こちらも経産省・NEDOのプロジェクトですが、KDDIとわれわれが省電力化やAI主導の運用技術の研究を次世代の5G、Beyond5Gには必要な技術として研究開発を進めています。詳しくは報道発表をご覧下さい。
このように現場発で必要となる技術は、情報通信の民主化、われわれが情報通信の提供側に回るという意識の下、さまざまな革新が生まれつつあることが分かると思います。今日紹介するのは限られた例になりますが、このような例がこれからますます登場していくことになると思われます。
2020年の暮れにBeyond5G推進コンソーシアムが結成され、東京大学総長(当時)の五神先生が会長に就任しました。私はその下の国際委員会の委員長を務めています。こうしたBeyond5Gの推進コンソーシアムでは取り組みの加速、それから国際連携の促進を進めていく必要があります。このようなページでニュースが確認できると思いますので、ぜひご覧下さい。
●海外のBeyond5G・6Gに関する取り組みと7つの方向性
海外のBeyond5G・6Gに関する取り組みの状況はさまざまありますが、特に進んでいるのがフィンランドの6 Genesisのプロジェクトになります。これは最近、名前が変わりまして、「6G Flagsh...