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「魂の清純さ」を失っていない人々は自分が損をしても戦う

作用と反作用について…人間と戦争(2)清純な魂を忘れた西側諸国

執行草舟
実業家/著述家/歌人
情報・テキスト
英米は、相手が民族として生き残れないところまで制裁で締めつけるところがある。つねに弱い者に味方をして、自分一人の地位を向上させようとしてきたのが、イギリス流の「バランス・オブ・パワー」であった。とはいえ、今回、締め上げられたロシアがおとなしくなるとは限らない。注意しなければならないのは、彼らにはまだ「清純さ」が残っていることである。アメリカ人をはじめ西側主要国の人々は「損得」だけで動くようになってしまった。しかし日本人も、戦前までは「清純」で、自分が損をしても戦おうというところがあった。ロシアや旧東側の国々の人々には、まだそのような気概がある。そこが恐いところなのである。(全10話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12:40
収録日:2022/05/19
追加日:2022/07/08
キーワード:
≪全文≫

●「損なことはしないだろう」と甘く見ていると失敗する


―― その意味で今回のウクライナ問題は、けっこう危険性をはらんでいますね。

執行 ここは危険です。ウクライナは笑い事では済みません。アメリカとNATO(北大西洋条約機構)の援助が本気ですから、第3次世界大戦に行くコースです。ロシア人が本当に怒らなければいいですが、あれは腹が立ちます。日本も(第2次世界大戦で)やられましたよね。

―― そうですね。

執行 英米の締めつけはすごくて、民族として生き残れないところまでやります。これはアメリカが、いろいろな国でやっています。私は日本だけでなく、世界中のそういう様子をずっと見てきました。英米、つまり英国から始まっているのです。

―― なるほど。

執行 英国の古い言葉で言う「バランス・オブ・パワー」です。バランス・オブ・パワーとは英国が自分だけ一人いばるために、必ず弱い人に味方するということです。だから正義なんかないのです。

 ではウクライナとロシアで、どちらが弱いかというとウクライナです。だからウクライナにどんどん援助する。そして強いものを叩く。「いつでも世界の上にいるのは英米」という状態です。

―― 本当にバランス・オブ・パワーですね。

執行 それを今やっているのです。ロシアをもう二度と立ち上がれない国に、アメリカはしようとしています。それがそのまま、おとなしくなるかならないか。私はロシア民族は偉大な民族だと思っているので、怖いです。

―― 先生が言われるようにナポレオンにも勝ち、ヒトラーにも勝ち。

執行 大陸的なのでボサっとして見えますが、そのあたりは文学を読めば分かります。私が一番好きなドストエフスキー、トルストイといった途轍もなく偉大な世界文学を書く国民ですから。

 それから何よりも私がロシア人を恐れるのは、あの清純さです。

―― 確かにそうですね。

執行 今、西側はヨーロッパも日本もアメリカも、はっきり言って99.99%の人間が腐っています。西側つまり自由圏は、もう腐った。しかし、ポーランドなど以前は共産圏だったところには、まだまだ人間の清純さがあり、魂が生きている。だから怖いのです。

―― なるほど。清純さと魂。

執行 そう。だってわれわれは、お金が儲かればいいのですから。そうでしょう?

―― そうですね。

執行 今の日本人はそうです。アメリカ人もそう、ドイツ人も全部そう。だから制裁といっても、なかなか石油や天然ガスは止めません。自分たちが困るから。そういう人たちではないということです。

―― なるほど。確かにそうですね。

執行 あと30年経ったらなるかもしれませんが、今はまだなっていない。ポーランドもそうです。私は文学が好きで文学でしか知りませんが、ポーランドのベストセラーは、日本でいえば終戦後(に流行った文学)です。詩人や、あとは世界文学。ドストエフスキーの『罪と罰』とか。ああいうものが、まだベストセラーなのです。

―― それはすごいですね。

執行 すごいです。あとはシンボルスカという有名な詩人がいて、ノーベル賞も獲りました。一番有名な売れっ子の文学者が、詩人なのです。

―― それもすごいですね。

執行 詩人が売れっ子の文学者でいられる社会は、すごいです。日本なんて詩どころではない。評論も食えませんから。

―― はい。

執行 そうですよね、今は。

―― まったくその通りですね。

執行 まだ、そういう社会なのです。

―― なるほど。それはやはり、すごいことですね。

執行 すごいです。前に喋ったかもしれませんが、私はロシア人の知り合いが何人かいますが、あまり上等ではない人でも、ロシア人はロシア文学を全部読んでいるのです。

―― それはすごいですね。

執行 今の時代で。私は文学好きだから、すぐにトルストイやドストエフスキーやプーシキン、パステルナークといった話になりますが、日本でいう中卒みたいな人たちが全部読んでいるのです。学校で読ませている。まだ、そういう国なのです。

―― それは強いですね。

執行 だから怖いのです。

―― 怖いですね。お金じゃないんですね。

執行 多分ドイツ、フランス、日本は、甘く見て「自分たちと同じだ」と思っている。つまり、「損なことはしないだろう」ということです。

―― なるほど。損なことはしないと思っている。

執行 われわれが、そうだから。もういま日本人はそうです。損なことはしない。利口といえば利口です。私は嫌いですが。

―― でも、まだ三島みたいな人もいるし、村松剛みたいな人もいます。

執行 それももう本当の個人です。ある程度の階層としてはいません。

―― だけどロシアは、まだいるわけですね。

執行 ロシアはいます。文学一つ見ても、います。日本も、まだ...
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