テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.06.09

最強のPB「セブンプレミアム」の強みとは?

 コンビニ界の王座に君臨し続けるセブンイレブン。いまや当たり前となったコンビニコーヒーやコンビニのプライベートブランド(以下PB)の先駆者であり、時代の最先端を牽引し続ける存在でもあります。その強みのひとつである「セブンプレミアム」は、数多くのPBの中でも広く認知され、根強い人気を誇るセブン&アイホールディングスの主力商品たちといっても過言ではありません。今回はそんな「セブンプレミアム」の強みを紹介していきましょう。

プライベートブランドの革命児

 「セブンプレミアム」とは、セブンイレブンを傘下に置くセブン&アイホールディングスが2007年から始めたPBです。その売上は、2017年度で約1兆3,200億円に達し、2019年度には1兆5,000億円まで拡大することを目標として掲げています。

 かつてのPBといえば、メーカーが企画開発するナショナルブランド(以下NB)によく似た商品の廉価版というイメージが一般的で、商品開発においても低価格であることが最優先事項とされていました。そのPBの常識を打ち破り、品質、安全性において高いクオリティを追求したPB商品を産み出したのが、セブン&アイホールディングスだったのです。

 「セブンプレミアム」の型破りな点は高品質なことだけではありません。これまでPB商品は販売者の名前だけを明記するのが一般的でしたが、「セブンプレミアム」は共同開発のメーカー名を商品に明記。専門家の間では賛否両論がありましたが、消費者には安全性が保障されている証として受け入れられ、「セブンプレミアム」への信頼度が高まる要因のひとつにもなりました。

 こうしてPBの常識を大きく変えた「セブンプレミアム」の挑戦は今なお続いており、新商品の開発のかたわらで既存商品のリニューアルにも力を入れています。「安さより質」を求めるようになった消費者の期待に応え続け、常に満足度の高い商品を提供し続けているのです。

幅広く豊富な商品展開

 セブンイレブンに入って棚を見てみると、ほとんどの棚に「セブンプレミアム」のロゴが入ったPB商品が陳列されていることに気づくでしょう。これらは商品の種類によってブランディングされていて、つくりたての美味しさを提供する「セブンフレッシュフード」、より上質で高価格帯の「セブンプレミアムゴールド」、文具・生活用品などの雑貨を扱う「セブンプレミアムライフスタイル」、野菜・魚・肉などの生鮮食品を扱う「セブンプレミアムフレッシュ」など、PB商品だけでも幅広い商品展開をしていることが「セブンプレミアム」の大きな特徴のひとつです。

 また、「セブンプレミアム」が始めた新しい挑戦が、コンビニコーヒーの先駆けとなった「セブンカフェ」。今ではどこのコンビニでもおなじみのサービスになりましたが、コンビニで本格的なコーヒーが楽しめるというアイデアは画期的なものでした。「セブンカフェ」も随時リニューアルを行い。常に消費者の舌を飽きさせない工夫を凝らし続け、今では1日1店舗平均で130杯を売り上げる定番人気商品になりました。

なんでも揃うコンビニだけど…

 豊富なPB商品だけでなく、幅広いサービスを扱うことでシェアを拡大してきたコンビニですが、ここ2、3年は来客数が伸び悩んでいる実態があります。その要因はドラッグストアの台頭。薬品や化粧品を販売するかたわらで、食品を低価格で販売することに注力するドラッグストアがコンビニの客層を奪い来客数を伸ばしているのです。その結果、ドラッグストア業界で2018年に売上げ首位に立つ見込みのツルハホールディングスは、全社売上げの20%超を食品が担うまでになっています。

 ドラッグストアの急成長を受けて小売業の勢力図が変化する中で、今後はどんな一手を仕掛けるのでしょう。新たな発想で成長を続けてきたセブンイレブン、今度もその動向から目が離せません。

<参考サイト>
・セブン&アイの挑戦
https://www.7andi.com/company/challenge/2685/1.html
・セブン‐イレブンのオリジナル商品
http://www.sej.co.jp/products/branding.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に

世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
2

なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか

なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか

続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景

国際的に見て、政府の債務残高が大きい日本。その背景には、バブル崩壊後の財政赤字を取り戻せていないことがあった。その一方で、預金残高も高い日本。所得が低いのに預金が多い日本の謎を解説する。(全4話中第2話)
※...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
養田功一郎
元三井住友DSアセットマネジメント執行役員 YODA LAB代表 金融・経済・歴史研究者
3

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力

人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
4

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
5

外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか

外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか

外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い

外交とは国益を最大化しなければいけないのだが……。35年にもわたる外交官経験を持つ小原氏が8年がかりで書き上げた著書『外交とは何か 不戦不敗の要諦』(中公新書)。小原氏曰く、外交とは「つかみどころのないほど裾野が広い...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/05
小原雅博
東京大学名誉教授