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ビッグデータを実用化するには何が必要か?
すっかり言葉としては定着した「ビッグデータ」ですが、さて、その実用化、活用度についてはどうでしょうか。大量のデータをただ貯めているだけでは、単なる「宝のもちぐされ」になってしまいます。せっかくの宝を腐らせないためのアドバイスを、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏からいただきました。
この「データの標準化・規格化」をアナログ的に考えれば、机や部屋の整理整頓に似ているといえるでしょう。雑誌や本、テレビで得た情報を、エクセルリストやカードに書きだすといったことで一元化する。経済関連の情報なら、赤のファイルに、国際情勢関連なら青のファイルに収める。そしてサイズをそろえたり、一目でわかるラベルを付けたりと、こうすることで、欲しい情報にすばやくアクセスする、複数の情報を比較・照合する、関連付けるといったことが容易になってきます。
柳川氏はこうした標準化・規格化は、企業内に留まらず、業界全体を横断するレベルで行う必要があると言います。そうすることで、分析だけでなくデータそのものの売買や取引といったビジネスのチャンスが広がってくるからです。
データサイエンティストに求められるのは、種々雑多な情報を分析して読み解いていく能力。そこにどんな意味があるのかを見出すためには多くの知識と判断力が必要です。その知識は、関連分野の専門知識のみならず、たとえば世界の動向や業界特性・慣行に関するものも必要とされます。豊かな発想で、さまざまな情報を組み合わせ、関連付けるアナロジーを発揮するために、その人なりの経験が役立つことも多いはずです。
AI時代の到来で、「あと10年で消える職業」などといったことも取沙汰されていますが、旧来の役割を生かした新たな役割への着替えといった可能性も考えられるでしょう。データを「当たるも八卦当たらぬも八卦」ではなく、豊かな知識と経験で的確に読み解くビッグデータ時代のサイエンティフィックな語り部が社内で再デビューする、そのようなケースがあちこちで見られるようになるかもしれません。
まず重要なのは、データの標準化・規格化
ビッグデータを実用化して役立てるためのポイントは2つ。1つ目は、データの標準化・規格化です。データは、たとえばIoT(モノのインターネット)によりいろいろな機器からであったり、POSを通じて入ってくるものであったりと、さまざまな形で集積されます。また、たとえ同種類のデータであっても、そのことを示すラベリングがきちんとされていないと「同じグループのデータ」と認識されません。てんでバラバラの状態では、データとして生かすことができないため、誰かがある条件を設けてデータをそろえたり、作り直したりする作業が必要となります。この「データの標準化・規格化」をアナログ的に考えれば、机や部屋の整理整頓に似ているといえるでしょう。雑誌や本、テレビで得た情報を、エクセルリストやカードに書きだすといったことで一元化する。経済関連の情報なら、赤のファイルに、国際情勢関連なら青のファイルに収める。そしてサイズをそろえたり、一目でわかるラベルを付けたりと、こうすることで、欲しい情報にすばやくアクセスする、複数の情報を比較・照合する、関連付けるといったことが容易になってきます。
柳川氏はこうした標準化・規格化は、企業内に留まらず、業界全体を横断するレベルで行う必要があると言います。そうすることで、分析だけでなくデータそのものの売買や取引といったビジネスのチャンスが広がってくるからです。
注目の「データサイエンティスト」
このように、ビッグデータを意味あるもの、価値あるものにしていくために欠かせない2つ目のポイントはやはり人にあります。「データサイエンティスト」の存在です。柳川氏によれば、データサイエンティストは単にプログラムを書いてそれを分析できるというだけでなく、非常に幅広い能力を要求されるため、世界中でその獲得合戦が始まっているのだそうです。データサイエンティストに求められるのは、種々雑多な情報を分析して読み解いていく能力。そこにどんな意味があるのかを見出すためには多くの知識と判断力が必要です。その知識は、関連分野の専門知識のみならず、たとえば世界の動向や業界特性・慣行に関するものも必要とされます。豊かな発想で、さまざまな情報を組み合わせ、関連付けるアナロジーを発揮するために、その人なりの経験が役立つことも多いはずです。
サイエンティフィックな語り部を発掘する
世界ではひっぱりだこのデータサイエンティストも日本ではまだ数少なく、育成が必要な段階です。ですが、柳川氏は育成とともに、今社内にいる人材の発掘も大事なのだといいます。社内には豊かなキャリアを積み、経験豊富な人材がきっといるはずで、そうした人をビッグデータ解析部門に配置することも、大事な企業戦略の一つといえそうです。AI時代の到来で、「あと10年で消える職業」などといったことも取沙汰されていますが、旧来の役割を生かした新たな役割への着替えといった可能性も考えられるでしょう。データを「当たるも八卦当たらぬも八卦」ではなく、豊かな知識と経験で的確に読み解くビッグデータ時代のサイエンティフィックな語り部が社内で再デビューする、そのようなケースがあちこちで見られるようになるかもしれません。
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