幕末長州~松下村塾と革命の志士たち
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
長州藩と薩摩藩、越前藩の間にあった決定的な違いとは?
幕末長州~松下村塾と革命の志士たち(04)幕府とラジカルな長州藩
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
なぜ長州藩は強大な力を蓄えることができたのか。その背景を考える上で大事な視点がある。それは、幕府との関係性である。本編では、薩摩藩、越前藩との決定的な違いから長州藩が幕末に雄藩となった背景を読み解く。(シリーズ講話第4話目)
時間:10分24秒
収録日:2014年12月15日
追加日:2015年1月25日
≪全文≫

●長州と薩摩、越前の違いは幕府と近しい関係にあるかどうか


 皆さん、こんにちは。

 今日は、前回に引き続きまして、長州藩が強大な力を蓄えるようになった背景とその特徴について、お話ししてみたいと思います。

 よく「西南雄藩」という言葉が使われます。幕末の尊王攘夷、あるいは、討幕運動の中心になった長州や薩摩、土佐、肥前(佐賀)といった藩のことです。そして、その薩摩(島津)、あるいは、松平慶永(春嶽)の越前といった雄藩は、幕府に対してもかなり大きな影響力を持っていました。一方、長州藩が幕府に対してはどういった影響力を持っていたのかということは、あまり語られていません。実際に影響力を持っていたかどうかかも含めて、少し考えてみたいと思います。

 長州藩と薩摩藩、あるいは、長州藩と越前藩の間には、決定的な違いがあります。それは、簡単に申し上げますと、幕府と縁戚関係にあるかどうかで、薩摩藩はその関係がありました。また、幕府の親藩、御家門、つまり、幕府の家族、あるいは、それに準じる非常に近しい一族であるかどうかで、越前藩はその一族だったのです。


●越前藩は、御三家に次ぐ名門で雄藩という二重の資格を持っていた


 松平春嶽を生んだ藩、すなわち、越前藩は、徳川家康の次男である結城秀康まで家系をさかのぼります。結城秀康は、生まれた時から父親に愛されていませんでした。どうも父・家康は「この子は自分の子ではないのではないか」と、秀康を生んだ母(側室)に対して疑いを持っていたようです。そこで、さっさと豊臣秀吉の元に養子として出します。一度、徳川の家を出た人間は跡継ぎになることができません。さらにその後、豊臣秀吉も秀康のことが厄介になったので、今度は関東の名族・結城家に養子に出すのです。

 このように養子奉公に出されることで、本来は徳川将軍家を継いでもおかしくなかった人物が、一介の藩士となるという巡り合わせになったのです。
 
 それでも、家康の実子で、しかも次男ですから、家格として言えば、ある意味では将軍・秀忠や、御三家となるかなり年が離れた弟たちよりも非常に高い、という自意識があります。ですから、越前藩は、すこぶる高い家格を許され、松平春嶽も、もともと御三家の一つ、田安家から養子に入ったことから、幕末には、名門の大国で雄藩という二重の資格を持っていたわけです。


●島...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎