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DATE/ 2024.05.09

断れない人が断れる人になるにはどうすべき?

 あなたは、頼まれたことを断ることができますか。

 事情やシチュエーションにもよりますが、イヤであったりムリなことについて、ご自身の意思を相手に伝えることはとても重要です。

 今回は、場を優先するという日本にありがちなブラック企業や有給休暇消化の問題にも通じる、「断り」について考えてみましょう。

社会と断れない人

 学校や職場、地域コミュニティなど、社会に置いて人はそれぞれの役割を分担します。学級委員、PTAの役員、マンションなどの理事など、だれもが引き受けたくない役割を決めなければならないときに、当てにされるのが「断れない人」です。状況に起因する場合もありますが、「断れない人」にはどんな特徴があるのでしょうか。

断れない性格や状況

 人がイヤがることを進んで引き受けるのか、イヤイヤながら引き受けるのでは大きく違います。ポジティブに引き受けるのか、ネガティブに引き受けるのかは性格の違いとみることができそうです。

 人にどう見られているのか、どう見られたいかという視点から考えてみるとわかりやすいでしょう。つまり、「断らない人」とは、優しくて思いやりがあるという評価と、お人好しである、人に利用されやすいバカな人という評価の二面性が大きく影響しているようです。

 人からの評価を気にせずに、思いやりを持ってポジティブに断らない性格であれば、ストレスをためることなく、個人の器量の中でマネジメントできるので問題は少ないでしょう。ただ、コミュニティにおいては、こうした人への依存傾向が強くなることが憂慮されます。

 問題なのは、嫌われたくないであるとか、いい人と見られたいというような、人の評価を気にするあまり、イヤな気持ちを隠してネガティブに断れない性格である場合です。能力が見合わないことを引き受けて、苦しい立場に追い込まれることが少なくありません。個人のストレスとあわせて、コミュニティ自体のストレスも増大して、双方にとって破壊的な危機となることが懸念されます。

 ここのところ増大している何でも利己的に「断れる人」と同様に、人からよく見られたい、嫌われたくないという理由で「断れない人」も利己的であるということができそうです。

断れるようになるためには

 断るという行為は、ネガティブ的なイメージに感じられることが多いですが、それは視野の問題です。個人の小さな評価以上に優先すべきは未来の可能性です。断ることで肯定的な未来を築けることは少なくありません。

 自分をよく見せたい、人に嫌われたくないといった、自分の評価に閉じこもる性格はなかなか変えることは難しいかもしれません。そこで、考えていただきたいのが、一時の評価より持続する評価、未来への可能性です。視野と広く、考え方の深度を深めることで、断り/受け入れの判断は適切なものとなるでしょう。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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