本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
皇道派と統制派の対立…皇道派を抑えるための人事とは?
本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』(3)「反皇道派」の巻き返し
歴史と社会
渡部昇一(上智大学名誉教授)
陸軍において勢力を拡大した皇道派に対して、「反皇道派」の動向が顕著になってきた。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第四章・第3回。
時間:6分23秒
収録日:2015年1月19日
追加日:2015年8月31日
≪全文≫
 ところが、ここまで皇道派が勢力を拡大すると、「これではいけない」と考える人たちが出てくるようになる。いま、われわれの記憶に残っているのは永田鉄山少将(死後、中将)、東條英機少将(のち大将)、武藤章中佐(のち中将)、富永恭次中佐(のち中将)、今村均大佐(のち大将)、それから池田純久少佐(のち中将)、四方諒二少佐(のち少将)などの人物で、彼らは統制派と呼ばれるようになった。

 だが、「統制派」といっても、実際問題として「派閥」としては陸軍部内における皇道派が抜きん出ており、おおまかにいえば、皇道派ではなかった人たちが統制派と呼ばれたのが実情である。

 彼らは、少なくとも自分たちは戦争が専門であるとわきまえていた。彼らは第一次大戦の現状を見て、戦争だけの計画では不十分で、国家全体を改造しなければトータル・ウォー(総力戦)は難しいという危機感を抱いていたが、自分たちは経済分野の素人であるという立場から、プロの経済官僚たちに声をかけるようになる。

 その経済官僚たちは「革新官僚」と呼ばれ、池田純久少佐などの陸軍の経済官僚とともに国家総動員法や電力国営法をはじめとする経済統制を推進した。

 革新官僚で最も有名なのが岸信介元首相で、終戦時の鈴木貫太郎内閣で内閣書記官長を務めた迫水久常や唐沢俊樹、和田博雄といった、戦後にも活躍した有名な人たちが参画していた。

 そして昭和7年(1932)5月26日に成立した斎藤実内閣(~9年〈1934〉7月8日)で、反皇道派が台頭する契機となる事件が起こる。

 斎藤内閣には荒木中将が陸軍大臣として入閣したが、その当時は真崎中将が参謀次長、教育総監を林銑十郎大将が務めていた。

 荒木中将は昭和9年(1934)1月、陸相を退任する。病気のためとされるが、一説には、先に見たように青年将校たちに反感を持たれ、統制が取れなくなったことも理由といわれる。荒木陸相のあと、同年1月23日に陸相になったのは林銑十郎大将であった。永田少将(昭和7年4月11日に少将に進級)も同年3月5日に軍務局長になり、軍中央に復帰している。真崎中将は昭和8年6月19日に大将に昇進して教育総監になり、柳川平助中将が陸軍次官になった。

 この柳川平助という人は、その後、台湾軍司令官に流されているが、非常に戦争がうまい人だった。シナ事変で上海がなかなか落ちずに...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
未来を知るための宇宙開発の歴史(14)宇宙開発は未来をどう変えるか
『2001年宇宙の旅』が現実になる!?カギは宇宙医学
川口淳一郎
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(2)再生可能エネルギーの可能性と経済性
やればできる!再生可能エネルギーのポテンシャル高い日本
小宮山宏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
編集部ラジオ2025(25)クーデターで考える「政治の要点」
台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件
テンミニッツ・アカデミー編集部
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ