本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
未遂に終わったクーデター計画。首謀者らの意見書に何が?
本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』(4)叛乱の前触れ──十一月事件の波紋
渡部昇一(上智大学名誉教授)
昭和9年、皇道派青年将校がクーデター企図容疑で検挙された。十一月事件(陸軍士官学校事件)の経緯と波紋。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第四章・第4回。
時間:7分12秒
収録日:2015年1月19日
追加日:2015年8月31日
≪全文≫
 このような状況を受けて、真崎大将を支持する村中孝次大尉や磯部浅一中尉などの皇道派青年将校らが、昭和9年(1934)11月20日にクーデター企図容疑で検挙された事件が十一月事件(陸軍士官学校事件)である。

 この十一月事件の計画の中身は、二・二六事件(昭和11年〈1936〉2月26日)とほとんど同じようなものだった。暗殺の第一目標は、西園寺公望元老、岡田啓介首相、牧野伸顕内大臣、湯浅倉平宮内大臣、鈴木貫太郎侍従長、斎藤実前首相。第二目標は高橋是清蔵相、若槻礼次郎元首相、幣原喜重郎元外相、財部彪元海相、伊沢多喜男貴族院議員。伊沢議員は浜口雄幸元首相と親しく民政党内閣設立の立役者として働いたような人だった。

 その少し前のことだが、東條少将は陸軍士官学校幹事を務めていて、のちにノモンハン事件などで有名になる辻政信大尉(のち大佐)を、自分の部下として陸軍士官学校生徒隊中隊長とした。

 毀誉褒貶もあるが、辻大尉は兵隊の信頼が非常に厚かった。戦後に石川一区から出馬して衆議院議員になり、のちに参議院議員に当選した経験を持つ、陸軍将校としてはかなり例外的な人物である。当時、士官学校に、この辻中隊長を崇拝する佐藤勝郎という士官候補生(士官学校生徒)がいた。

 佐藤候補生は辻大尉に、他中隊の候補生が青年将校とクーデター計画を立てていることを打ち明ける。辻大尉は佐藤候補生に、スパイとして計画の全貌を調べて報告するように命じた。佐藤候補生は村中大尉や磯部中尉らに加え、昭和維新のリーダー的存在だった西田税元少尉にも会い、歩兵第一、第三連隊、近衛歩兵第二、第三連隊からそれぞれ二個中隊、歩兵第十八連隊と戦車第二連隊からも若干の兵力が加わるというクーデターが計画されていることを辻大尉に報告した。

 事の重大さに驚いた辻大尉は、その詳細を参謀本部第四課の片倉衷少佐、塚本誠憲兵大尉に話した。塚本大尉が持永浅治東京憲兵隊長に報告したものの、持永憲兵隊長は皇道派で「そういう話はしょっちゅう聞いている」と相手にしない。そこで塚本大尉は憲兵司令官の田代皖一郎中将とともに陸軍次官の橋本虎之助中将にクーデター計画の詳細を伝えた。

 その結果、首謀者を捕らえるよう厳命があり、村中大尉、磯部中尉のほか、佐藤候補生以下五人の士官候補生が検挙されたのである。

 未遂に終わったこのクーデター計画...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓