社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
40~50代に立ちはだかる「転職」の壁とは?
2019年9月現在、日本の転職市場は活況を呈しています。
例えば、総務省の「労働力調査」によると、転職者数はリーマン・ショック後の2010年に283万人と底を打った後、8年連続で増加し、2018年で329万人となっています。
転職支援サービスを展開するリクルートキャリアの調査による「転職者決定の推移」を見てみると、2009年の転職決定者を1とした場合、2018年の40代は4.74に急増し、50代の3.17も転職市場全体とほぼ同じ傾向となっています。
これらデータから、同社のHR統括編集長・藤井薫氏は、「35歳限界説」は「完全に崩壊した」と述べています。またインテリジェンスやエン・ジャパンといった、主な人材サービス会社も、「35歳限界説」は過去の話になったという見解を示しています。
しかし「35歳限界説」は、35歳以上のビジネスパーソン、ひいては40~50代のミドルエイジの「転職」を真に有利にしてくれるのでしょうか。
ミドル世代専門転職コンサルタントの黒田真行氏は、「実は、35歳限界説がなくなったと言っている場合、ほとんどは上位1%のハイクラス向けのサービスをしているヘッドハンターやごく一部のスペシャリスト向けの求人サイト、人材紹介の人たちが多い」としています。
ただし「シビアな状況の中でも、しっかりと“成功”を収めている事例も、数多く存在する<中略>個人と会社が“Win-Win”の関係となる転職を行うこと。それが、40代が転職を成功に収め、幸せに生きるための共通点」と述べています。
1)自縄自縛の「傲慢の壁」
前職の職務や収入、ポジションやエリアなどの条件に厳格にこだわる。また自身の限界を勝手に設けてしまうなど、自分で可能性を狭くすることによって機会を逃してしまう。
2)自身を知らない「無知の壁」
自身の「キャリアの棚卸し」を疎かにし、自身の「ポータブルスキル」に無自覚で、市場価値の客観的な把握もできていない。そのため、転職希望企業や市場とのマッチングがうまくいかない。
3)相手の要望に気づけない「利己の壁」
利他精神の欠如や自責の念の不足から、自身の要求ばかりで相手の要望を察知できない。ひいてはビジョンの共有や実務の協働ができない人と判断されてしまう。
4)状況の変化に気づかない「鈍感の壁」
時代や社会、市場や業界の状況や変化に気づけず、また気づこうともしないため、専門の知識や経験が不足している。また、小回りや気遣いも期待できない人と思われてしまう。
5)自ら学び動かない「怠惰の壁」
自身の業務や業界の専門知識ですら不十分であったり、知識を更新したりバージョンアップする努力や勤勉さがなかったり不足したりしている。そのため、今後に期待できない人と認定されてしまう。
51歳でサントリーから転職し、53歳で失業の恐怖を感じながら再び転職し、その後企業広報のコンサルティング会社の起業を果たした渡辺秀人氏は、50代で転職を考える人に「年を取った新入社員になることと、完全アウェーの試合になることを覚悟して臨むべきだと思う」と助言しています。
他方、「転職」の壁を越えるヒントとして、キャリアコンサルタントの谷所健一郎氏は「42歳以上のためのキャリア構築を成功させる6カ条」として、1)限界を自ら設けない、2)固定観念に捉われない、3)出会いを大切にする、4)常に笑顔を意識する、5)年齢を意識しない、6)不安は行動で払拭する――を挙げています。
黒田氏が「2020年代に入れば、40代、50代の転職が当たり前になっているかもしれません」と述べているように、さらには超少子高齢化による生涯現役社会の到来により、40~50代だけでなく、近未来はすべてのビジネスパーソンが「転職」を余儀なくされる可能性も十分に考えられます。「転ばぬ先の杖」としてポジティブに「転職」に向き合い、これからの働き方やキャリア形成を考えることが求められています。
例えば、総務省の「労働力調査」によると、転職者数はリーマン・ショック後の2010年に283万人と底を打った後、8年連続で増加し、2018年で329万人となっています。
「35歳限界説」崩壊後の真の壁とは?
さらに近年の転職市場活況からは、“転職が可能なのは35歳まで”といった従来の「35歳限界説」を覆すような、40代以降の転職市場の盛り上がりもうかがえます。転職支援サービスを展開するリクルートキャリアの調査による「転職者決定の推移」を見てみると、2009年の転職決定者を1とした場合、2018年の40代は4.74に急増し、50代の3.17も転職市場全体とほぼ同じ傾向となっています。
これらデータから、同社のHR統括編集長・藤井薫氏は、「35歳限界説」は「完全に崩壊した」と述べています。またインテリジェンスやエン・ジャパンといった、主な人材サービス会社も、「35歳限界説」は過去の話になったという見解を示しています。
しかし「35歳限界説」は、35歳以上のビジネスパーソン、ひいては40~50代のミドルエイジの「転職」を真に有利にしてくれるのでしょうか。
ミドル世代専門転職コンサルタントの黒田真行氏は、「実は、35歳限界説がなくなったと言っている場合、ほとんどは上位1%のハイクラス向けのサービスをしているヘッドハンターやごく一部のスペシャリスト向けの求人サイト、人材紹介の人たちが多い」としています。
ただし「シビアな状況の中でも、しっかりと“成功”を収めている事例も、数多く存在する<中略>個人と会社が“Win-Win”の関係となる転職を行うこと。それが、40代が転職を成功に収め、幸せに生きるための共通点」と述べています。
40~50代だからこそ考えてほしい「転職」の壁
では「転職」を希望する個人と会社が“Win-Win”の関係となるために、40~50代のビジネスパーソンが乗り越えなければ行けない壁とは、どんなものなのでしょうか。大きく以下の5つに分類できるように思います。1)自縄自縛の「傲慢の壁」
前職の職務や収入、ポジションやエリアなどの条件に厳格にこだわる。また自身の限界を勝手に設けてしまうなど、自分で可能性を狭くすることによって機会を逃してしまう。
2)自身を知らない「無知の壁」
自身の「キャリアの棚卸し」を疎かにし、自身の「ポータブルスキル」に無自覚で、市場価値の客観的な把握もできていない。そのため、転職希望企業や市場とのマッチングがうまくいかない。
3)相手の要望に気づけない「利己の壁」
利他精神の欠如や自責の念の不足から、自身の要求ばかりで相手の要望を察知できない。ひいてはビジョンの共有や実務の協働ができない人と判断されてしまう。
4)状況の変化に気づかない「鈍感の壁」
時代や社会、市場や業界の状況や変化に気づけず、また気づこうともしないため、専門の知識や経験が不足している。また、小回りや気遣いも期待できない人と思われてしまう。
5)自ら学び動かない「怠惰の壁」
自身の業務や業界の専門知識ですら不十分であったり、知識を更新したりバージョンアップする努力や勤勉さがなかったり不足したりしている。そのため、今後に期待できない人と認定されてしまう。
終身雇用制度の崩壊と生涯現役社会の到来
ところで「転職」は、そもそもキャリアアップやヘッドハンティングなど、ポジティプな場合だけではありません。終身雇用も制度の崩壊、勤務先の倒産、早期退職の勧奨、家庭や自身の事情など、やむを得ず始めるしかない場合も多々あります。51歳でサントリーから転職し、53歳で失業の恐怖を感じながら再び転職し、その後企業広報のコンサルティング会社の起業を果たした渡辺秀人氏は、50代で転職を考える人に「年を取った新入社員になることと、完全アウェーの試合になることを覚悟して臨むべきだと思う」と助言しています。
他方、「転職」の壁を越えるヒントとして、キャリアコンサルタントの谷所健一郎氏は「42歳以上のためのキャリア構築を成功させる6カ条」として、1)限界を自ら設けない、2)固定観念に捉われない、3)出会いを大切にする、4)常に笑顔を意識する、5)年齢を意識しない、6)不安は行動で払拭する――を挙げています。
黒田氏が「2020年代に入れば、40代、50代の転職が当たり前になっているかもしれません」と述べているように、さらには超少子高齢化による生涯現役社会の到来により、40~50代だけでなく、近未来はすべてのビジネスパーソンが「転職」を余儀なくされる可能性も十分に考えられます。「転ばぬ先の杖」としてポジティブに「転職」に向き合い、これからの働き方やキャリア形成を考えることが求められています。
<参考文献・参考サイト>
・統計局ホームページ/労働力調査 - 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html
・「40・50代でも「成功の法則」 俺の転職わたしの副業」、『エコノミスト』(2019年7月23日号、毎日新聞出版)
・「マインドリセット -30・40代「人生・仕事の壁」に効く 心がスーッと軽くなる思考の習慣-」、『Associé』(2017年7月号、日経BP社)
・『40歳からの「転職格差」』(黒田真行著、PHP研究所)
・『再就職できない中高年にならないための本』(谷所健一郎著、シーアンドアール研究所)
・『あなたは、今の仕事をするためだけに生まれてきたのですか』(伊藤真・野田稔著、日本経済新聞出版社)
・『50代からの独立・転職は、あなたが思っているより上手くいく』(大澤信一著、東洋経済新報社)
・統計局ホームページ/労働力調査 - 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html
・「40・50代でも「成功の法則」 俺の転職わたしの副業」、『エコノミスト』(2019年7月23日号、毎日新聞出版)
・「マインドリセット -30・40代「人生・仕事の壁」に効く 心がスーッと軽くなる思考の習慣-」、『Associé』(2017年7月号、日経BP社)
・『40歳からの「転職格差」』(黒田真行著、PHP研究所)
・『再就職できない中高年にならないための本』(谷所健一郎著、シーアンドアール研究所)
・『あなたは、今の仕事をするためだけに生まれてきたのですか』(伊藤真・野田稔著、日本経済新聞出版社)
・『50代からの独立・転職は、あなたが思っているより上手くいく』(大澤信一著、東洋経済新報社)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
叩き潰せ、正しいのは自分だけ…ロイ・コーンの教えとは
[深掘り]世界を壊すトランプ関税(1)トランプ大統領の動機と思考
トランプ政権が発表した関税政策は、世界を大きな混乱に落とし込んでいる。はたして、トランプ大統領の「動機」や「思考」の淵源とはいかなるものなのか。そして世界はどうなってしまうのか。
島田晴雄先生には、...
島田晴雄先生には、...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/04/25
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
フェイクが含まれた情報や陰謀論が跋扈する一方、多様性が尊重されるようになり多元化する人々の価値観。そうした現代社会で、いかにして私たちはともに公共性を保って生きていけるのか。多様でありながらいかに共存・共生でき...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/04/25
水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性
水から考える「持続可能」な未来(8)人材育成と水道事業の課題
日本企業の水資源に関するリスク開示の現状はどうなっているか。革新的な「超越人材」を生み育てるために必要な心構えとは何か。老朽化する水道インフラの更新について、海外のように日本も水道事業に民間資本が入る可能性はあ...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/04/24
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
銀河の中心にある巨大なブラックホールは一体何なのか。それを考えるためには、宇宙にある数多の銀河の構造について正しく理解する必要がある。私たちが住むこの太陽系は、天の川銀河という巨大な銀河のごくごく小さな一部分で...
収録日:2018/10/31
追加日:2019/03/26
実は考古学者と人類学者で違う!? 渡来系弥生人の定義
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(6)弥生人のDNA
後の二重構造説の見直しにつながっていく「ヤポネシアゲノムプロジェクト」は、これまで手薄だった弥生人のDNA分析によって、古代人の分布について新たな見方を示した。そして、鳥取県にある青谷上寺地遺跡の調査では、現代日本...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/04/23