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DATE/ 2017.10.22

未経験可!月給33万円の仕事とは?

 「月給●●万円以上保証!」

 一杯飲んだ帰り道、繁華街でこんな看板を目にするサラリーマンの方は多いのではないでしょうか。一生懸命働いているはずなのに、ここ最近月給が上がらない。そろそろ転職を考える時期かな……と悩む人も多いでしょう。そんな人にとってみれば、たとえば月給30万円を超える業種があるということは正直驚きかもしれません。では実際、「こんなに稼げるの?」といった業種はあるのでしょうか。その一つとして注目を受けている求人情報があります。

「漁師」の仕事は意外と稼げる?

 それは「第一次産業ネット」という求人サイトに掲載されている「漁師」で、募集をかけているのは「本田漁業部」という企業です(求人情報は2017年10月17日時点)。1967年から北海道根室市を拠点に事業を行なっている同社は、7名の常勤従業員、そして19トンの漁船を保有するチームです。漁師と言えばいわゆる「遠洋漁業」などのような長期間にわたる航海のイメージがありますが、同社は「刺網漁業」によってタラやカレイなど釣り上げる日帰り漁がメインだと明記しています。

 また、本採用後に支払われる最低月収33万円で考えると、年間で396万円、同社が提示している40万円だと同じく480万円。ここに年2回の賞与、そして昇給もあるそうです、これは日本の労働賃金的に見てどのくらいのレベルなのでしょうか。

 「日本経済新聞」の電子版が2017年9月28日に報じたところでは、2016年民間企業で働く企業の給与所得者の平均給与は422万円で、前年度比0.3%増となり、給与自体は4年連続で増加しています。ただ、雇用形態で細分化してみると、日本の労働問題が見えてきます。正社員の平均額が487万円である一方、派遣社員などをはじめとした非正規雇用者の平均額は172万円に過ぎません。こういった境遇にいる人々にとって、よりよい生活環境を手に入れるためには“稼げる”業種として漁業を見ることができるでしょう。

 ここで気になるのは「本田漁業部」の勤務スケジュールです。同サイトには1日の流れを掲載しており、午前2時から3時半までに集合して出漁、その後14時ごろまで様々な現場での作業が続きます。そして帰港しても市場への出荷、翌日の準備などで仕事が終わるのは15時頃の目安。つまり“拘束時間”にすると、半日以上となる13時間にも及ぶのです。肉体を使うハードワークだけに求める人物像の1つに「やる気、根性、体力のある方」という項目があるのは、作業の厳しさを推して知るべしといったところでしょう。

他業種で「月給33万」を検索してみると……

 ちなみに「月収33万円以上」を可能にする業種はその他にもあるのでしょうか。大手求人広告サイト「indeed」で「月収33万円も可能」をキーワード検索してみると、様々な業種がヒットしました。例えば2014年にオープンした某病院の正看護師・准看護師、ネットテレビ局の生放送番組制作アシスタントなどです。

 ただ、こちらも労働条件としては厳しい点もあるようです。例えば、正看護師・准看護師は(夜勤あり)と明記されています。また、ネットテレビ局の「音楽チャンネルの制作に関わるお仕事」も生放送の関係上、土日深夜帯の出勤可能性があり、勤務時間は「10:00~19:00」、残業時間についても「月30~40時間程度」としつつも「開局後で忙しいため柔軟なご対応をよろしくお願いします」と、ネットとはいえテレビマンゆえの難しさを感じさせる文言も記されています。

 大金を稼ぐためには何にせよ、つらい部分があるのは当たり前。それを吟味した上で仕事場を検討するのが、スマートな生き方なのではないでしょうか。

<参考サイト>
・日本経済新聞:民間給与4年連続増
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG28H6D_Y7A920C1CR8000/
・第一次産業ネット:本田漁業部
http://www.sangyo.net/job/detail/4805
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