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DATE/ 2017.04.24

タクシー代わり?救急車を呼ぶトンデモナイ理由

 急な病気や怪我の時に、頼りになる強い味方の「救急車」。今、救急車が大変なことになっているのを皆さん知っていましたか。

総務省消防庁によると、平成27年中の救急自動車による全国の救急出動件数は605万件。初めて600万件を超え、過去最大の数字。1日あたり1万6,500件、実に日本全国で「5.2秒に1回」の割合で救急隊が出動しています。
 

無駄な出動増やす、トンデモナイ理由の数々

 このように救急車出動件数が増加している理由には、人生100年時代と言われるほどの長寿化で高齢者の増加によって、急病の発生率が多くなった可能性も言われていますが、それ以上に症状に緊急性がなくても救急車を呼ぶトンデモナイ人たちが増えているとか、いないとか。

【救急車が呼ばれたケース(消防庁より)】
・蚊に刺されてかゆい
・海水浴に行って、日焼けした足がヒリヒリする
・紙で指先を切った。血は止まっているが・・・
・病院でもらった薬がなくなった
・今日入院予定日だから、病院に行きたい
・ヘルパーを呼んだが来てくれなかったので、代わりに救急車を呼んだ
・病院で長く待つのが面倒なので、救急車を呼んだ

救急車出動の半分は、軽症者

 出動件数が増え続ける救急車ですが、605万件のうち、最も多かったのが入院の必要がない軽症で全体の49.4%。生命の危険が強い重症が8.5%、生命の危険はないものの入院が必要な症状が40.5%でした。

もちろん、自分では重症か軽症か判断できないといったこともあるかもしれません。でも、皆さんの安易な利用が他の人の命を危険にさらしてしまうかもしれないし、結果的に税金が上がってしまったり、救急車が有料になったりということになってしまうかもしれません。

軽症者の利用が、重症者を死に至らしめる

2015年の救急車の現場到着にかかる時間は平均8.6分となっています。思ったより早いと思いますか、遅いと思いますか?でも、この時間は10年前(2005年)だと平均6.5分でした。この10年で2.1分も来る時間が遅くなっています。

軽症者や生命の危険のないけど救急車を呼んでいる人は、2.1分の違いなんて気にも留めないかもしれません。でも、重症の方にとっては、数分の違いが生死を分けることもざらにあると言われています。

例えば、心筋梗塞の死亡率は、病院に到着する前に心臓が止まってしまう可能性が14%、病院に到着してからの死亡率は7%と言われています。もし、軽症の時に救急車を呼ばなければ、本当に必要な人の所へもっと早く到着できるかもしれません。

軽症者の利用が、救急車を有料に?

 軽症者が救急車を利用する弊害は、到達時間の遅延だけでなく、お金の無駄遣いであると言われています。

救急車の運営は、各市町村で実施しているため、救急車の出動にかかるコストは地域毎で大きく違いますが、2010年のさいたま市のデータによると、1回の出動に4万円以上の費用がかかります。あくまで、この数字は、単純計算なので、固定費をどう計算するかなどで大きく変わってきますが、タクシーで行けば2,000~3,000円で済むような病気や怪我に多額の費用をかけてしまっている事実は変わらないでしょう。

 今後、このまま救急車の安易な利用が進めば、諸外国の様に救急車が有料となってしまう日も遠くないかもしれません。軽症の方だけ、有料にするなんて案もあるようなので、一概に有料が悪いとも言い切れませんが。 
 

遅まきながら、消防庁も対策に乗り出した

このように救急車の出動数が増え続ける中、総務省消防庁も、2018年にタクシーの代わりに出動を要請するなど必要性が低い利用の実態を調べる方針を固めたようです。軽症者による利用などの不急の出動を減らして、効率的な運用につなげることを目的としているようです。

我々も利用者の一人として安易に救急車を呼ぶのではなく、本当に必要かどうかを見極めて、適正な利用に努めていきたいですね。

<参考>
財務省・内閣府
(10MTV編集部)