社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.03.11

なぜ「ストレス」で食べ過ぎてしまうのか?

 仕事から帰り、自宅でくつろいでテレビを見ていると、気づけば近くにあるポテトチップスやお煎餅に手を出してポリポリ。さっき夕飯を食べたはずなのに、なぜかお菓子を食べている。もしくは普段の1日3食も家族の誰よりモグモグと食べた結果、―年1回の健康診断で驚くほどの体重になっていることはありがちです。

 いわゆる「メタボ」を招く最大の要因である食べすぎですが、食欲以上に「ストレス要因」が食べ過ぎを助長してしまうのではないかとの研究が話題になっています。

 この研究を扱ったのは、イギリスの公共放送「BBCニュース」の「どうしてストレスで太るのか」というタイトルの記事です。被験者に計算問題を解かせ続けたり、冷水に手を入れることでストレスを増やすことで、体内にある血糖値が正常に戻るまで非常に長い時間がかかります。

血糖値の低下が結果として空腹に

 血糖値の低下とインスリンの大量放出が体内で起こることで、人の身体は結果として空腹を「感じたようになる」状況となります。それによって食べ過ぎる、という仕組みになっていると記事ではまとめられています。

 仕事中にも「甘いものが無性にほしくなる」という経験は、多くの人にあるでしょう。例えば、ブームとなっている将棋の対局中、平昌五輪で銅メダルを獲得したカーリング女子が「おやつタイム」を設けたことが話題となりました。ウェブサイト「ヘルスプレス」では、常に頭脳をフル回転させる競技では、脳に直接エネルギーになるブドウ糖摂取にベターだという見方も提示されています。いわゆる「補食」というもので「頭を使う=エネルギーを摂る」という考え方は間違えなさそうです。

睡眠不足はマフィン1個分?

 ただし、将棋やカーリングのように運動や頭脳活動をしなければ、単なる食べ過ぎとなってしまいます。そして、その食べ過ぎに「睡眠」が関連しているという話も見逃せません。

 眠りの専門店「市田商店」ウェブサイトの「睡眠不足は太る?!睡眠とダイエットの関係」という記事では、2011年にシカゴ大学の研究チームが「適切な睡眠時間(7時間半)を確保することにより、脂肪の燃焼を増加させるだけではなく、食欲も抑えることができる」との発表を紹介しています。

 冒頭で取り上げたBBCの記事でも、睡眠不足になった場合、平均でマフィン1個分の385キロカロリーを余分に摂取するという研究が記されています。やはり規則正しい生活が健康を呼び込むのと同時に、食べることでのストレス解消を、体操などの軽めの運動や庭仕事を長続きさせることで改善してほしいとも伝えています。

 仕事後のくつろぎ方も、工夫1つでダイエットの契機になる。そうポジティブに考えていけば、うっかり食べ過ぎるなんて生活ともおさらばできるのかもしれません。

<参考サイト>
・BBC:どうしてストレスで太るのか
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42833603
・HEALTH PRESS:カーリングや将棋で注目の「おやつタイム」は脳の働き方改革か?
http://healthpress.jp/2018/02/post-3510.html
・市田商店:睡眠不足は太る?!睡眠とダイエットの関係
https://www.ichida-kyoto.com/column/sleep-diet/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題

保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
2

ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ

ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ

編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論

「人的資本経営」という言葉が、よく聞かれるようになりました。端的にいえば、「人材=コスト」ではなく「人材=資本」として捉え、人を大切にしていこうという考え方です。

「人を大切にする」というのは別に新しい...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/11/06
3

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
4

宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由

宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由

徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題

半世紀ほど前、松下幸之助に経営者の条件について尋ねた田口氏は、「運と徳」、そして「人間の把握」と「宇宙の理法」という命題を受けた。その後50年間、その本質を東洋思想の観点から探究し続けてきた。その中で後藤新平の思...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/24
5

なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法

なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法

エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性

人的資本経営で非常に大事なのが人事評価制度である。しかし、正解はなく、会社や環境に応じて、形を変える必要がある。ポイントは、短期評価と長期的人材育成を踏まえた二本立ての評価制度設計をすること。たとえばクリエイテ...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/11/04
水野道訓
元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO