社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.11.08

経験者が語る「ブラック企業」の特徴

 「ブラック企業」というキーワードもかなり一般化し、Google検索すると約861万件リストアップされてきます。対義語「ホワイト企業」が約503万件に対して、約300万件もの差がついているのも興味深いところ。

 働いている人であれば、自分の勤めている会社のブラックな側面をどこかに感じるのではないでしょうか。

連合の調査報告

 労働組合の中央組織である連合総研が興味深いデータを発表しています。

 2014年に公表されたPDFで、「自分の勤務先はブラック企業だと思う」と回答した人は全体の4人に1人、特に20代では3人に1人とのこと。1/4以上の労働者が、自分の務めている会社に何らかの不満を持っていることになります。

 こうした、労働者が体感する暗黒面とはどんなものでしょう?

 同調査によると、

1位「長時間労働が当たり前」
2位「仕事に見合わない低賃金」
3位「有給休暇が取得できない」

 「勤務先がブラック企業だと思う正規労働者の4割が「サービス残業が当たり前」をその理由とする」と大きな見出しをつけています。

 労働時間と賃金の問題は、大企業との格差を含めて、あらゆるニュースソースから明らかになっているだけに大きな不満となっているのがよくわかります。

「はたらこねっと」の調査報告

 最近の調査で興味深かったのが、求人情報サイト「はたらこねっと」を運営するディップが2017年8月末に公表した調査結果です。

 こちらはブラック企業で働いたことがあるとアンケートに答えたユーザー(137人)による「ブラック企業だと感じた理由」についてです。

1位「募集内容と実際の雇用条件・待遇が異なっていた」46%
2位「長時間労働が強要されている・常態化している」40%
3位「パワハラ・セクハラが行われている」40%
4位「充分な研修がされないまま仕事を任される」37%
5位「残業代が支給されない」35%
6位「上司、上層部のコンプライアンス意識が低い」34%

 トップにランキングされた雇用条件とのギャップ問題は、「正社員で採用されたのに、初出社の前日に最初の雇用形態は正社員ではないと説明された」など、より多くの働き手を勧誘する企業側の盛り込み、もしくは現場状況が雇用条件に反映されていないという企業体質が浮き彫りになっているといってよいでしょう。

 数回の面接ではなかなか見分けるのが難しいブラック企業。といっても一事が万事、ひとつのほころびが全体的に波及しているケースが少なくありません。ユーザーの体験談では、契約内容はしっかりと確認し、面接官だけでなく、働いている人や職場環境をしっかり観察するのがよいとのことです。入社してから慌てないように、事前チェックは慎重に!

<参考サイト>
・連合:ブラック企業に関する調査
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20141128.pdf
・はたらこねっと:ブラック企業就業経験者に聞いた!
http://www.hatarako.net/pr/2017/0829/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる

この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。

今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
2

命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ

命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク

最終話では、金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅を読み解いていく。鎌田氏は、この2つの曼荼羅は「粒子性」と「波動性」だという。そして空海は、この2つの曼荼羅や『秘蔵宝鑰』の冒頭の詩を通じて「命は光なのだ」ということを明示し...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/27
3

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
4

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
5

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴

国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
小原雅博
東京大学名誉教授