本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
鉛筆のキャラになるほどの国民的な人気を博した当時の陸相
本当のことがわかる昭和史《4》二・二六事件と国民大衆雑誌『キング』(2)荒木・真崎時代の到来
渡部昇一(上智大学名誉教授)
人事面の争いを経て、荒木中将は昭和6年、犬養毅内閣に陸軍大臣として入閣。これによって荒木・真崎時代が到来する。そして荒木陸相は、いわゆる皇道派人事を臆面もなく展開した。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第四章・第2回。
時間:6分34秒
収録日:2015年1月19日
追加日:2015年8月31日
≪全文≫
 これによって荒木・真崎時代が到来する。そして荒木陸相は、いわゆる皇道派人事を臆面もなく展開したのである。

 宇垣大将の子飼いで陸軍次官を務めていた杉山元中将を久留米の第十二師団長にし、二宮治重参謀次長は広島の第五師団長、参謀本部の参謀第一部長になっていた建川美次少将を参謀本部付にして、ジュネーブ軍縮会議の陸軍代表として派遣した。軍務局の軍事課長を務めていた永田大佐も参謀本部第二部長という閑職に回された。

 宇垣大将の直系ではたった一人、小磯中将だけは次官に残すが、自派の山岡重厚少将を軍務局長にして目付役とした。また、陸軍省の人事局長には福岡出身の松浦淳六郎少将を任命し、秦真次中将を憲兵司令官にしている。

 ところが、荒木陸相に対する当時の世論は悪くなかった。私もよく覚えているのだが、荒木陸相は当時非常に評判が良かった。私が子供の頃の鉛筆は面白くて、乃木鉛筆、東郷鉛筆などというものがあったが、荒木鉛筆もあったように記憶している。

 そのような国民的な人気の背景には、荒木陸相が「皇軍」や「皇国」という言葉を好んで使い、精神主義的で右翼的な言動を繰り返していたため、青年将校に絶大な人気があったことがあるのだろう。その意味で、いまからいえば青年将校は日本のガンのような存在だったのかもしれないが、軍法会議の裁判官が首相を殺した容疑者を死刑にできないほど、青年将校たちが当時の国民に支持されていたことが、忘れがたいのである。

 それはある意味で、学生紛争の頃に学生たちがあんなに馬鹿なことをやっていたにもかかわらず、なかなか抑えが利かなかったのと似ている。いや、それをさらにスケールアップさせたようなものといえるだろう。

 荒木陸相はつねに「革新」を口にし、昭和維新を彷彿とさせるようなことを述べていた。そのため何となしにではあるが「青年将校をうまく扱えるのは荒木将軍しかいない」という世論になっていた。荒木陸相が陸軍部内でこれだけ乱暴な人事を行なっていても、普通の人には関係がなかった。

 彼が人事で行なったことは、田中義一、宇垣一成以来の穏健な陸軍主流派をすべて外したということにほかならない。何よりも荒木陸相自身が「青年将校は維新の志士である。位は低いが志は高い。上級将校たちは、たとえてみれば、幕末の頃の各藩の家老のごときものである」という声明を行なっている...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
「講義ページ」と「便利機能」の使い方(1)講義ページの便利な使い方
「講義ページ」の便利な使い方…講義テキストの出し方、各話への飛び方、再生速度
テンミニッツ・アカデミー編集部
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(3)ビットコインの革新と矛盾
暗号通貨は従来の通貨と何が違うか…ビットコインの矛盾点
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博