憂国の芸術
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なぜコシノジュンコは60年以上、トップを維持できるのか
憂国の芸術(5)一流であり続けることのすごさ
考察と随想
「現世的に成功するかどうかは、親や先祖で決まる」と考えれば、成功しなくても気にする必要はなくなる。自分とは関係ないことだからだ。コシノジュンコ氏がすごいのは、19歳で賞を獲って以降、80歳を超えても一流を維持していることである。若くして成功すると、ふつうは10年持たない。途中で道を踏み間違えないのは、やはり「人徳」としか言いようがない。これも、「親の人徳」を受け継いでいる部分が大きいのであろう。コシノ氏が描く絵はたとえ憎らしく描かれた顔であっても、ミューズ(女神)に見える。それは彼女の心が美しいからである。心が美しい人が描く絵は、汚いものを描いても価値のあるものに変わる。(全9話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分13秒
収録日:2021年12月2日
追加日:2022年2月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●「一流であることを維持している」コシノジュンコのすごさ


――おもしろいですね。でも確かに、そういうふうに見ていくと、なんとなく分かるような感じがします。

執行 だから私はみんなに言っています。現世で成功したかしないか、現世で金持ちになったか苦労したか、それこそ学歴まで含めて、気にする必要はないのです。こんなのは先祖のことだから。また、自分では頑張ってもダメ。

―― なるほど。自分では頑張ってもダメ。

執行 現世の「金持ち」「貧しい」みたいなことは、あまり自分でできることではないと思います。私自身は食わない気でやっていますが、いつも豊かでした。だから運がいい。では、なぜ運がいいかというと、先祖や親。自分でも分からないけれど、植え込まれたものというか……。

 私はとにかく人間が大嫌いなので、人に親切などする気はまったくありません。ところが慕われる人からは、けっこう慕われるし、けっこう好かれる。「親切」と言う人もいます。

―― それは先生、寄って来るでしょう。

執行 そうなんです。「親切」だと言う人もいますが、でも私は親切などする気もないし、他人のためには「舌も出さない」と思っているほどです(笑)。そのくらい思っているぐらいなのに、みんなが「親切」と言うから、何かあるなあと思う。もし、そうだとしたら、やはり親だと思うのです。

―― なるほど、それはすごく大事なポイントですよね。

執行 だから「育ち」という言葉になってしまいますが、そういうことだと思います。一番「努力が要らない」と言えば要らないのかもしれないけれども、悪い場合もあまり悩む必要ないと思う。悪くても関係ない、と。

―― それは戦後民主主義の中では、絶対教えられないポイントです。

執行 戦後民主主義は、これを言うと「ダメ」になります。でも本質だと思います。

―― それは、本当は真実でしょうね。

執行 真実です。あんまり育ちばかり言うのはもちろん悪いですが、しかし、少なくとも親が立派だったかどうかは、やはり効いていると思います。誰を見てもそうですから。一番新しいところではコシノさんの芸術。これを見てもコシノさんにすごい魅力を感じますが、お母さんもすごいですから。

 コシノさんのお母さんの人生は、「人生そのものが芸術」ですから。それを感じる人がいたから、多分、私は知りませんでしたが、朝ドラ(...