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定年のない自営業…「老後の備え」はどうする?
サラリーマンのように定年がない自営業者は、体さえ健康であれば60歳を過ぎてもバリバリ第一線で働き、収入を得ることが可能です。しかし、ひとたび廃業すると、その後の老後の生活はサラリーマンよりもかなりシビアなものとなります。働き盛りの今のうちに、できることはやっておきましょう。
後者について、少し説明を加えます。
サラリーマンは日本国民であれば誰もが受給できる(基礎年金と言います)国民年金に、勤務する事業所から支払われる厚生年金が上乗せされます。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(平成29年3月)によると、平成27年度の国民年金平均受給額は5万5244円、厚生年金は14万7872円。つまりサラリーマンは国民年金と厚生年金をあわせて月に20万円程度の年金が国から支給されることとなります。
一方の自営業者は、先に説明した通り厚生年金がありません。つまりベースとなる生活費が国民年金による月5万程度しか支給されないのです。
新卒から中小企業に勤め、定年退職した場合の退職金が1100万円程度と言われています。会社員と自営業者では、老後に黙っていてももらえるお金に圧倒的な差があるのです。ここまで読んで顔が青くなった自営業者のみなさん、さっそく対策を考えていきましょう。
小規模共済の掛け金は、全額が確定申告の控除対象内。節税対策にもなりますし、いざというときは事業資金として貸し付けも可能。廃業時の受け取り方法も一括、分割、併用といくつか方法が選択できる、非常にありがたいシステムです。
1.国民年金基金に加入する
国民年金基金は自営業者のみ加入できる公的年金です。月額1~2万円支給を1口目とし、月6万8000円の掛金の範囲で何口も加入することができます。35歳の誕生月までに加入すると掛金は安くなり、受取金額も高くなります。もしアラサーの方がいたら、加入検討はお早めに。掛金は全額控除対象となります。
2.民間の個人年金保険に加入する
各種生命保険会社が展開している年金保険に加入するのもポピュラーなやり方です。ただ、途中解約をすると元本割れしてしまうものが多いので、安定した収入の見込みがある場合にのみ検討したほうが賢明です。契約終身型、確定給付型、控除対象内が含まれたタイプがオススメです。
3.国民年金付加年金に加入する
毎月支払っている国民年金に400円をプラスして支払うと、200円×支払う月数分年金の受給額が増えるというシステムです。45年支払ったとして月9000円のベースアップとなります。資金力が乏しい自営業者でもすぐに始められますし、支払額は2年で元が取れます。もちろん控除の対象です。
4.確定拠出年金個人型(iDeCo)に加入する
金融機関で扱われている金融商品を選び、その投資運用額を60歳以降に年金または一時金の形で受給するというシステムです。金融機関各社で展開しており、20歳以上60歳以内の自営業は月5000円から年81.6万円の範囲で加入可能。月額にすると掛金は最大6万8000円ですが、これは公務員や会社員と比べて圧倒的に多額です。60歳以降でないと引き出せないという制約付きなので、年金として導入するにはピッタリ。掛金は全額控除対象です。
筆者の知り合いにも自営業者の方は数多くいます。その方々に今回の話をしたら、皆さんから「老後の計画をしっかり立てねばという気持ちが強まりました」との感想をいただきました。今回のコラムをご覧の自営業者の方は、この機に一度見直してみてはいかがでしょうか。
自営業者とサラリーマンの違い
自営業者とサラリーマンの老後の資金繰りで、最も大きく異なる点は2つ。自営業者には退職金がなく、受給できるのが国民年金のみということです。後者について、少し説明を加えます。
サラリーマンは日本国民であれば誰もが受給できる(基礎年金と言います)国民年金に、勤務する事業所から支払われる厚生年金が上乗せされます。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(平成29年3月)によると、平成27年度の国民年金平均受給額は5万5244円、厚生年金は14万7872円。つまりサラリーマンは国民年金と厚生年金をあわせて月に20万円程度の年金が国から支給されることとなります。
一方の自営業者は、先に説明した通り厚生年金がありません。つまりベースとなる生活費が国民年金による月5万程度しか支給されないのです。
新卒から中小企業に勤め、定年退職した場合の退職金が1100万円程度と言われています。会社員と自営業者では、老後に黙っていてももらえるお金に圧倒的な差があるのです。ここまで読んで顔が青くなった自営業者のみなさん、さっそく対策を考えていきましょう。
退職金のかわりに「小規模共済」に加入する
退職金を補う手段として、小規模共済に加入するという方法があります。小規模共済は従業員が少人数(業種にもよるが基本20人以下)の会社役員と個人事業主が加入できるもので、掛け金は月1000円から7万円まで。これを積み立てておき、退職金代わりに使うという考え方です。小規模共済の掛け金は、全額が確定申告の控除対象内。節税対策にもなりますし、いざというときは事業資金として貸し付けも可能。廃業時の受け取り方法も一括、分割、併用といくつか方法が選択できる、非常にありがたいシステムです。
年金の受給額を増やす
もう一つは年金の受給額を増やすという方法もあります。とはいっても自営業者は厚生年金には加入できません。それ以外の方法で増やす必要があります。1.国民年金基金に加入する
国民年金基金は自営業者のみ加入できる公的年金です。月額1~2万円支給を1口目とし、月6万8000円の掛金の範囲で何口も加入することができます。35歳の誕生月までに加入すると掛金は安くなり、受取金額も高くなります。もしアラサーの方がいたら、加入検討はお早めに。掛金は全額控除対象となります。
2.民間の個人年金保険に加入する
各種生命保険会社が展開している年金保険に加入するのもポピュラーなやり方です。ただ、途中解約をすると元本割れしてしまうものが多いので、安定した収入の見込みがある場合にのみ検討したほうが賢明です。契約終身型、確定給付型、控除対象内が含まれたタイプがオススメです。
3.国民年金付加年金に加入する
毎月支払っている国民年金に400円をプラスして支払うと、200円×支払う月数分年金の受給額が増えるというシステムです。45年支払ったとして月9000円のベースアップとなります。資金力が乏しい自営業者でもすぐに始められますし、支払額は2年で元が取れます。もちろん控除の対象です。
4.確定拠出年金個人型(iDeCo)に加入する
金融機関で扱われている金融商品を選び、その投資運用額を60歳以降に年金または一時金の形で受給するというシステムです。金融機関各社で展開しており、20歳以上60歳以内の自営業は月5000円から年81.6万円の範囲で加入可能。月額にすると掛金は最大6万8000円ですが、これは公務員や会社員と比べて圧倒的に多額です。60歳以降でないと引き出せないという制約付きなので、年金として導入するにはピッタリ。掛金は全額控除対象です。
筆者の知り合いにも自営業者の方は数多くいます。その方々に今回の話をしたら、皆さんから「老後の計画をしっかり立てねばという気持ちが強まりました」との感想をいただきました。今回のコラムをご覧の自営業者の方は、この機に一度見直してみてはいかがでしょうか。
<参考サイト>
・国民年金基金
http://www.npfa.or.jp/
・中小機構
http://www.smrj.go.jp/skyosai/index.html
・iDeCoナビ
http://www.dcnenkin.jp/
・FPナビ
https://fpnavi.net/content/?p=344
・国民年金基金
http://www.npfa.or.jp/
・中小機構
http://www.smrj.go.jp/skyosai/index.html
・iDeCoナビ
http://www.dcnenkin.jp/
・FPナビ
https://fpnavi.net/content/?p=344
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