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DATE/ 2017.10.18

「たばこ休憩」をとるのは不公平なのか?

 勤務時間にたばこを吸いに行く「たばこ休憩」。多くの会社で暗黙の了解となっていますが、非喫煙者にとっては不公平ではないかという意見は根強く、長年にわたり賛否の声が上げられています。

 最近では喫煙自体を禁止する企業もあれば、たばこ休憩は容認して非喫煙者に手当を支給する企業もあるなど、会社によっても対応はさまざま。喫煙者、非喫煙者の中でも賛否が分かれるなど、答えのない問いともいえるでしょう。あなたは「たばこ休憩」をどう思いますか?

勤務時間が不公平だと主張する反対派

 かつて昭和の時代にはデスクでたばこをふかしながら働く光景が当たり前でしたが、今ではそんな職場もごくわずかになりました。むしろ喫煙に対する風当たりは年々強くなり、勤務中の喫煙を禁止している企業もあれば、喫煙者を採用しない方針を打ち出している企業もあります。

 「たばこ休憩をとるのととらないのとでは勤務時間に大きな差がでる」というのが反対意見の主な主張です。1回10分のたばこ休憩を3回とれば、1日で30分の差が出てしまい、8時間勤務で換算すれば、1年で15日分に相当するまでになります。これだけの差がでたら不満も抱えてしまうのもうなずけます。また「たばこは嗜好品だから休憩時間に吸ってほしい」「たばこのにおいが嫌い」という意見から、たばこに対する意識の変化もうかがうことができます。

容認派は息抜きも大切だという意見

 一方で、2017年9月に都内のIT会社では、たばこ休憩が不公平だという社員の意見をきっかけに、非喫煙者に年最大6日の有給休暇を与える制度を導入。あえてたばこ休憩を容認する制度に、ネット上では賛否両論の声が上がりました。しかし、ほかにも非喫煙者には月2000円の手当がつく福利厚生を導入している会社もあるなど、こうした施策をとる会社が珍しいわけではありません。

 喫煙者がたばこ休憩をするのは「息抜きのため」という意見が少なくありません。確かに集中力を維持するためなど、時には息抜きも必要なもの。「普段話せない他部署の人と交流を持てる」といったタバコミュニケーションとしての魅力を語る人もいます。

正解はないけれど、小休憩はアリなのでは

 筆者のまわりの非喫煙者の方に話をしたところ、「たばこのにおいは好きではないけれども、たばこ休憩については容認派かな」と答えていました。とはいえ、そのスタッフが容認しているのは「たばこ」ではなく「小休憩」の方です。人間の集中力はそう長くは続きませんし、仕事中に息抜きをしたくなることは誰しもあります。そうした時には集中できないままで仕事をするよりも、短時間の休憩をとるほうがよっぽど効率が良いのではないでしょうか。

 その方法のひとつが「たばこ休憩」なら、それはそれで良いという考え方です。15分の昼寝やデスクを離れてのリフレッシュも導入することは可能でしょうし、実際に福利厚生が充実している企業ではそうした制度を取り入れている場合もあります。たばこ休憩だけを槍玉にあげるのではなく、みんながたばこ休憩のような時間を持つことができれば、不公平感を減らすことは可能なのではないでしょうか。

<参考サイト>
・新人事制度「スモ休」開始のお知らせ
https://www.piala.co.jp/news/新人事制度「スモ休」開始のお知らせ

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