幕末長州~松下村塾と革命の志士たち
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
孝明天皇を盾にした過激な攘夷論がもたらした京都の変化
幕末長州~松下村塾と革命の志士たち(09)長州藩の反幕意識
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
吉田松陰亡き後、長州に残された弟子たちがその衣鉢を継ぐには、幾つもの障害があった。桜田門外の変の後、いったん「公武合体」論によって融和しようとした幕府と朝廷は、「攘夷」の一点で互いに譲れなかったからだ。政局は二転三転を繰り返し、幕末と維新が近づいてくる。(シリーズ講話第9話目)
時間:9分45秒
収録日:2014年12月24日
追加日:2015年3月1日
≪全文≫

●安政の大獄後の『留魂禄』の行方と井伊直弼の運命


 こんにちは。前回では、安政の大獄により悲劇の死を遂げた吉田松陰の最期の様子と彼の志、そしてその遺言を人々に伝えた『留魂録』について触れた次第です。

 松陰は、『留魂録』の写しを幾つか作っていました。その一つが、同獄にあった沼崎某の手に渡ります。この人は三宅島あたりへ流されたのですが、赦免により帰ってきた時に、元の松陰の弟子の一人にそれを届けます。これにより、写本の一つが伝わったと言われています。

 このように、松陰は井伊直弼による安政の大獄で無念の死を遂げたのですが、井伊直弼もいいことばかりではありませんでした。ご案内のように、桜田門外の変で討たれてしまったからです。井伊直弼も、なかなかの人物であったことは間違いありません。生き方や主義、主張の違いなどはあっても、やはり当時の日本が生んだ傑出した人物でした。しかし、彼が桜田門外で水戸浪士たちによって討たれたことは、すでに触れた通りです。


●幕府の「公武合体」策、長州藩の「航海遠略策」


 文久年間に入ると、幕府は京都の朝廷との間に融和を図ろうとします。それが、「公武合体」策です。「公」は公家の「公」で京都、「武」は武士の「武」、すなわち、江戸です。この「公武」の融和と合体によって、日本の危機を救おうとする議論が浮上してくるのです。

 これを背景にして、長州藩は藩論を公武合体論に統一し、京都へ次々と入説の士を送り込みます。朝廷との関係を深め、幕府に対して影響を与えながら、日本政治の主導権を握ろうとしたのです。その中心人物が、「航海遠略策」を唱えた長井雅楽 (ながいうた)という長州藩の新しいリーダーでした。この人ももとより大組(上士階級)出身のエリートでした。

 長井雅楽の唱えた航海遠略策は、積極的な開国策で、外国との交易を通じて国の富を増やすという非常に合理的な論です。実際、結果的に後の明治新政府は、この航海遠略策に近い考え方を採って外国との通商貿易に当たり、国富を増していくことになります。

 しかし、当時において公武合体論は、非常に妥協的かつあまりにも穏健であると考えられました。下級武士たちや非常に過激な脱藩浪士たちからすれば、屈辱的で妥協的な論として幕府を批判する根拠となります。


●松陰の論と似た長井の「航海遠略策」をかき消した島津久光の...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(7)自分の人生のために
AI時代こそAIでなく「生きた学び」で自分の人生を膨らませる
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ウェルビーイングを高めるDE&I(9)アンコンシャスバイアス:後編
マイクロアグレッションとは?「○○なのに…」は要注意
青島未佳
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎