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DATE/ 2019.02.08

200人に1人が破綻する?住宅ローンの恐怖

 2019年も住宅ローンは超低金利が続いています。日銀は今のところ金融緩和を継続していく見通しなので、今後もしばらくは急激な上昇は起こらないようです。今のうちに住宅ローンを組む人も多いのではないでしょうか。しかし、住宅ローンはもちろん借金なので、破綻のリスクはゼロではありません。では実際にどのくらいの人が破綻しているのでしょうか。また、もし住宅ローンの返済が苦しくなったらどうすれば良いのでしょうか。ここで少し詳しく見てみましょう。

住宅ローンの破綻率は

 住宅ローンでどのくらいの人が破綻しているのか、正式な統計データはありませんが、この点に関して、不動産コンサルタント会社「リックスブレイン」代表の平野雅之氏は、三菱総合研究所の資料を分析しています。それによると、住宅ローンで実際に破綻している比率は平均0.5%から0.8%(2002年度から2012年度)で、経済環境が悪化した時期でも1%を越える程度、とのことです。つまり、推計で債務者200人に1人から2人ということになります。この割合はたいへん低いと考えていいようです。

 しかし、実際の破綻までに至らずとも、破綻しないよう、ギリギリの生活をしている人がこの数字の影にたくさんいることは想像できます。日本は責任感が強く、恥をかくことを怖れます。また我慢が美徳とされるような感覚が強いこともよく言われる点です。つまり必死に破綻を避けて生活する数字に現れていない「破綻予備軍」は相当数いるはずです。住む場所を守るために生活を切り詰めるという人たちです。

なぜ住宅ローン破綻が起こるのか

 では、なぜ住宅ローン破綻に至ってしまうのでしょうか。平野雅之氏はその理由に、購入時の資産計画のずさんさ以外にも、購入後に勤務先の倒産やリストラ、病気、離婚といった想定外の事態に見舞われるケースが多いことを指摘しています。また、退職金を想定して長期のローンを組んだ後に退職金額が想定外に減ったという状況もあります。これは1990年代など、現在よりも地価が高くて金利も高かった時代に住宅ローンを借り、そろそろ定年というタイミングの人にあり得るケースです。年金収入だけでは破綻する可能性が高いとのこと。事前に確認できることをどれだけしっかり確認したとしても、私たちは未来を見通すことはできません。

住宅ローンの返済が苦しくなったらどうするか

 住宅ローンの支払いが苦しいと感じたら、一刻も早く返済中の金融機関に相談しましょう。ポイントは「延滞になる前に」という点です。一般の金融機関等はローン延滞者からの相談は受け付けてくれない可能性が高いようです。延滞になる前の相談であれば、返済計画を変更することで返済できる可能性が高ければ、返済額の減額や期間の延長、といった条件の変更が可能な場合もあります。また、この時期に手を出すべきではないものは消費者金融などの高利子の借金です。お金がないときにその場しのぎで高利子の借金に手を出せば、多重債務者となって破綻を早めるだけです。

 もし、返済中の金融機関がこういった相談に応じてくれなかった場合、他の金融機関等やファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザーなど専門家に相談することも有効です。借り換えなどによる軽減の道もあります。どれだけ計画をしっかり立てていても、不測の事態はだれにでも起こり得ます。「返済が苦しくなったら、返済中の金融機関にとにかく早めに相談する」ということを覚えておきましょう。

<参考サイト>
・LIFULL HOME’S PRESS:住宅ローン破綻は誰にでも起こりうる
https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00324/
・SUUMO:住宅ローンの返済が苦しくなったらどうする?
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/c0his004/
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