社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.11.10

語学の勉強はもういらない?進化する翻訳ツール

 昇進するためにTOEICで一定の点数を取らなければいけなかったり、英語だけでなく中国語や韓国語まで学ばなければいけなかったり。語学の勉強に追われているというビジネスマンは少なくないと思います。もしその負担がなくなるとしたら?実はそう遠くない未来、それが実現するかもしれないのです。

機械学習でGoogle翻訳が飛躍的に進化

 その理由は、アプリを始めとした翻訳ツールの性能が飛躍的に向上しているから。かつてネットの翻訳サイトは実用性の面でなかなか厳しいレベルでしたが、最近は違います。2016年末頃からGoogle翻訳の精度が飛躍的に上がったと話題にもなりました。従来は単語ごとに翻訳を当てはめていたのに対し、文章全体で意味をとらえるようになったことや、機械学習を取り入れたことが要因だそうです。

 また、Google翻訳のアプリは文章を訳してくれるだけでなく、カメラを向けるだけで画像内の文章を翻訳してくれたり、音声入力に対応して会話のリアルタイム翻訳も可能です。それぞれ30以上の言語に対応しているため、人口で言えば世界中ほぼすべての人とこのアプリを通じてコミュニケーションが取れるといっても過言ではありません。

 NTTドコモが提供するアプリ「はなして翻訳」は、Google翻訳アプリと同じく対面の会話での翻訳や画像翻訳だけでなく、電話でも活躍。このアプリを通して電話をかけると、お互いの言葉に続いて、それぞれの母国語に翻訳してくれるのです。海外旅行中にレストランを予約したり、ホテルに問い合わせをするときに重宝しそうです。

「ほんやくコンニャク」実現も近い?

 アプリではなく、音声翻訳に特化したデバイスもあります。小型のICレコーダーと大差ないサイズの「ili(イリ?)です。公式サイトによると「世界初!ウェアラブル音声翻訳デバイス」をうたっており、インターネットに接続することなく、伝えたい内容をすぐに翻訳してくれます。現在大分県別府市の観光地で試行運用をしているほか、海外でのWiFiルーターレンタル事業を手掛ける「GLOBAL WiFi」を通じてレンタルすることも可能です。対応言語は英語、中国語、韓国語に限られますが、紹介動画の再生回数が1億回を超えるなど、話題を呼んでいます。

 すでに使い勝手の良いサービスがこれだけ存在していますが、さらに驚くべきことは飛躍的なスピードで翻訳精度を始めとした品質が上がり続けていること。ドラえもんに登場した秘密道具「ほんやくコンニャク」が実現する日も、そう遠くないのかもしれません。

<参考サイト>
・Google 翻訳 Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.apps.translate&hl=ja
・はなして翻訳 | サービス・機能 | NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/service/hanashite_honyaku/
・ili(イリ?)
https://iamili.com/ja/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴

国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
小原雅博
東京大学名誉教授
2

ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは

ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは

歴史の探り方、活かし方(3)古書店巡りからネット書店へ

古本のインターネット書店が充実し、史料探しはずいぶん楽になった現在だが、地方にある書店の地元出版コーナーも見逃せない。新書などの文献目録を参考にするという手もあると中村氏は言う。ではそうして歴史を調べ、たどって...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/21
3

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か

アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
4

密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」

密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観

岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
5

浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角

浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」

日本では「台湾有事」における日本への影響を口にする人が多いが、事態はより複雑である。中国の浸透により台湾は分断を深め、内側から崩壊しようとしている。浸透しているのは軍や政府内部の大量のスパイ、反社会組織を通じた...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/15
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使