テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.03.31

アメリカで評価の高い「日本の車」とは?

 アメリカの消費者団体専門誌「コンシューマー・リポート」は2019年2月21日、米国向けのモデルを対象にした2019年版の部門別ベストカーを発表しました。そこでトヨタ自動車が4部門、SUBARU(スバル)が2部門で選出されるなど、10部門のうち6部門で日本車が選ばれています。日本車は昔から評判がいいという話をよく聞きますが、今でもそれは変わっていないようです。ここでは主にアメリカで人気の車や2018年の販売台数のデータなども見ながら、日本車の評価について考えてみます。

評価が高いスバルとトヨタ

 評価された車種を見ると、トヨタは、小型車部門「ヤリス(日本名:ヴィッツ)」、中型車部門「カムリ」のハイブリッド車(HV)、大型車部門「アバロン」のハイブリット車、「プリウス」がハイブリッド・電気自動車部門でそれぞれ選出されたとのことです。また、スバルは「フォレスター」が小型スポーツタイプ多目的車(SUV)部門で、「アセント」が中型SUV部門で選ばれています。また、SUBARU(スバル)は「最良の車を作るブランド」にも選ばれています。

主要メーカー販売台数ランキングトップ10

ここでアメリカでの2018年における主要メーカー新車販売台数ランキング、トップ10を見てみましょう。以下、右のパーセント表記は前年比です。

1位 GM:-1.6%
2位 Ford:-1.3%
3位 Toyota:-0.1%
4位 FCA(Fiat Chrysler Automobiles) :8.5%
5位 Honda:2.2%
6位 Nissan:-6.2%
7位 Subaru:5.0%
8位 Hyundai:-1.1%
9位 Kia:0.0%
10位 Mercedes:-4.9%

 日本のメーカーとしては、2位トヨタ、5位ホンダ、6位日産、7位スバルがトップ10にランクインしています。それ以降では13位にマツダ、16位に三菱が入っています。8.5%という伸びを示してFCAは大型ピックアップの新型「ラム(Ram) 1500」などが伸びたとのこと。このあたりの需要はアメリカならでは。次いでスバルが伸びています。比較的小さめな車が得意の日本メーカーとしては、健闘しているといえるのではないでしょうか。

人気車種別トップ10

 人気車種別にトップ10を見てみましょう。以下、右のパーセンテージ表記は前年同期比です。

1位 Ford Ford F-Series:1.4%
2位 Chevrolet Silverado:-0.1%
3位 Ram(FCA) Ram P/U:7.2%
4位 Toyota RAV4:4.8%
5位 Nissan Rogue:2.1%
6位 Honda CR-V:0.3%
7位 Toyota Camry:-11.3%
8位 Chevrolet Equinox:14.4%
9位 Honda Civic:-13.7%
10位 Honda Accord:-9.8%

 日本の車種では4位トヨタRAV4、5位日産Rogue(日本名:エクストレイル)、6位ホンダCR-V、7位トヨタカムリ、9位ホンダシビック、10位ホンダアコードがランクイン。トップ10の内、6車種を占めています。車種別で見ても日本車は人気です。

現代での良い車に欠かせない「安全性」

 では一体日本車のどこが評価されているのでしょうか。まず考えられるのは安全性の高さです。アメリカの道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety)は、安全性に優れた車種を選定する「トップ・セーフティー・ピック+」を毎年発表しています。2018年は15車種が選ばれました。このうち、日本メーカーの車は、スバル4車種(インプレッサ、WRX、レガシィ、アウトバック)、トヨタ1車種(カムリ)の5車種が入っています。このほかは、起亜とジェネシスを傘下に持つヒュンダイから6車種、BMW、メルセデス、リンカーンから各1車種ずつとなっています。安全性では韓国のヒュンダイに続いて日本のスバルという結果です。

 もちろん、車の評価は安全性だけではありません。快適さ、機能性、スムーズな出力性能、燃費や安定性など、さまざまな項目が考えられます。ただ、安全性能で高い評価を受けるスバルやトヨタは「コンシューマー・リポート」でも比較的高く評価され、実際の販売数も上位にいます。現代での良い車の条件で、「安全性」という観点は大きなウェイトを占めていると言えるでしょう。

<参考サイト>
・KYODO:米のベストカー6部門で日本勢 消費者誌が選出
https://this.kiji.is/471473169909122145?c=39546741839462401
・Response:スバルが「最良の車を作るブランド」に…コンシューマーリポート
https://response.jp/article/2019/02/22/319422.html
・自動車販売台数速報 米国 2018年
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_usa_2018
・BUSINESS INSIDER JAPAN:世界で最も安全な車、15台
https://www.businessinsider.jp/post-165305

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン

アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪において...
収録日:2025/08/04
追加日:2025/09/13
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
2

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス

国際関係においては外交と軍事(内政)のバランスが重要となる。著書では、近代日本において、それらのバランスが崩れていった過程を3つのステージに分けて解説しているが、今回はその中の、国のトップが外政家・原敬から職業外...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/12
小原雅博
東京大学名誉教授
3

シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題

シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題

第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題

日本人のライフコースとして「3ステージ(教育・仕事・引退)の人生」とよくいわれているが、長寿化が進み「人生100年時代」と呼ばれる現在、長くなった3つ目のステージとともに、これまでの日本的な労働慣行も見直すべき時期を...
収録日:2024/08/03
追加日:2025/02/07
宮本弘曉
一橋大学経済研究所教授
4

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本

組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
5

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数

音が波であることは分かっても、それが三角関数で支えられていると言われてもピンとこないという方は少なくないだろう。そこで、その話を補足するのが倍音や周波数という概念であり、そのことを目で確認できるとっておきのイメ...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/11
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト