本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
戦前にも100万部雑誌があった! 軍国主義なんて関係なし
本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』(14)日本人は本来「自由」を愛する国民だったのに
渡部昇一(上智大学名誉教授)
日本人が本来、いかに「自由」を愛する国民であるかは、当時の『キング』の売れ方を見れば一目瞭然であろう。やはり、二つのことが悔やまれてならないのである。一つは、幣原外交に象徴される「協調外交」という道をとってしまったことだ。もう一つ悔やまれるのは、ソ連やナチス・ドイツに幻惑されてしまったことである。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第四章・第14回。※収録環境や収録機材の都合により、映像の音声が聞き取りにくい箇所がございます。あらかじめご了承ください。
時間:6分45秒
収録日:2015年1月19日
追加日:2015年9月3日
≪全文≫
 「面白づくめ号」という増刊号もある。漫画をはじめ、全部面白い話ばかりが載っていて、軍国主義の色などみじんもなく、1ページたりとも軍事的なことは書かれていない。少なくともこの時代までは、日本は「真っ暗」ではなかったことは、注意しておかねばならないことである。

 私は「『キング』はどういう雑誌ですか」と聞かれたら、「『文藝春秋』と『週刊文春』と女性雑誌を合わせて圧縮して一冊にしたような雑誌です」と答えている。

 こういう雑誌には、どうしても週刊誌の要素も入ってくる。当時は皆で本を貸し合っていた時代であったにもかかわらず、発行部数が100万部を超えることもあったことには本当に驚かされる。戦後隆盛を誇った月刊誌『文藝春秋』でも最盛期の発行部数が100万部を超えたが、現在は印刷証明部数で50万部を割っているそうだ。戦前の100万部といったら、いまの感覚としては500万部ぐらいになるのではないだろうか。

 当時の田舎には新聞配達もなく、普通の家に活字はほとんどなかった。田舎でも少し知的欲求がある青年がいる家で『キング』を買っているぐらいだったが、たまたま私の実家では『キング』を定期購読していた。

 皇室から下々の国民まですべてを扱うというのが『キング』の趣旨だったから、誌面には皇室の写真もあれば、総理大臣の写真もある。二・二六事件の頃でさえ面白い話題ばかりがたくさん載っていた。私はこういう雑誌を子供の頃に読んでいた記憶があるから、いまの人たちがいうように、戦前の日本は軍国主義一色だったという話を聞くと馬鹿馬鹿しく思えて仕方ないのである。実際、『キング』のどこを読んでも軍国主義は見られないのだ。

 ちなみに二・二六事件の翌年の昭和12年(1937)に大いに流行った歌は、『もしも月給が上がったら』である。『うちの女房にゃ髭がある』は昭和11年。有名な『東京ラプソディー』も昭和11年に流行った歌で、一般大衆はまったくの平和路線を行っていた。

 第一次世界大戦後のパリ講和会議以来、日本では自由主義が一世を風靡していた。大正デモクラシーに引き続き、昭和初期にもデモクラシーが支持され、当時の大衆の間には自由主義がもてはやされていた。

 だが、ともすれば自由主義は「エロ・グロ・ナンセンス」などといった様相を見せるようにもなる。現実に、そういう流行りもあったから、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
技術と民生から見た明治維新(1)遠藤謹助
遠藤謹助―造幣局をつくった「造幣の父」
山内昌之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(5)キリスト教と反ユダヤ思想
ユダヤ人迫害を生んだ「権力者・ユダヤ人・民衆」の三者関係
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(10)ユダヤ人特集~鶴見太郎先生
【10min解説】鶴見太郎先生《教養としてのユダヤ人の歴史》
テンミニッツ・アカデミー編集部
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(4)新規事業成功のポイント
新規ビジネスの立ち上げ方、伸ばし方、見切り方の具体例
水野道訓
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之