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誇りを奪い取れば、人間性はあっという間に壊れる

対談・反生命論(2)なぜ「才」より「魂」が重要か

概要・テキスト
平安時代の貴族は、普段は雅な生活に惑溺しているようでいても、いざ海賊など海外勢力の侵攻などがあった場合には、討伐に行く姿勢を崩さなかったために尊敬された。もし、「才」つまり勉強の力がどれほど優れていたとしても、頭がいいだけでは、いざというときは自分のことしか考えない人になってしまう。大事なのは誇り、つまり魂なのだ。だから、戦後の日本から真のエリート層を潰そうと、宮家や財閥を消滅させたアメリカ。結果として日本からエリート層はいなくなったのである。(全7話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:09:15
収録日:2024/05/24
追加日:2024/10/25
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≪全文≫

●いざとなったときに命を捧げるということ


―― 先生の前回(「反生命論」)の講義の中で、家柄と血筋による教育の話が出てきました。

執行 『源氏物語』に出てきました。

―― すごいと思います。

執行 そうならない限り、もう立ち直りません。それが、わかるかわからないかです。もうそういうところに来ています。財務官僚は頭がいいに決まっています。頭がいいとは「勉強ができる」ということです。でも、勉強ができる人間がダメということは、古典に全部書かれています。

 『源氏物語』の「乙女」の巻の最初に、大和魂の話が出てきます。光源氏とお母さんが、それで大ゲンカする場面です。

―― 大ゲンカをする。

執行 光源氏は、庶民の人気を取るための主人公だから、「教育が必要」と説くのです。お母さんは古い人だから、「人間が大和魂を持っているかどうかは、血統と家柄と小さい頃の教育による」という話を喧々諤々でやるのです。

―― 血統と家柄と小さい頃の家庭教育ですね。

執行 そうです。『源氏物語』に描かれているのは、「反生命論」でも言ったように、いざとなったときに天皇や国家、日本のために命を捧げられるかどうかです。それを持っている人を「大和魂がある」というのです。

 だから、当時は天皇家に近い公家や、家柄のいい藤原とか、近衛といった人たちは、それは多いわけです。普段は女遊びしかしない。

―― 酒と女と。

執行 飲んだくれて、遊んでいる。では当時の人たちがなぜ公家を崇拝していたかというと、いざとなったときに国のため、天皇のために命を投げ出せると思っていたからです。公家だって、源平が台頭する鎌倉時代くらいまで、ふだんは雅な生活をしているけれど、いざ海賊が来たら、兵隊を引き連れて海岸まで討伐に行きました。そういうところで、庶民はみんな尊敬していた。「いざとなれば、あの人たちは天皇と国のために立ち上がってくれる」と。

―― 「大和魂を持っている」と。

執行 それを大和魂というのです。そこで、一番大きい問題は「漢才(カラザエ)」、つまり能力、勉強です。

 勉強の力は、「ざえ」。『源氏物語』には、そう書かれています。

―― 才能の「才」ですね。

執行 才はいくらやっても、いざというときは自分のことしかないということです。

―― なるほど。

執行 だから家族もダメ。もちろん国もダメ。天皇...
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