社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
有給を【100%】消化する方法
「2020年までに有給休暇取得率70%とする」
これは、2017年3月、政府が主導する「働き方改革実行計画」で掲げられた数値目標になります。
そして、改正が予定される労働基準法においては、有給休暇の義務化が見込まれています。具体的に、会社は10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないというものです。
その取りにくさは、職場環境のみならず、有給休暇についての正しい知識が不足しているところにあるといってよいでしょう。
少ないスタッフでまわしている仕事環境では、一人休んだときの負担から、なかなか申請しにくいという雰囲気、また、人事評価にマイナスになるのではという懸念も影響しているようです。
しかし、こうした有給取得申請から、労働者の不利益になるような会社の扱いは、労働基準法附則136条で禁止されています。
労働者の権利である有給休暇取得について、取りにくさのある環境を是正するのは経営の役割であり責任なのです。
労働者の有給申請は日時の指定があります。その取得日時に事業の正常な運営が妨げられるときには、会社は年休取得を拒否する権利、労働基準法39条5項但書による時季変更権が設定されています。
この時季変更権は、事業の内容、規模、労働者の担当業務、忙しさ、他の労働者の休暇状況など様々な要因を考慮して判断し、労働者の希望が実現できるように配慮を行うことが求められます。
なお、日常的な業務の忙しさ、慢性的な人手不足を理由に、時季変更権を行使することはできません。慢性的な人手不足は経営責任なのです。人手不足を理由に時季変更権を行使できれば、その会社ではおよそ有給休暇がとれなくなってしまうからです。
退職時に強引に取得するためにこのような方法もあるのですが、通常、時季についての変更の可能性はあるものの、ご自身の意志の表明次第で、有給休暇は100%取得できることを理解しておきましょう。会社や同僚への気遣い以上に、よりよい労働環境を目指すために有給休暇申請にためらう必要はありません。「働き方改革」が結果的にどのような法律になるか気になるところではありますが、職場環境を改善するためにも、ぜひ有給休暇は100%消化するようにしましょう。
もし、有給休暇申請に、会社サイドの理不尽な拒否、時季変更権の行使があるなら、速やかに労働基準監査署に相談することをオススメします。
これは、2017年3月、政府が主導する「働き方改革実行計画」で掲げられた数値目標になります。
そして、改正が予定される労働基準法においては、有給休暇の義務化が見込まれています。具体的に、会社は10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないというものです。
有給休暇の取りにくさ
労働者の権利であるといわれている有給休暇ではありますが、ご自身の職場を顧みるまでもなく、なかなか取りにくい状況を反映しての「働き方改革実行計画」の数値目標であることがご理解できるのではないでしょうか。その取りにくさは、職場環境のみならず、有給休暇についての正しい知識が不足しているところにあるといってよいでしょう。
少ないスタッフでまわしている仕事環境では、一人休んだときの負担から、なかなか申請しにくいという雰囲気、また、人事評価にマイナスになるのではという懸念も影響しているようです。
しかし、こうした有給取得申請から、労働者の不利益になるような会社の扱いは、労働基準法附則136条で禁止されています。
労働者の権利である有給休暇取得について、取りにくさのある環境を是正するのは経営の役割であり責任なのです。
有給休暇申請と時季変更権
では、会社サイドは、労働者の有給休暇取得に対して、どんな状況でも断ることはできないのでしょうか?労働者の有給申請は日時の指定があります。その取得日時に事業の正常な運営が妨げられるときには、会社は年休取得を拒否する権利、労働基準法39条5項但書による時季変更権が設定されています。
この時季変更権は、事業の内容、規模、労働者の担当業務、忙しさ、他の労働者の休暇状況など様々な要因を考慮して判断し、労働者の希望が実現できるように配慮を行うことが求められます。
なお、日常的な業務の忙しさ、慢性的な人手不足を理由に、時季変更権を行使することはできません。慢性的な人手不足は経営責任なのです。人手不足を理由に時季変更権を行使できれば、その会社ではおよそ有給休暇がとれなくなってしまうからです。
有給休暇を100%消化する方法
そうはいっても、なかなか簡単にはいかない有給休暇。実際には退職時にまとめて消化というケースが多いようです。そして、退職時にも消化させない悪質な企業もあり、その場合にはとっておきの方法があります。それは、「弁護士に依頼して辞職の意思表示を内容証明でしてもらう。そこに有休取得の意思表示も書いてもらう」という方法です。BLOGOSに掲載されているおおたかの森法律事務所の三浦義隆弁護士による記事によると、「過去に私は同種の内容証明を何度も出しているが、今のところこれで支払われなかった経験はない」とのこと。退職時に強引に取得するためにこのような方法もあるのですが、通常、時季についての変更の可能性はあるものの、ご自身の意志の表明次第で、有給休暇は100%取得できることを理解しておきましょう。会社や同僚への気遣い以上に、よりよい労働環境を目指すために有給休暇申請にためらう必要はありません。「働き方改革」が結果的にどのような法律になるか気になるところではありますが、職場環境を改善するためにも、ぜひ有給休暇は100%消化するようにしましょう。
もし、有給休暇申請に、会社サイドの理不尽な拒否、時季変更権の行使があるなら、速やかに労働基準監査署に相談することをオススメします。
<参考サイト>
・首相官邸:働き方改革実行計画
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01.pdf
・厚生労働省:有給休暇ハンドブック
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/040324-17a.pdf
・BLOGOS:退職の際に有休消化させない企業でも強引に消化する方法
http://blogos.com/article/219414/
・首相官邸:働き方改革実行計画
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01.pdf
・厚生労働省:有給休暇ハンドブック
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/040324-17a.pdf
・BLOGOS:退職の際に有休消化させない企業でも強引に消化する方法
http://blogos.com/article/219414/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
『法華経』と「神道」はアバター!?通底する世界観とは
おもしろき『法華経』の世界(2)『法華経』と「神道」の共通性
聖徳太子、最澄、空海、日蓮、宮沢賢治など多くの人に多大な影響を与えてきた『法華経』は長い年月にわたり日本宗教史を貫いてきた存在である。『法華経』は、苦悩を前提としつつ、むしろそうであるがゆえに明るい未来や救済の...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/05/11
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果を現在の「病気の有無」だけに注目するのは、健康管理において不十分である。大事なことは、糖尿病、認知症、脳卒中、心筋梗塞など重篤な病気につながる共通点に着目していくこと。キーワードは「血管」である。...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/04/15
現代日本人の中に縄文遺伝子!? 弥生人の核ゲノムで判明
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(8)弥生人の核ゲノム
渡来系弥生人のルーツを分析していくと、朝鮮半島ですでに混血していた人が渡ってきた可能性が高い。ただ、不思議なことにその痕跡が九州や近畿を飛ばして名古屋近郊の朝日遺跡で検出されている。その他にも、日本列島に渡って...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/07
全体主義の暴力とは集団のアイデンティティで人を扱うこと
デモクラシーの基盤とは何か(1)全体主義の暴力
ハンナ・アーレントが批判した全体主義の本質とは何か。その答えは、アーレントが「ユダヤの娘として」考えるよう批判された際の応答に詰まっている。全体主義の暴力の本質とは、「集団的アイデンティティによって人を扱う」こ...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/09