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朝起きてから夜寝るまで「ゴロ寝をしない」ことの意味

対談・反生命論(3)当たり前とは何か

概要・テキスト
自分の父や祖父母は、夜に就寝するときと病気のとき以外は、なんとなくゴロ寝することなどなかった。そのような当たり前の所作動作を出来ることが、当たり前の教育としてあった。なんでもかんでも、庶民の意見まで全部を聞いて決めれば良いというものではない。民衆が台頭する前の古代ローマは元老院がしっかりしていたが、帝政になり元老院が衰退すると、「パンとサーカス」の時代になり、最後はローマそのものが滅びてしまった。(全7話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:57
収録日:2024/05/24
追加日:2024/11/01
カテゴリー:
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≪全文≫

●「当たり前の所作動作」が驚かれる時代になった


―― 今日の話で、一つの解答をもらった感じがします。やはりある程度、家柄が良くて、その家柄や血筋の中から出てくる教育。それから幼少期に堂々とした遺風のある祖父や祖母、父を見ている。それが本当の教育で、(古代)ローマでいうと父祖の遺風。だから、500人ぐらいの元老院の中から必ずエリートが出ます。

執行 みんなそうです。でも今は平等の名のもとに、そういうのはダメになっている。

―― けれど、本質は多分そこですね。

執行 そういう教育がないから、今は決定的なことができないのです。

―― 普段は酒と女で遊んでいても、中にエリートの魂を持っていれば出てくると。

執行 だから『源氏物語』の時代だと、家柄的にずっと天皇を守ってきた公家などは、いざとなれば立ち上がったのだと思います。だから、今はもう立ち上がるわけがない。

―― (そうしたエリートが)いないわけですから。

執行 (エリートの魂を)もともと持っていないから。私は今73歳ですが、人から一番驚かれるのは、朝起きてから夜寝るまで横にならないことです。たいしたものらしくて、家に手伝いに来ている人や会社の社員も含めて、みんな驚きます。

 夜寝るときはもちろん寝ますが、朝起きたら夜寝るまで横になったことはない。必ずピシッと座っています。畳の部屋であれ、洋室であれ。それ凄いって言われるの。それが驚かれる世の中なのです。

―― でも先生の家では当たり前だったと。

執行 父と私が直に知っている祖父母までは、全員そうです。父も死ぬまで(寝るとき以外)畳の部屋に座っていて、横になっているのを見たことは一回もない。正式に寝るときと病気のとき以外は。なんとなくゴロ寝することはないということです。

―― それがエリートの所作なのですね。

執行 多分そうです。こういうのは学校教育ではないですから。

―― 学校教育は基本的に薄っぺらいから。

執行 だから、私はみんなに「信念が強い」と言われます。その信念とは多分、今言った勘当まで含めた親の教育です。

―― そうでしょうね。

執行 うちは教育にうるさい家ではなかったので、「ああしろ、こうしろ」と親から言われたことはないですが、親がそうやって生きているから、私自身ただの一回もない。朝起きたら5秒か10秒後には、本を読んでいるか、仕事をして...
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