幕末長州~松下村塾と革命の志士たち
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幕末長州~松下村塾と革命の志士たち(11)薩長の対立
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
幕末から明治にかけ、日本の政治を大きく変革した原動力は、薩長連合にあった。しかし、実は、幕末の政治局面で、長州と薩摩が対立関係にあったことは、あまり知られていないと山内昌之氏は語る。文久3(1863)年、両藩の対立が形となって現れる。それが、八月十八日の政変である。その経緯を、翌年に起きた池田屋事件と合わせて、歴史学者・山内昌之氏が解説する。(シリーズ講話第11話目)
時間:14分34秒
収録日:2015年1月14日
追加日:2015年3月15日
≪全文≫

●実は犬猿の仲だった幕末の長州と薩摩


 皆さん、こんにちは。

 幕末から明治にかけまして、日本の政治を大きく変革した原動力は、長州藩と薩摩藩の連合にありました。実は、長州と薩摩が、幕末の政治局面で犬猿の仲というほど対立関係にあったことは、あまり知られておらず、その意味も語られていないことが多いのです。

 長州と薩摩が対立したのは、それぞれの性格から言いますと、長州が根本的に骨の髄から革命の藩、あるいは、急進派が突出して物事を成そうとする藩だったのに対して、薩摩は、基本的に藩主、あるいは、藩の上層が藩を保守的に統制しながら、挙藩一致という形で幕末の政治改革に乗り出そうとした藩だったという違いにありました。すなわち、薩摩が外交や謀略に長けていたのに対して、長州はストレートな軍事対決、あるいは、テロといった手段によって目的を実現しようとしたのです。この点において、長州は、幕府と対立し、薩摩は、その権謀術策や外交のレベルにおいて幕府と手を組むことさえあったわけです。現実に、長州藩に対して、薩摩藩は、会津藩、あるいは、後に15代将軍・徳川慶喜となる一橋慶喜たちと手を組みました。これは、長州の勢いや影響力を朝廷から一掃することが薩摩の政治的利益、あるいは、藩の根本的な戦略と考えたからです。


●島津久光は幕府の要人と参預会議をつくり国政を議論


 その結果、文久3(1863)年8月18日に有名なクーデターが起こります。このクーデターにおける薩摩藩のスタンスとは、どういうものであったのか。長州藩と同じく、薩摩藩も、確かに攘夷を掲げていました。しかし、一方で、薩摩藩は、前にもお話ししたかもしれませんが、二人の将軍に対して、藩主の娘、あるいは、養女を輿入れさせ、幕府内部の政治に対して影響力を行使していました。

 したがって、関ヶ原の戦い以来、薩摩藩が、本領を安堵され、江戸幕府からは猜疑心で見られながらも、一目も二目も置かれたのとはと異なり、長州藩は、徹底して反幕で、中国地方に持っていた領土を削られて、防長二州に押し込められました。こういう怨念を持っていた長州藩と、一応徳川とは五分と五分で戦ったという自負を持って幕末を迎えた薩摩藩との間の違いがあるのですね。

 特に、島津斉彬の後を継いだ島津茂久、後に藩主となる忠義の実父であった島津久光は、まず、幕政の改革こそが対...

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